週刊「水」ニュース・レポート    2013年5月1日号

 

 

 

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【ニュースを見る目】

 

4月19日の発言なので、「最新のニュース」とは言えませんが、メディアに取り上げられていないことがある意味ニュースなのではないかと思います。

Youtubeの画像から、水道に関する部分の発言を要約すると、以下のようになります。

 

  • 「世界中ほとんどの国で、民間会社が水道を運営しているが、日本では、国営もしくは市営・町営である。これらをすべて民営化する」

米国の戦略国際問題研究所で行われた記者会見での発言です。

日本の水道事業はさまざまな課題をかかえ、国内でさまざまな議論がされているなかで、あまりに軽率で乱暴。

政治家のリップサービスの領域ははるかに超えています。

このようなやり方で、国の進む方向が決定されたらたまりません。

国内での議論を経ず、海外で突然「完全民営化」と副総理が発言すれば、聞いたほうは「日本の意思」と受け取るでしょう。

ではなぜ「完全民営化」という発言が軽率で乱暴なのか。

それは日本の水道事業の実態とあまりにかけ離れているからです。

ネット上の議論を見ても、

 

  • 「民営化されたら効率的になってよい」
  • 「民営化されたら業者間の競争によってサービスが向上する」

 

  • 「民営化されたら外資に日本の水をすべてもっていかれる」
  • 「民営化されたら企業の論理で水道料金が上がる(もしくはサービスが低下する)」

という「民営化賛成」「反対」の二元論に陥っています。

まるで「郵政民営化」の議論のようです。

ただ、郵便事業は民営化される前から一塊の事業体でした。

しかし、水道事業は全国に約1900あり抱えている課題はそれぞれ違います。

郵政民営化のように1つの大鉈で梶を切ることはできません。

仮に民営化をすすめるのであれば、個別の自治体ごとに決断することになるでしょう。

日本の水道事業は経営が苦しくなっています。

地方部を中心とした人口減少、節水器具の普及、大口需要者の地下水利用などから、収益が減少しています。

施設や管路は更新の時期を迎えていますが、収益減少で対応することができません。

全国約1900のほとんどが小規模で、現状のやり方では事業の継続がむずかしくなっています。

また、水道事業は経費節減を主な理由として、採用を手控え続けたため、人材不足という問題もかかえています。

つまり各水道事業者に、自分のところの水事情に精通した技術がいなくなりつつあるということです。

水道事業は、不採算で人材もいない。

現在、そうした課題を乗り越えるために、民間委託と広域化という指針が出されています。

経営面は自治体が責任をもちながら、民間のノウハウを活用していく方針です。

ただ、その契約方法も大きく分けて5つの方法があり、それぞれの特徴を見極めて議論すべきなのです。

1)一部委託、アウトソーシング

  • 上下水道事業の管理業務など汎用性のある業務の一部を民間企業に委託する。
  • 契約期間は数ヶ月〜1年程度。一般に民営化というときはこの形態は含まれない。

2)包括委託、管理契約

  • 上下水道事業の管理業務の一部を民間企業に委託する。
  • 受託者である民間企業は業務の仕様を自らの裁量で決めることができる。
  • 契約期間は2〜3年程度。

3)リース契約

  • 水道施設は公共側が所有し、事業の運営を民間企業に委託する。
  • フランスやスペインに多い形態で、コストは水道料金で賄う。
  • 契約期間は10〜15年程度。

4)コンセッション契約

  • 一定期間民間企業が資産を所有したうえで、事業の運営を民間が行う。
  • 施設の更新・拡張費用も民間が支払う。
  • コストは水道料金で賄う。
  • 契約期間は25〜30年。

5)完全民営化

  • 公共水道事業が完全に民間企業に売却されること。
  • 公共機関の仕事は、水道料金やサービス水準の設定など規制に関する監督業務だけ。
  • 法律で公共機関の売却を禁ずる国も多く、実績はそれほど多くない。
  • 契約期間は25〜30年。

こうして見ると、単純に民営化か否かという問題ではないとわかります。

 


 

 

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