週刊「水」ニュース・レポート    2013年8月28日号

 

 

 

【今回厳選したニュース】

 

  • 「吉川市に水道水フッ素処理中止を要望  市民団体『安全性に疑問』」
  • (埼玉新聞  2013年8月23日)

 


 

 

【ニュースを見る目】

 

「水道水フロリデーション」(水道水に適量(約0.8ppm)のフッ化物(フッ素の化合物)を混ぜること)は、虫歯予防に効果があるとされる一方で、人体有害する意見もあり、両者の議論は平行線をたどっています。

世界保健機関(WHO)や国際歯科連盟はフロリデーションを推奨しています。

米国では1945年からスタートし、その後、オーストラリア、ブラジル、香港、アイルランド、マレーシア、ニュージーランド、シンガポール、英国など多くの国々や地域に導入されるようになりました。

現在、フロリデーション水の給水人口は61カ国約4億人に及びます。

日本では、1952年から1965年まで京都市山科地区で水道水フロリデーションが試験研究として行われました。その他に沖縄県(1957〜73年)、および三重県朝日町(1967〜72年)でも実施されていたことがあります。しかし、現在ではいずれも中止されています。

吉川市は、2009年に、市内の歯科医や自治会長、市議らで構成するフロリデーション推進協議会を発足させ、PRや啓発活動を展開してきました。こうしたフロリデーションの普及啓発活動は全国的にも珍しいものでした。

一方で、吉川市の市民団体は、以下の7つの理由でフロリデーションに反対しています。

 

  • 1)選べない
  • 水道水は住民のすべての命の源。飲みたくない人にとっては選択の余地がなくなる。飲みたくない人は、水を購入しなくてはならない。

 

  • 2)無駄
  • 水道水の内、飲料・調理に使われるのは1%以下。99%以上は下水に流れる。

 

  • 3)安全性に疑問
  • 年齢・性別・体質・フッ素の摂取量など、人によっては歯のフッ素症の危険性も否定できず、また、全身影響の懸念もある。

 

  • 4)必要性が極めて低い
  • 虫歯は減っている。歯磨きやおやつの与え方、早期治療などで、虫歯は確実に減らせる。

 

  • 5)環境汚染
  • フッ素は「水生環境有害性」があるとされる。

 

  • 6)事故の懸念
  • フッ素添加の機械の故障、人為的ミスは起こりうる。いくつかの中毒事故があり、アメリカ(アラスカ州)で1992年に死亡事故があった。

 

  • 7)幼児使用の安全性
  • 2006年、米国小児科学会は、赤ちゃんの粉ミルクの調整にはフロリデーションの水を使わないようにと公表。

 

じつは、2007年に群馬県下仁田町でも同様の動きがありました。

富岡甘楽歯科医師会が早期実施を求めていましたが、町議会は「町民の理解がまだ得られていない」として陳情書を採択しないことを決めたのです。

陳情書の提出後に、別の歯科医から添加反対の要望書が出されたり、水道を利用するこんにゃく業者や商店からは「商品にフッ素添加を表示しなければならず、買わない人が出てくるかもしれない」と心配する声が出ました。

水道水の用途は幅広いのです。

日本人が1日に使用する量は300リットルとされていますが、飲むのはそのうち2リットル程度です。

しかも現在、水道水離れが起きており、飲用にはペットボトル水、宅配水を使用する人が増えています。

それでもすべての水道水にフッ素を添加することに合理性があるかどうかは疑問だといえるでしょう。

 


 

 

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