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アクアスフィア・水教育研究所 代表 橋本淳司の公式ページ

アクアコミュニケーターの知恵

 

 

水をめぐる争いのはなし  |  Story of the battle for water


 

水は誰のものか

 

「競争相手」「好敵手」を意味する英語、“rival”(ライバル)の語源は、ラテン語の“rivalis”(リーワーリス)で、「同じ川の水利用をめぐって争うもの」という意味だ。

つまり、ライバルとは「水のうばいあい」から生まれた言葉なのだ。

現在、世界各地で水の利用量がふえて、水不足が起きている。

そのため、少しでも多くの水を得ようと、水をめぐる争いがおきている。

 

上流域の国や地域が、農業や工業や生活のために水を大量に使うと、下流域の国や地域に流れてくる水の量はへる。

また、上流域の国や地域の排水によって水が汚染されると、その水は国境を越えて下流域の国や地域まで流れてくる。

その結果、下流域の使える水は少なくなる。

上流域が思うままに水を使うと、下流域に大きなストレスを与える。

これが水をめぐる争いの原因となる。

 

これは目に見える河川水だけでなく、地下水をはじめとする流域のあらゆる水について同じことが言える。

たとえば、地下水は土をほりさげていくことでえることができる。

日本やイギリス、アメリカなどでは、土地をもっていれば、地下水を自由にくみあげることができる。

こうした国では、水道水を使うにはお金がかかるが、地下水はいくら使ってもお金がかからない。

一方、 イスラエルやギリシャ、ポーランド、イタリアなどでは、土地をもっているからといって、地下水を勝手にほって使うことは原則としてできない。

地下水は無尽蔵にあるわけではない。

大量に汲み上げると、その周辺の地域に影響がおよぶ。

水が枯れ、地盤沈下がおきることもある。

 

水をめぐる争いというと、上流域と下流域の国や地域、企業と市民など、人間の枠だけで考えがちであるが、自然環境、そこにすむ多種多様ないきものに大きな影響を与えていることを忘れてはいけない。

 

 

最近、よく水は誰のものか、と聞くようになったが、流域にすむあらゆるいきもののもの、といえるだろう。

 

 

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