週刊「水」ニュース・レポート    2013年12月25日号

 

 

 

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原発事故対策に関わった米専門家2人が汚染水の現状と課題を徹底分析しています。

汚染水の問題は3つあると、週刊「水」ニュース・レポートのなかで書きました(9月11日号)。その概要をまとめると以下になります。

1つは汚染水タンクの水漏れ、2つは地下貯水タンクの水漏れ、3つは地下水流入です。

 

  • <汚染水タンクの水漏れ>
  • 汚染水を貯蔵する「地上タンク」から汚染水が漏れている問題です。複数のタンクから高レベルの放射能を持つ汚染水が外部に漏れています。

 

  • <地下貯水タンクの水漏れ>
  • 原子炉内を冷却した水を保管する「地下貯水槽」からも水が漏れています。中に入っていた汚染水は、「汚染水タンク」に移送されていますが、これによって汚染水タンクが不足するという問題が発生しています。

 

  • <地下水流入>
  • 原発の地下を流れる地下水脈が問題を難しくしています。地下水は、事故を起こした原子炉建屋に流れ込んでいます。この状態を放置すると建屋が汚染された地下水で溢れかえってしまうので、毎日400トンの水をくみ上げて対処しています。

しかし、この汚染水の行き先も地上に設置した汚染水タンクなので、ますます地上のタンクが不足しています。さらに放射性物質で汚染された地下土壌を通過している地下水もあるでしょうし、そのなかには直接海に出ている地下水もあるでしょう。

3つの問題のうち、<地下水流入>の問題が最も対処するのが難しいでしょう。

 

さて、米専門家2人も<地下水流入>への対応にフォーカスしています。

政府は具体的な対策として「内陸部から流れてくるきれいな地下水を、原子炉建屋の手前でくみ出す」「損傷した原子炉およびタービン建屋の周囲を凍土方式の遮水壁で囲むこと」などを打ち出していますが、後者について以下のようにコメントしています。

 

  • 「コストおよび必要となる労働力を勘案して総合的に評価すると、日本政府が320億円を投じようとしている凍土遮水壁の建設には疑問を呈さざるを得ない。遮水壁がこれほどの規模で造られた例は過去になく、その有効性を疑う専門家もいる」
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  • 「そもそも、遮水壁は放射線量の高い場所に設置しなければならないので、その作業は困難かつ危険を伴うものになる」
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  • 「さらに、より重要度の高い循環式冷却システムや進行中の瓦礫撤去、使用済み燃料プールの燃料除去などの作業を邪魔しないよう注意が必要だろう。掘削作業で新たに出てくる汚染水の処理も必要だろうし、建設中は地下水の汚染が増える恐れもある」
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  • 「完成後も、クモの巣のように張り巡らされた冷却パイプの維持・管理は多くの労働力とエネルギーを必要とするだろう」

付け加えると、凍土遮水壁は冷却装置にトラブルがあると機能しなくなります。ですから凍土遮水壁をつくったあとに、鉄製(あるいはコンクリート製)遮水壁つくり、二重に地下水を流れをくい止める必要があるでしょう。

そして、技術的なことばかり注目されていますが、そこで働く作業員のことを忘れてはいけません。高濃度の放射線のなかで働かなくてはならないということ。チェルノブイリでは収束のために80万人が現場で働き、27年経ったいまも、毎日数千人が働いています。

福島の汚染水問題は、オリンピック招致活動の際の、安倍首相の「完全にコントロールされている」という発言で世界中から注目を集めました。しかし、さまざまな課題があり、事故が収束するまでに何度もオリンピックイヤーをむかえるでしょう。私たちは、血をはきながら続ける悲しいマラソンを完走しなくてはなりません。

 


 

 

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