週刊「水」ニュース・レポート    2013年8月7日号

 

 

 

【今回厳選したニュース】

 

  • 「CDP、CDSB、IIRC  統合報告の実現に向け提携」

 


 

 

【ニュースを見る目】

 

CDP(カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)、CDSB(気候変動情報開示基準審議会)、IIRC(国際統合報告委員会)が提携したことを伝えるニュースです。

これによって、

 

  • 企業の自然資本に関する情報の開示
  • 財務情報と環境・社会・ガバナンスなどの非財務情報をまとめて開示する「統合報告書」の制度化

が進むと考えられます。

企業は自然に対してどういうプラスの影響を与えているのか、あるいはマイナスの影響を与えているのかを、わかりやすく誠実に伝えることが必要になるでしょう。

 

まず、本文に、CDP、CDSB、IIRCという3つの団体が登場しますので、簡単に解説します。

 

  • <CDP>
  • 英国ロンドンに本部をもつNPOです。2003年より、世界の主要企業を対象に、多数の機関投資家を代表して、温室効果ガスの排出や気候変動による事業リスクや事業機会に関する情報を収集・分析し、その結果を公表しています。CDPは現在、主要な気候変動、水や森林リスク情報についてグ世界で最大の情報を保持し、戦略的なビジネス、投資、政策決定の際に、この情報が活用されています。

 

  • <CDSB>
  • 企業の気候変動情報開示における世界的な枠組みを作成し、有価証券報告書などで、気候変動情報を開示することを促進する団体です。

 

  • <IIRC>
  • イギリスのアカウンティング・フォー・サステナビリティというプロジェクトを母体として結成された国際的なネットワーク。メンバーには各国の会計士協会や大手の会計士事務所の関係者のほか、グローバル・コンパクトやUNEP-FI、UNPRIなど国連が関わるプロジェクトの関係者や、IASB(国際会計基準審議会)、IFAC(国際会計士連盟)などの国際機関の関係者などが名を連ねています。既に、統合報告書の中に「自然資本」を盛り込む方針を打ち出していました。

 

そもそも同じ方向を向いていた3つの団体が手を結び、情報や評価方法が共有されることで、企業の自然資本に関する情報開示が、より進むだろうと考えられます。

企業の情報開示に、森林や水など自然資本への影響を定量的に評価して盛り込む動きは急速に進んでいます。

ブラジルで開催された「リオ+20」のサイドイベントでは、世界銀行をはじめ複数の機関が、森林や水など自然資本への負荷を企業会計に盛り込む方針を発表し、具体的なプロジェクト内容を紹介しました。

地球温暖化や生物多様性への影響をすべてひっくるめた生態系へのダメージを示すのが、自然資本データの開示です。

ただ、生態系への影響は定量評価しにくいものです。

そこで、分野を絞るなど範囲を限定しながら、定量評価するプロジェクトがいくつも始まっています。

世銀は、リオ+20のサイドイベントにおいて、森林や水などの「自然資本」の価値を50の国が国家会計に、50の企業が企業会計に入れる「50/50」プロジェクトを立ち上げました。

56カ国、86の企業が賛同して署名しています。

スイスに本社がある食品飲料大手のネスレ、米小売大手のウォルマートストアーズ、日本でも三井住友信託銀行が署名しました。

では、自然資本の価値を金融商品やサービスに取り入れるとは、どんなことを指すのでしょうか。

1つは、投融資をする際の判断基準に、対象の企業がどんな自然資本を守っているかを入れること。例えば、生産活動で森林を伐採する可能性がある企業に投資する際、森という自然資本の減少を「負債として抱える」と判断し、金融機関は投資するかどうかを検討します。

あるいは、投融資先を選別するだけでなく、自然資本の有効な守り方をアドバイスすることが新しいサービスになる可能性もあります。選別とアドバイスによって企業の取り組みを引き出すことにつながります。

そのほかにも定量化の手法はいろいろあって、例えば、農業銀行の場合、農業セクターへの貸付け全体を見渡して、何%または何ヘクタールの農場が水不足になりそうかという数字を開示することもできます。

一言で言えば、水、森などの自然を大切に使用しない企業は投資が受けにくくなると考えられます。その一方で、自然までもが数値化され、巨大資本の傘下におかれてしまうのではないかという懸念は残ります。動向を引き続き見ていきたいと思います。

 


 

 

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