週刊「水」ニュース・レポート    2014年5月7日号

 

 

 

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人が衛生的な生活をするには、排泄物を処理するしくみが必要です。

自然が処理してくれる場合もあるし、トイレのように人工的に処理するしくみが必要な場合もあります。

たとえば、国際宇宙ステーション(ISS)にも、そこで働く人がいる以上、トイレがあります。

見た目は洋式トイレに似ているのですが、大きく違っている点が2つあります。

1つは水を使っていないこと。もう1つは下水道につながっていないことです。

ISSのトイレは、排泄物が飛び散ったりしないよう、掃除機のように空気の力で吸い込み、そのあと真空にして乾燥させます。

小便は便器前方にある掃除機のホースのような管から吸引され、一方、大便をするときは、地上と同じように便座にすわり、レバーを操作して、中央の小さな吸い込み口から吸引させます。

ただしISSは無重力空間。体が浮いてしまう状態で用を足すにはコツがいるので、宇宙飛行士は地上でトイレを使う訓練をしています。

さらに、吸いとった小便は再処理して飲み水や実験用の水として使うことができます。

ISSのトイレは、トイレ革命に必要ないくつかの要素を示してくれています。1つは水を使わないしくみであること、2つは下水道を使わない独立したしくみであること、3つは小便や大便をリサイクルするということです。

小便や大便は「水で流すもの」と考えている人が多いでしょう。

ですが、水を使って排泄物を流すということは、流れていった先に、下水道や浄化槽が必要ということです。

排泄物が流れつく先に処理プラントが設置されている下水道を使っている人は世界人口の5%程度。ほとんどの場合、汚水は処理されず、川や海へ流れていたり、穴をほってうめられています。最近は洗浄水量を減らす動きがありますが、それは水洗トイレが利用できる地域にとってはよいことなのですが、そうでない地域では、別の発想のトイレが必要です。

たとえば、水をいっさい使わないトイレがあります。1つが「無水トイレ」といわれる男性用小便器です。成人男性の排尿量は約250cc。普通はこの尿を4リットル超の水で流しているのですが、「無水トイレ」の場合、水はまったく使いません。小便器下部に備えられたマグカップ大のタンクには、水より軽い特殊な液体が入っていて、この液が尿を上から覆い、においにふたをします。

もう1つ、「バイオトイレ(コンポストトイレ)」も水を使いません。排泄物を有機物や微生物によって分解・発酵し、堆肥などをつくります。

トイレのなかには微生物のすみかとなるオガクズなどが入っています。オガクズには目に顕微鏡でしか見えないような小さな穴が無数に開いていて、そこが微生物の絶好のすみかとなります。スクリューでおが屑をかき混ぜて酸素を吹き込むことにより微生物の活動は活発になります。同様の効果をねらって熱を加えるタイプもあります。このトイレは水使用量ゼロ。下水道などがなくても単体で使用でき、汚水も流れず生活環境は改善されます。

さらにいえば、水とエネルギーはとても深い関係にあります。

水を浄化したり、運んだりするときにはエネルギーが必要だし、反対に、水はエネルギーを生み出す力ももっています。

イギリスのTom Broadbent氏は、水洗トイレの水の流れからエネルギーを生み出す装置を開発しました。

排水が排水管を流れ落ちるエネルギーを利用して発電するので、水力発電ダムをとても小型化したものと言えます。

バイオトイレにもバイオエネルギーを生み出す力があります。

バイオエネルギーとは、食物や動物の排泄物から取り出されたエネルギーのこと。自発的に再生され、枯渇することのない再生可能エネルギーということで、話題になっています。

すでに、牛の糞尿から抜き出したアンモニアを電気分解して燃料電池に活用する技術が開発されいますが、これは人間のし尿にも応用できるので、将来的にはきみの家のトイレで発電できるようになるかもしれません。

 


 

 

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