週刊「水」ニュース・レポート    2013年10月9日号

 

 

 

【今回厳選したニュース】

 

  • 「水道料金の値上げを審議会が市長に答申  水戸市、来年度から」
  • (MSN産経ニュース  2013年10月4日)

 


 

 

【ニュースを見る目】

 

各地で水道料金の値上げがはじまっています。今日は、なぜ水道料金が値上がりしているのかを解説します。

みなさんの住む自治体も、今日のニュースと同じ課題に直面していると思います。

まず、水道事業の経営に黄信号がともっています。

莫大な借金をかかえていることに加え、水道管路や浄水場などの施設更新の時期が迫っています。

企業の成長ステージで考えると、水道事業は誕生期、成長期を経て、転換期に入り、新たな事業戦略が求められるようになりました。

水道料金は日本全国で同じ料金ではありません。

「水道産業新聞社」によると、家庭用10トン当たりの料金を比較した場合、最高は新潟東港臨海水道企業団の5,376円、最低は富士河口湖町の335円です。

 

水道料金は、職員の給与、支払利息、減価償却費、動力費や光熱費などの運営費のほかに、受水費(ダムや近隣の浄水施設からの水供給費用)などの費用合計を、給水人口で割って決まります。

費用と給水人口という2つの要素があるわけですが、まず費用面について言えば、良質の水源が近くにあり、水源改善のための浄水が不要な自治体は、費用がかからないので水道料金は安くなり、水源から遠くダムの水を引っ張ってこなければならないような自治体、水源改善のための浄水費用がかかる自治体では水道料金は高くなります。

給水人口について言えば、費用が一定の場合、給水人口が多ければ水道料金は安くなり、少なければ水道料金は高くなります。

ですから費用面の管理と、需要予測をきちんと行う必要があるのです。

全国の水道料金は上昇傾向にあります。

費用面では、大型浄水場やダムを建設したときの借入れの支払いや減価償却費が重くのしかかっています。

一方、水需要は減少しています。1つには人口や世帯数の減少による影響、もう1つは節水型のトイレや洗濯機などの節水機器が普及した影響によって、家庭の水使用量は減少したこと、そして企業などの大口利用者が自前の井戸を掘って地下水を利用していることです。

こうしたことからじわじわと値上げがすすんでいるのですが、水需要は今後も減るでしょう。人口減少によって2040年過ぎには2004年比で約25%の水需要が減少し、節水の進捗によっては、水需要は半分になるという予測があります。

需要が減れば水道事業者の収益は悪化します。収益が悪化すれば、水道料金も値上げしなければならないのですが、値上げするとますます節水が進むでしょう。

費用がかかる一方で、人口減少や節水の進行によって需要が減少した結果、受益者負担の原則はすでに机上の空論となっています。

一般会計などからの繰入金は、上水道で2517億円、下水道で1兆9330億円に上ります。

負債もふくれあがっています。建設改良費などは国庫補助金に頼るか、子どもや孫と分担して負担するとの考え方から地方公営企業の企業債、つまり次世代への借金でまかなっています。この長期負債が上水道で約12兆円、下水道で約30兆円、あわせて42兆円あります。

そのうえ高度経済成長時代に整備された上下水道インフラが更新の時期を迎えています。日本の上下水道は1960年代に本格整備されましたが、それから50年を経て、管路も浄水場も老朽化し、更新の時期を迎えています。

耐用年数を超えた老朽管の長さは4万5000キロメートルにのぼると言われ、水道管破裂事故は全国で年間1200件、下水管の陥没事故は年間4700件も起きています。

更新にかかる費用は莫大です。厚生労働省と国土交通省の試算によると、2025年までに上水道で40兆円、下水道で80兆円、合計120兆円が必要になります。

水道事業者は赤字を垂れ流し続け、投資に回す資金的な余裕などありません。まともに更新したら、多くの自治体が水道料を大幅に値上げしなくてはならないでしょう。

日本の上下水道は苦境に立たされています。地方財政も逼迫しているので財源も当てにできません。新たな事業戦略を打ち出さなければ、ずるずると料金が値上りするでしょう。

 


 

 

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