週刊「水」ニュース・レポート    2014年2月19日号

 

 

 

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滋賀県の嘉田知事が「滋賀県流域治水条例」の原案を撤回し、昨日、議会に修正案を提示しました。

ふりかえると、昨年(2013年9月)に滋賀県議会に条例案が提出されました。

この条例のねらいは、治水をダムや河川整備などの公共事業だけに頼らず、地域住民が中心となって備えることにあります。

滋賀県では、豪雨のときに3メートル超の浸水が予測される地域を想定しました。そうした地域では、豪雨時に水に押し流される危険性があります。木造家屋を新築したり改築する場合に、住宅を「かさ上げ」することを求めました。(付近に堅固な避難所ある場合除く。かさ上げしない場合には20万円以下の罰金)

これには賛否両論ありました。

反対意見は以下のようなものです。

 

  • 「かさ上げの資金をどうするのか」
  • 「河川改修が先。必要な河川改修を県が行えば想定水位が下がる」
  • 「本来県が行うべき河川整備責任の一部が、市や県民に転嫁されている」

これに対し嘉田知事は、

 

  • 「知事に就任してから一生懸命、河川整備を行っている。それでも滋賀県には504河川(2000キロ)あり、整備するには100年以上かかる。条例は現実的に全体の安全度を高めようとしている」

と答えています。

今本博建京大名誉教授(河川工学)は、

 

  • 「巨額の費用や時間を費やす従来の治水対策に比べ、現実的な手法」と評価しつつ、「課題もある」と指摘しました。それは、「個人の負担が大きいので、できるだけの救済措置をとるなどの、きめ細かな政策が必要」

と述べています。

 

さまざまな検討がなされた結果、昨日、「罰則は当分の間適用しない」「建築規制の対象地域の指定には有識者らで構成する審議会の同意を得る」を盛り込んだ修正案が示されました。

修正理由について嘉田知事は以下の3点あげています。

 

  • 1)条例提案直前の台風18号(2013年9月15日、16日)の激甚災害を経験した住民のハード整備への要望に柔軟に対応する
  • 2)議会での審議結果(罰則規定への反発等)を反映する
  • 3)地元、関係住民からの意見(地域指定時の地元住民合意条件等)を反映する

知事は修正案について「いつ起きるか分からない甚大な水害から県民の命と財産を守るため議決いただきたい」と、今議会での決着を強く求めています。

 

2013年は「200年に1度」という雨が何度も降りました。地球温暖化、都市部でのヒートアイランド現象などの影響が考えられます。

これは世界的な現象です。くしくも「WIRED.jp」に、

 

という記事が掲載されています。このなかには「科学者は通常、具体的な出来事を気候変動のせいにすることを嫌がる。気候とは、天候の長期にわたる平均に相当するものだからだ。しかしながら、人類による炭素排出は、大気中に蓄えることのできるエネルギーを増加させ、天候パターンを長期的に変えてしまう」という記述があります。

では、今後増えてくる水害に社会としてどんな対策をすべきでしょうか。

これまでの日本は、どんな台風が来ようと、大雨が降ろうと、普段どおりの生活ができるような国土整備を目指してきました。でも、どんな大雨でも学校や会社に行けて、仕事ができるようにインフラを整備する財政的な余裕は残念ながらもうありません。

気候変動への対応を、なるべく低コストで行う策を早急に考えねばなりません。「滋賀県流域治水条例」はその1つのアイデアです。災害は待ってくれません。なるべく早く可決されることをのぞみます。

 


 

 

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