週刊「水」ニュース・レポート    2013年5月20日号

 

 

 

【今回厳選したニュース】

 

 


 

 

【ニュースを見る目】

 

この記事はお金を払わないと読めないのですが、とても重要なことが書いてあるので、一部を要約しながら、話をすすめていきたいと思います。(だからリンク先は読めなくても大丈夫です)

僕が注目したのは、「ぜいたくな水道を見直す」という、佐藤裕弥さん(浜銀総合研究所地域経営研究室長  厚生労働省新水道ビジョン策定検討委員会委員)のオピニオンです。

記事は、次のようにはじまります。

 

  • 「過疎地では飲み水はペットボトルを宅配水で届け、あとは給水車が週2回、地域の拠点まで運んで給水するー。
  • 約10年ぶりに全面改訂されて3月に決定した「新水道ビジョン」を読めば、こんな将来像が浮かび上がってきます。
  • 老朽化した施設が更新期を迎え、経験をしたことがない時代に突入しているのです」(佐藤さん)

つまり、蛇口をひねれば水を出る。

この常識を見直さなければならない時代に入ったということです。

 

  • 「水道は独立会計で、利用者の水道料金で賄っています。
  • 数十年前に埋めた水道管の更新期を迎えていますが、ほとんどの自治体は費用を積み立てていません。
  • とくに人口が減少する過疎地の簡易水道の経営は苦しい」(佐藤さん)

水道経営は非常に厳しくなっています。

右肩上がりの経済環境を前提とした過去の設備投資の結果として、巨額の借入金が残っています。

その額は、上水道で約11兆円、下水道で約32兆円にのぼる(2010年総務省調べ)とされています。

最近は水道管の破裂事故が頻発しています。

自然災害や道路工事などに伴う事故も含まれますが、老朽化が主な原因で、2010年の水道管破裂事故は1200件、下水道の陥没事故は4700件ありました。

日本水道協会の調査では、全国の水道管の総延長約61万キロメートルのうち、法定耐用年数(40年)を過ぎた管路は約38000キロメートルと、ほぼ地球一周分に当たり、今後はさらに増えていくことになります。

現在多くの自治体は水道管の「延命化」に取り組んでいます。

財政事情から正規の耐用年数で更新できないので、水道管の内部に保護膜を張るなどして鉄さびの進行を抑え、20〜30年長持ちさせるのです。

しかし、永遠に延命できるわけではなく、現在のしくみを抜本的に見直す必要があるのです。

佐藤さんは記事のなかで、「水質による使い分け」を提唱しています。

私たちは毎日約300リットルの水を使いますが、その用途を考えてみると、

 

  • 飲み水  3リットル程度
  • シャワー 1分間に10リットル程度
  • 風呂   200リットル程度)
  • 洗濯   70リットル程度
  • 炊事   60リットル程度
  • トイレ  1回流すと10リットル程度)

なので、佐藤さんは、

 

  • 「飲み水はペットボトルでいい」
  • 「水道局は手洗いやシャワー程度の衛生管理の水を提供する」
  • 「トイレには(上水と下水の間の)「中水」として別の配管で給水する」

と言っています。

いちばん気になるには、

 

  • 「飲み水はペットボトルでいい」

という部分で、

これを水道局が行うのか、民間企業が行うのかで、大きく違ってくるでしょう。

仮にこれまで水道水を飲んでいた人が、市販のペットボトル水に切り替えたとすると、

 

  • 水道水1リットルの料金(全国平均)0.25円
  • ペットボトル水1リットルの料金(全国平均)98円

なので、1日3リットル、年間1095リットル飲んだとして、

 

  • 水道水利用では274円

だったものが、

 

  • 水道水利用では274円

ペットボトル水利用に変わると10万7310円

となります。

その点も考慮にいれて、慎重な議論をしていく必要があるでしょう。

僕は、この問題を考えるときに、エネルギーという視点で見ると、別の解決方法が提案できると思っています。

たしかに「おいしい」といえるレベルにまで、莫大なエネルギーを使用して浄水した水道水で、トイレを流すのはあきらかにもったないです。

現在の上下水道システムには、多くのエネルギーが使用されています。

 

  • 水源からのポンプで取水し浄水場まで導水する
  • 浄水場で浄水処理する
  • ポンプで各家庭まで送水・配水する

という過程で使われる電力は、年間約79億キロワット時。

下水道でも、

 

  • 排水をポンプで導水する
  • 下水処理場での浄水処理する
  • 処理した水をポンプで放水する

という過程で使われる電力は、年間約71億キロワット時。

上下水道合わせて年間約150億キロワット時になり、これは原子力発電所1.5機が創出するエネルギー量に匹敵します。

固定的にかかる電力量を節減できれば、水道経営は効率化できるはずです。

まず、エネルギー使用量の多いポンプ導水を減らす方法は、

 

  • 1)「低遠」水源から「高近」水源へシフトする
  • 2)「水道」から「水点」へシフトする

の2つがあります。

まず、1)について言うと、

低い場所にある水源から取水して、高いところにある浄水場まで導水したり、遠くのダムから導水したりと「低遠」の水源を利用するのではなく、伏流水やコミュニティー内の地下水(井戸水)など「高近」の水源に注目し、高低差を活かして水を運べば導水や送水にかかっていた電力は減らせます。

さらに、その水の流れの過程にマイクロ水力発電を設置して、電気を確保します。

次に、2)について言うと、

大きな施設で浄水処理し、そこから水を道を通して運ぶのが「水道」だとすれば、給水ポイントを小規模分散化して、水の道を極力短くして「水点」をつくることにより、浄水やポンプ導水にかかるエネルギーを減らそうというものです。

じつは「水点」は各地にできはじめています。

大分県豊後高田市では、地下水を利用し、粗ろ過・生物浄化法という簡単なろ過法水をきれいにする施設ができています。

 

雨水を活用した施設も「水点」といえるでしょう。

地下水も利用のルールを決めて、持続可能な使い方をすれば、有効な「水点」になります。

川の水を集め、大型浄水施設できれいにして、各家庭に水を配るというやり方が限界にきているのはたしかですが、代替手段はいくつもあり、いまこそ知恵を発揮するとき!といえると思います。