週刊「水」ニュース・レポート    2014年3月26日号

 

 

 

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世界の科学者や政府代表が地球温暖化の最新報告書をまとめる国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の総会が25日、横浜市で開幕しました。

温暖化の影響予測や被害を抑える「適応策」を巡って議論し、31日に報告書を公表します。

IPCCのラジェンドラ・パチャウリ議長は「この報告書が気候変動という複雑な問題を理解する助けになる」と強調し、石原伸晃環境相は主催国を代表し「政策決定者は気候変動問題に対して、政策を変革することが必要だと認識しなければならない」と述べました。

今日は「温暖化」に伴って起きる「水」に関する課題を3つあげます。

1つ目は、海水面の上昇です。先週、環境省の研究チームが発表した影響予測では、最も温暖化が進んだ場合、今世紀末に海面が60メートル上昇し、80%以上の砂浜がなくなる可能性が示されました。

満潮時に海面より地面の標高が低くなる土地を指す「0メートル地帯」は、東京や名古屋、大阪など大都市部に広がっているので、海面上昇の影響を強く受けることになるでしょう。

2つ目に、気温が上昇すると、水の循環のスピードが早くなって、水不足や洪水の被害が増えます。

環境省のプロジェクトチームの報告によると、日本の平均気温は今世紀末には、3.5度から6.4度上昇すると予測されています。すると水不足と洪水を繰り返すようになります。

ヨーロッパでは、昨年の大洪水で120億ユーロ、日本円で約1.7兆円の損害が出ましたが、このレベルの洪水の頻度が、2050年までに1.5倍になると言われています。日本は、去年は「200年に1度」という雨が何度も降りました。でも、今世紀末には北海道以外はすべて亜熱帯性気候になるので、洪水の被害は現在の3倍になると予測されています。

ヨーロッパでは洪水に備えて大規模な予算を組み始めています。一方、日本では豪雨について、いまのところ「異常気象」で片付けられるケースが多いのではないでしょうか。

3つ目に、温暖化の影響は「唯一の水の供給者」である生態系にも現れます。

最近、リンゴが赤くならないケースが報告されています。リンゴを赤くさせる成分「アントシアニン」が高温では生成されなくなることが原因です。

昆虫も敏感に反応します。これまで関東地方では生息していなかったチョウが2000年代になって急に観測されています。たとえば、日本に生息さえしていなかったクロマダラソテツシジミは90年代に沖縄で発見され、西日本を中心に生息域を拡大してきたチョウです。

一方で、寒い地方や高山などに分布している種には絶滅が危ぶまれるものもあるなど、チョウの世界だけを見ても温暖化が生態系へ与える影響は計り知れません。

日本で大きいとされているのが、ブナ林への影響です。

日本には現在、約2万3000平方kmのブナ林があり、クマやカモシカなどの大型鳥獣をはじめ、さまざまな動物や昆虫が生息しています。また、いろいろな種類の草や樹木、キノコなどが息づいており、固有の生態系を形作っています。

しかしながら温暖化の進行に伴ってブナ林が失われつつあり、今世紀末には1990年に比べて最大で約7割、対策をとった場合でも35%は減ると予測されています。

ブナ林が減ることで生物多様性が失われるほか、保水機能や浄水機能が落ちます。この被害コストは、今世紀末に最大で年間2300億円を超えると試算されています。

厳しい現実を受け止めて温暖化対策、そして温暖化の適応策を早めに手を打つべきです。

自然に負荷をかけず、成長を目指さない経済に転換する必要があります。

 


 

 

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