週刊「水」ニュース・レポート    2014年5月21日号

 

 

 

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5月20日、安倍総理大臣から「水循環政策担当大臣」の任命がありました。

去る4月2日に公布された水循環基本法に基づき、水循環に関する施策を集中的かつ総合的に推進するため、20日付で、太田国交相が水循環政策担当大臣に就任しました。

水循環基本法は理念法で、具体的な内容はもりこまれていません。今後、水循環基本本部のなかで、具体的な施策が決められていきます。

では、具体的な施策とは何か。複数の衆議院議員にヒアリングしたところ、重要課題として2点が考えられています。

1つ目は外資系企業による水源地の買収防止策、2つ目は水道事業の立て直し、です。

1つ目に関連して、2010年11月、自民党の高市早苗衆院議員が中心となってまとめた「地下水規制の緊急措置法案」がありました。これは、地下水を「公共の利益に最大限に沿うように利用されるべき資源」とし、「国土交通相が規制地域を定め、保全に必要な場合に地下水取水の禁止や制限ができる」という法案でした。前段部分は水循環基本法のなかに類似の表現があり、後段部分が再度法案として提出されるようです。

2つ目は、疲弊した水道事業をどう立て直すかというものです。

水道経営は非常に厳しくなっています。右肩上がりの経済環境を前提とした過去の設備投資の結果として、巨額の借入金が残っています。その額は、上水道で約11兆円、下水道で約32兆円にのぼります(2010年総務省調べ)。

最近は水道管の破裂事故が頻発しています。日本水道協会の調査では、全国の水道管の総延長約61万キロメートルのうち、法定耐用年数(40年)を過ぎた管路は約3万8000キロメートルと、ほぼ地球1周分に当たり、今後はさらに増えていくことになります。

こうした苦しい状況を解決する切り札として「民営化」が期待されています。

しかし、その効果は疑問です。

水道事業は大きな設備投資を必要とし、ある地域においては独占的な供給が可能になります。そのため一般的な事業を民営化する際の一番の効果である競争原理が働きにくいのです。いま水道に求められているのは成長思考からの脱却ではないでしょうか。経済成長しない社会、人口減少社会においても持続可能な新しいしくみへのシフトが求められています。

水循環基本法は、反対のないまま成立しました。

それは反対の出るようなエッジな効いた文言が、官僚によってすべて削除されたからです。ですから誰も文句のいいようのない「きれいな」法律となっています。多くの人がこの法律の成立を喜んでいましたが、それはこの法律を自分の都合のよく解釈していたからでしょう。

これからいよいよ各論についての議論がはじまります。

 


 

 

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