週刊「水」ニュース・レポート    2014年5月14日号

 

 

 

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今年3月、中国のNGO「杭州環境管理センター」は日本企業数社に対し「中国の水環境を悪化させた責任の一端は日本企業にある。その保障をしてほしい」と求めました。

日本側はPM2.5が話題になることは予想していましたが、水のことを言われるとは思っていなかったので慌てていました。

どういうことかと言うと、日本企業に対し、部品や原料を供給している企業(中国企業もあるし日本企業もある)が、中国国内で水環境を悪化させているというのです。

日本企業は生産にかかる水の多くを海外に依存しています。ここを企業としてどう考えるかが今後問われることになるでしょう。

今日は、中国の水不足について、僕が見たことをお伝えしたいと思います。

いまから17年前の1997年、中国北部を取材しました。世界的に人口が増え、食糧不足と水不足が心配されていますが、なかでも中国北部は深刻でした。

黄河は中国の西部にある青海省に流れを発します。黄河の流れは、四川省、内モンゴル自治区、河南省、山東省など9つの省や自治区を経て、渤海にそそいでいます。統計資料に書かれた全長は5464メートル。ですが、流れは渤海まで届いていませんでした。川が海まで到達しないで途中で途絶えていました。これを「断流現象」と言います。

断流現象は1960年代からはじまりましたが、90年を過ぎた頃から、断流の日数も、流れの途絶える区間も長くなってきました。

とくに1997年は干ばつとも重なり、断流の日数は226日、区間も704キロメートルに達していました。1年の半分以上、渤海に水が流れなかったことになります。

断流の原因は、水源地の気候が変わってしまい、もともと雪が降っていた時期に雨が降っていること。

雪は冬のあいだは山にとどまっていて、春になってからゆっくりと溶けだします。

すると夏のあいだも一定の量の水の流れがあります。でも、雨はすぐに流れてしまいます。すると、夏の時期に水がなくなってしまいます。

流域の人びとが使う水の量も多くなっていました。農業、工業などの生産に使われる水、毎日の生活に使われる水は、年々増えています。

水問題の原因をつくっているのは人間でした。

気候変動は人間が化石燃料を使い、温室効果ガスを排出したことに原因があるとされています。

また、水不足の直接の原因は、人間が大量に水をつかったことにありました。

北京から約300キロメートル西にある山西省の村では、石でできた貯水井戸に人びとが集まり、水をくみあげていました。10リットルほど入る木桶に水をくみ、それをてんびん棒の両端に下げて、家まで運びます。

村の人たちが使える水の量は1日に約20リットルと決められていました。

日本の水道から水を出したら、2分以内にたまってしまう量です。はみがきのときに水を出しっぱなしにしたら、すぐに20リットルが流れていってしまいます。

でも、ここでは家に水道はなく、洗濯もたまにしかできません。

井戸からくんだ水で顔を洗い、その水で洗いものをし、最後は家畜に飲ませました。牛や豚に飲ませる水も足りてはいません。

 

  • 「昔は水があったのですが、いまはこの状態です」
  • 「生活にも困るでしょう」
  • 「麺がゆでられません。私たちの主食は麺類です。麺をゆでるにはお湯が必要ですが、それがない。調理のときは、村で共有する大鍋のまえに列をつくり、順番で麺をゆでることもあります」

水がなくなると食べものを育てるのもむずかしくなります。

山東省の村では、トウモロコシが枯れていました。

村の人に話を聞くと、

 

  • 「この一帯は、かつては中国を代表する穀倉地帯でした。でも、いま水田はありません。数年前までは小麦をつくっていましたが、最近では育てるのに水が少なくてすむトウモロコシにかえた農家が多いのです」

とのことでした。

 

  • 「それなのに水不足で枯れてしまったのですか」
  • 「今年は大幅な減産になりました。暮らしは厳しいです」

水がないと食料はつくれません。水不足は食料不足につながります。頭ではわかっていたことを、山東省でようやく理解することができました。

 

それから17年が経ちますが、中国の水不足は深刻になるばかりです。

しかし、この問題は冒頭にお話したとおり、中国だけの問題ではありません。日本企業が中国の水を使っているという部分もあります。

また、水不足だけでなく洪水の問題もあります。アジアモンスーンという同じ気候帯に位置する国として、今後頻発する洪水にいかに対処するかという共通の悩みもあります。

日本と中国は、気候変動への対応で、共に歩むべきです。洪水対策のノウハウ提供や被災地への支援など協力できることはたくさんあります。

 


 

 

【その他の「水」ニュース】

 

  • 「山形県が進める『穴あきダム計画』の大穴  屈指の清流でゴリ押しされる治水協議の澱んだ内幕」
  • (ダイヤモンドオンライン  2014年5月13日)
  • http://diamond.jp/articles/-/52843