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「5年後、日本人は美味しい水が飲めなくなる!?」についてのご説明

 

2009年12月30日放送の「さんま・福澤のホンマでっか!?ニュースSP」という番組で、「5年後、日本人は美味しい水が飲めなくなる!?」という話をしました。

ですが、番組内では持ち時間がとても短く、また編集の影響もあり、視聴者の方に誤解を与えるかもしれません。

そこでこの場を借りて、説明させていただこうと思います。

 

  • 美味しい水(水道水)が飲めるかどうかを決める2つの要素があります。
  • 1つは水源が保全されていること、2つは水道事業が健全に運営されていることです。ところが、この2つに黄色信号が灯っています。

 

  • 水源については、水源の争奪戦、水源の汚染という2つの問題があります。

 

  • ここ数年、西日本の酒造会社がいくつか外国企業に買われました。
  • 彼らの目的は「水」です。日本酒づくりには上質な水が欠かせません。酒造会社を手に入れると、そこが保有している水源を得ることができます。

水源地、水源の森の買収もすすんでいます。国内の飲料メーカーだけでなく、外国企業がリゾート開発目的、木材目的、水目的で水源地を取得するケースがあります。水源の森の大規模買収の動きは2008年頃からあり、林野庁は実態調査に乗り出しました。

酒造のケースにしろ、水源地を買収したケースにしろ、適量をくみ上げるなら問題はありません。しかし、闇雲に水をくみ上げると、水資源が枯渇したり、地盤沈下が起きるなど、周辺の住民に影響がでます。

そしてこれを規制する法律はありません。森林法では民有林の売買に関する規制はなく、所有者は自分の山林を自由に売買できます。国土利用計画法では、1ヘクタール以上の土地(都市計画区域外)の売買であれば都道府県知事への届け出が必要ですが、1ヘクタール未満の土地については届け出義務がなく、誰が水源地を買ったのかもわかりません。また、山間部については、地下水をくみ上げる量にも制限がありません。

この結果、美味しい水を飲んでいた人が飲めなくなるケースが出てくるものと思われます。

 

  • 水源の汚染もすすんでいます。
  • 汚染された水は飲めませんから、水道事業による水処理が必要になります。

ここで2番目の問題が出てきます。各地の水道事業が経営難に陥っているということです。

利用料金で運営費用をまかなう受益者負担の原則は、すでに机上の空論です。総務省が発行している地方公営企業年間によると、日本の水道事業は決算規模で上水道が年間約5兆円、下水道が約8兆円ですが、料金徴収は上水道が3兆円弱、下水道が1兆円弱です。足りない部分は自治体の一般会計からの繰入金で補填し、上下水道合わせて2兆2000億円あります。

さらに負債も雪だるまのように増え、設備も更新の時期にきています。建設改良費などは国庫補助金に頼るか、子どもや孫と分担して負担するとの考え方から地方公営企業の企業債、つまり次世代への借金でまかなっています。この長期負債が上水道で約12兆円、下水道で約30兆円、あわせて42兆円あります。

そして高度経済成長時代に整備され、現在は老朽化した上下水道管の更新費用が、2025年までに約113兆円になるとの試算もあります。

こうなると水源が汚染されたからといって設備を更新して対応することはむずかしいでしょう。いや水道事業そのものの維持さえできないでしょう。すると美味しくて安全な水が飲めなくなるケースが出てくると思います。

 

  • 日本人は水は豊富でタダという思い込みがあるためか、こうした問題が日頃語られることがありません。
  • そこであえてオーバーに「5年後、日本人は美味しい水が飲めなくなる」という表現をつかいました。

 

  • 地下水をいかに保全し、利用していくか、経営難に陥った水道事業をどう再建していくか。早急に対応しなくてはいけません。
  • あなたがいま利用している水がどうなるのかという、とても大事な問題です。このことがきちんと議論され、対策が練られることを願ってやみません。

 

 

  • 2009年12月30日  橋本淳司