週刊「水」ニュース・レポート    2014年6月18日号

 

 

 

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富士フイルムが製品ライフサイクル全体の水消費量の算定に着手し、積水化学工業は国内外の事業所ごとに「水リスク」を把握することを決めました。

旭化成や帝人なども水に係わる経営指標を導入しています。

日本企業のCSR報告書のなかにも、水リスクについてふれるケースが増えてきました。利用できる水が限られる点や世界の水不足の問題認識を記載したうえで、自社のビジネスにおける水使用の特徴と水使用量の削減の取組みを説明していることもあります。

具体的に、水の再利用・循環利用を含む水使用量の削減に関する取組み、排水負荷削減に関する取組み、水源保全に関する取組みななどを行っている会社はあります。

ですが海外の拠点や、サプライチェーンを意識している会社はまだごくわずかです。自社が利用する原材料をつくる過程でつかわれる水のこともほとんど考えられていません。

そこで今日は、海外の企業のとりくみを紹介します。

ジーンズで有名なアメリカのアパレル会社、リーバイ・ストラウス社は、バリューチェーン全体での水使用、製品のライフサイクルでの水使用を見ています。ライフサイクルというのは、製品の原料が誕生するところから、廃棄までです。

たとえば、ジーンズのライフサイクルは、

 

綿花生産→生地生産→縫製→輸送・流通→着用→リサイクル→廃棄

 

というふうになります。この7段階に分けて環境負荷を低減しようとしていますが、水に関する重点項目は、「綿花生産」、「製造工程」、「着用」が中心です。

 

 

  • 「綿花栽培」での水使用量を少なく

 

  • リーバイ・ストラウス社の事業活動のうち最も水消費量が多いライフサイクルは「綿花生産」です。綿花の多くは、中国、インド、パキスタンやアラル海周辺でつくられています。綿花栽培には、大量の水が必要です。Tシャツ1枚をつくるには、250グラムのコットンをつかいます。それをつくるのに、2900リットルの水が必要です。
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  • 対策として、2009年から「ベター・コットン・イニシアティブ」に参加しました。
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  • ベター・コットン農法は、より持続可能な綿花栽培をめざしています。水使用をなるべく少なく、農薬使用もなるべく少なく、さらには健全な労働環境と収益性の向上をめざしています。パキスタンでの実証実験では、ベター・コットン農法の導入によって、水と農薬の使用量が約32%減り、収益性は69%向上しました。
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  • ベター・コットンを使用することにより、綿花栽培にかかる水の量を減らすことができます。リーバイ・ストラウス社は、2011年、ベター・コットンを配合したジーンズを2万本販売しました。2015年には全綿花使用量の20%をベター・コットンにするという目標をもっています。

 

 

  • 「製造工程」での水使用量を少なく

 

  • リーバイ・ストラウス社は1992年に「水ガイドライン」をつくり、水資源効率、再利用など、水マネジメントについての具体的な方法をまとめています。これは業界初の試みでした。
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  • 水ガイドラインは、2007年度に改訂されてすべての工場に適用されました。
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  • 2009年には適用範囲が2次サプライヤーまで拡大され、2011年には63社の主要なサプライヤーのエネルギーと水使用量に関するデータ収集を実施しています。
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  • サプライヤーは自社の水使用量のランキングについてフィードバックを受け、削減に取り組んでいます。水を使いすぎているサプライヤーは取引してもらえなくなる可能性もあるので必死です。
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  • また、ジーンズの最終加工の工程では、洗浄と乾燥を行います。たとえば「色落ちジーンズ」の加工には洗浄と乾燥が繰り返されるので、たくさんの水を使います。そこで、水・エネルギー・薬品の使用量を最小限に抑えられるオゾン加工を導入。ストーンウォッシュ加工から水を除くこと等に取り組んだ結果、水使用量を96%削減した製品を開発しました。
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  • この製品は、水使用量の低減をブランド・コンセプトとして発売されました。売上は約1300万本。通常の製造方法のジーンズと比較すると、1億7200万リットルの水消費量を削減したことになります。

 

 

  • 「着用段階」での水使用を少なく

 

  • リーバイ・ストラウス社の発表(2007年)では、ジーンズ1本の綿花生産から製造、着用段階までの水使用量は3000リットル以上であり、なかでも着用段階の洗濯による水使用量はライフサイクル全体の約45%を占めています。
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  • そこで、消費者に対する啓発活動によって、着用段階の水消費の低減に取り組んでいます。ポイントは、「お湯洗いでなく水洗いにする」(お湯はわかすときにエネルギーを使うから)、「洗濯は週1回から2週に1回に」「乾燥機ではなく自然乾燥」です。ジーンズの洗濯を週に1回から2週に1回に減らすことによって年間約500リットルの水を削減する効果があります。
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  • 日本企業の多くは、自社の生産現場での水使用量の低減を考えていますが、原材料の生産や、製品購入者の水使用量の低減まで考えるのが、これからのスタンダードです。

 


 

 

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