週刊「水」ニュース・レポート    2013年11月6日号

 

 

 

【今回厳選したニュース】

 

  • 「第7回 世界水フォーラム準備会合  ージャパン・キックオフー 」
  • (橋本淳司)

 


 

 

【ニュースを見る目】

 

第7回世界水フォーラムが、再来年(2015年)4月に韓国(大邱慶北)で開かれますが、11月5日、それに向けての準備会合-ジャパン・キックオフ-が東京銀座で行われ、ビジネスマンを中心に多く人が集まりました。

世界水フォーラムは、3年に1度、世界中の水関係者が一堂に会し、地球上の水問題解決に向けた議論や展示などが行われる世界最大級の国際会議です。

フランス・マルセイユで開かれた第6回フォーラムのテーマは"Time for Solutions"でした。それを受けて次回は"Implementation"と掲げられています。課題解決へ向けた具体的行動や手法が議論されることになるでしょう。

開催地の韓国は、国を上げて戦略的に水ビジネスに取り組んでいますから、自国の技術を世界にPRする絶好の機会と考えるでしょう。

日本(企業)も隣国で開催されるという「地の理」を活かし、水政策や水技術を披露する機会となります。昨日集まった多くの人も「この機会に自社の技術を世界にアピールしたい」という考えた人が多かったと思います。

 

それはそれでよいと思いますが、少し頭に入れておいたほうがよいことがあります。

 

世界水フォーラムは単なる展示会ではありません。

課題を設定するということは、「誰か」が「何らかの方法」で、課題を解決するということです。

たとえば、「全ての人の安全な水へのアクセス」という課題が設定され、多くの人の水アクセスが改善されてきたわけですが、そこには「課題を解決する企業」、「課題を解決する技術」があります。

ところが逆のパターンもあります。

はじめに企業や技術があり、それが活躍するにふさわしい課題が設定されるというケースです。

つまり、国、企業に利益をもたらすための、したたかな交渉の場になっています。欧米の政治家の多くは、自国、自国企業の利益のために課題を設定しようとします。

たとえば、アジアが悩まされている「気候変動にともなう洪水への対策」は長らく無視されてきました。これは欧米企業に洪水へのソリューションが乏しいため、洪水対策を課題に設定しても、自国の企業にはメリットがないためです。

洪水対策を議論するパネルが開催されても、同じ時間帯に、重要なパネルがぶつけられ、洪水パネルへの参加者を減らすというような露骨ないやがらせが行われたこともあります。

ミレニアム開発目標以降の新たな国際目標の議論が活発化するなか、世界は大きな転換期を迎えており、韓国での水フォーラムでの課題設定は、その後に大きな影響を与えることになるでしょう。ですから、したたかな交渉が展開されると予想されます。

世界水フォーラムは回を追うごとに、市民やNGO、NPOも参加し、オープンでリベラルな議論の場になってきていますが、根底にはそういうものがあることを理解しておくべきでしょう。

 

このフォーラムには多くの知見が集り、水問題を解決に進めていることは事実なので、より高い視座に立って、したたかに参加するとよいでしょう。

人類にとっての本当の水課題とは何か。それにはどんな行動をすべきか。

そこまで大風呂敷を広げなくても、どのように困っている人がいるのか。その人たちを困難から救うために自分は何ができるのか。

本来あるべき正統な考え方をもちつつ、設定した課題や解決行動に共感の輪が広がることが大切です。

相手にきちんと伝わるような戦略をもって、世界水フォーラムに参加することが必要でしょう。

 

 


 

 

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