週刊「水」ニュース・レポート    2013年10月30日号

 

 

 

【今回厳選したニュース】

 

 


 

 

【ニュースを見る目】

 

メタウォーターが自治体向けに、クラウドで利用できる「水道インフラ管理サービス」(SFS/スマート フィールド サービス)の提供を開始するというニュースです。

カギとなるのはAR技術。ARとは、Augmented Realityの略で「拡張現実」という意味です。「現実の世界に、架空の物体などを人工的に提示すること」です。

それが水道インフラ管理につかわれるとどうなるか。

たとえば、水道施設を点検するとしましょう。

このとき作業員は、スマートフォンを装置につけられたARマーカーにかざします。

するとこの水道インフラに関する情報を得ることができます。

たとえば、前回の整備状況の情報が画面に表示されます。

作業履歴、作業マニュアルも見られます。

作業後にはその場で整備結果の入力も可能です。

 

これまで水道インフラに関する情報はバラバラでした。マニュアルや整備履歴などは、納入業者ごとに管理され、オープンになっていませんでした。

「水道インフラ管理サービス」では、日常の点検内容、非常時の対応、作業員のノウハウなどを、クラウド上に蓄積し情報共有を図ります。

では、導入されるとどういうことが起きるでしょう。

当然のことながらノウハウと情報の共有がすすみます。

水道事業者は経費削減のため採用を抑えてきました。人を減らした反面、業務を外部に委託してきたため、肝心のノウハウが水道事業者に残りにくく、ベテランが定年退職したら技術の継承がはかられない可能性が高いのです。

ですから「水道インフラ管理サービス」を導入することで、作業員の経験に依存することなく設備管理できるようになるでしょう。

ただ、精神をどう共有するかも大切です。

ベテラン水道マンは、かつては修理現場に泊まり込んで先達から技術を学び、市民のライフラインを守る誇りをもっていました。

それが管理を外部委託するようになり、技術と同時に精神も失われることがままありました。

浄水場の運転管理や施設管理の民間委託が、単に手順書にある運転しかできない低賃金労働者を生み出す場になったとも言われています。

技術とノウハウが共有されるようになると、「誰にでもできる仕事」と軽視されたり、作業者のモチベーションが低下することもあるので注意が必要です。

もう1つ考えておかねばならないのは、情報をもつものが覇権を握る時代にあって、重要な水マネジメント情報が、特定の民間企業に集積されるということです。

このサービスを導入した自治体は、意図する意図しないにかかわらず、いずれマネジメントをメタウォーターに託すことになるのではないか、という気もします。つまりその自治体の水道経営をメタウォーターが行うことになるのではないか、ということです。

これまでの民間委託の場合、マネジメントは情報を握っている自治体が行っていました。しかし、マネジメント情報をすべて握っている企業があらわれたとき自治体は何を行うのか、企業活動の監督は誰が行うのかなど、課題も残っています。

 


 

 

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