アクアコミュニケーターの知恵

 

 

水と地球環境のはなし  |  Story of the global environment and water


 

水のメガネ
(5)「ふるさとが見える機能」で食べものを見たら

 

水のメガネの

「ふるさとが見える機能」

をつかって食べものを見たら、何が見えるでしょう。

 

食卓にあったパンをのぞいて見ました。

すると、アメリカ中西部の穀倉地帯が映し出されました。

 

ここは「世界のパンかご」といわれる大農業地帯です。

小麦のほか、大豆やトウモロコシなども栽培されています。

 

ここにはオガララ水系という世界最大級の地下水脈が南北に走っています。

食卓にのったパンをつくるのにつかわれた水は、ここのものだったのです。

水メガネには、地下水をくみあげてスプリンクラーで畑にまいている様子が映し出されています。

 

ですがスプリンクラーから吹き出していた水の勢いは次第に弱くなり、ポタンと垂れたのを最後に水は止まってしまいました。

 

どうやら地下水を汲み上げすぎてしまったようです。

じつはオガララ水系は枯れてしまうのではないかと心配されています。

いまこの瞬間もオガララ水系の水は減りつづけていて、その量は

1秒間に38万リットル

と言われています。

 

キューバのなぞなぞに

「土のなかに家があり、地中に王国がある。天にも登るが、再び帰ってくるものなに」

というものがあります。

答えは「水」なのですが、ここでいう「地中の王国」とは地下水が蓄えられている「帯水層」のことを指しています。

 

6

巨大な地下の貯蔵庫にたくわえられた水は、地球全体で、陸地の表面にある水の100倍もあります。

それでも、どんどん汲み上げたら地中の王国は空っぽになってしまいます。

今度はトウモロコシを見てみました。

 

 

「農業用水を!」

と書かれた横断幕を手に行進している人たちの姿が映し出されました。

アメリカ最大の農業州であるカリフォルニアでは、農業用水に雨水やシエラネバダ山脈の雪解け水を利用してきましたが、最近の降水不足から、農業用水の供給が停止されてしまいました。

この地域では、農業で生計を立てている人が多いのですが、農業ができなくなり失業者が増えてしまいました。

スーパーマーケットから食べものが消え、農業州であるにもかかわらず食料に困る人が増えています。

「農業用水を!」

とかかれた横断幕をもって行進していたのは、こうした人たちだったのです。(続)

 

 

出典『水のメガネ』(橋本淳司)『OCONOMISSION2010』収蔵

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