週刊「水」ニュース・レポート    2014年7月2日号

 

 

 

【今回厳選したニュース】

 

 

 


 

 

【ニュースを見る目】

 

今日は、この2つのニュースを受けて、気候変動の影響を考えてみたいと思います。

どうも日本では、世界規模で起きている気候変動を「異常気象」で片付けたり、「他国の出来事」と考えたりすることが多いように感じています。

果たして、そうでしょうか?

気候変動が進行すると、水、生態系、食料、沿岸域、健康などのさまざまな分野で影響が出ます。

水についていえば、気温上昇によって蒸発量が増え、豪雨による洪水や土石流、土砂災害などが増加します。また、健康に関する影響として、熱波や熱中症による死亡リスクの増加、熱帯性感染症の増加等があげられます。

 

じつは、気候変動の影響を最も受けるのは、企業活動です。

洪水によって工場の操業が停止したり、原材料が不足することもあるでしょう。

2011年に、タイを中心としたインドシナで大洪水が起きました。この洪水は50年に一度の規模といわれました。

アジアでは、海抜が低いタイに加え、フィリピンでも都市部の排水設備が不十分なため、雨期になると度々大規模な洪水が起きています。アジア以外でも、米東海岸のハリケーン被害や南米ブラジルでの集中豪雨、欧州西部やアフリカ・チュニジア、オーストラリアでの降水量増大など、各地で激しい雨が増えています。

こうしたところに拠点があると、工場が操業停止になるリスクがあるといえるでしょう。

 

また、日本企業は原材料の多くを海外に頼っています。

気候変動は、原材料の生産に大きな影響を与えます。

2010年、パキスタンを襲った未曾有の大洪水が襲いました。7月末、北西部で記録的な大雨が降り、インダス川に沿って、洪水が中流のパンジャブ州や下流のシンド州に広がりました。国土の5分の1が水につかる深刻な事態となり、死者およそ1900人、被災者は2000万人に達し、経済は壊滅的な打撃を受けました。パキスタンは世界第4位の綿花の産地ですが、畑が水につかました。綿花価格は高騰し、アパレル業界に大きな影響を与えました。

アマゾン川河口でも最近は雨期が早まり、雨の激しさが増しています。アマゾン川の水位が早く上がるようになり、畑を使える期間が短くなりました。作物が成長する十分な時間はなく、畑が水没する冬には耐水性コンテナに苗を移して水面に浮かべ育てるなどしています。

反対に干ばつの被害もあります。オーストラリアの干ばつが発生した際、オーストラリア産の小麦に大部分を依存している讃岐うどんが大きな影響を受けました。世界中から原材料を調達するグローバル化が進んでいる現在、気候変動によりサプライチェーンに影響を受ける可能性はどの企業にもあります。

 

国内でも台風や洪水、豪雨などの風水害リスクが増加しています。すると事業が直接的もしくは間接的に影響を受けることが考えられます。

温暖化やヒートアイランド現象の進行にともない、ゲリラ豪雨の頻度が増加しています。気象庁では1時間に50mm以上80mm未満の雨を「非常に激しい雨」、80mm以上の雨を「猛烈な雨」と表現しています。2013年の「非常に激しい雨」は237回。「猛烈な雨」は25回で、1975年から2013年までのトレンドは増加傾向にあります。

また、生活用水の使用量増加により下水管の流下能力が低下する一方で、都市全域が舗装されたことで雨水が地面にしみこまなくなり、河川や下水道から水が溢れ出る都市型水害のリスクが増加しています。

豪雨によって工場の生産ラインがストップするケースもあります。

気温の上昇にともない、屋外で働く従業員の熱射病リスクが増え、従業員の安全管理や業務運営に支障をきたすおそれもあります。

こうしたなか企業がどれだけ気候変動に向き合っているかが問われています。

1997年の地球温暖化防止京都会議で京都議定書が採択され、日本は温室効果ガスの排出量を1990年比で6%削減することになりました。また、政府は2020年までの温室効果ガス排出削減の中期目標を、2005年比で15%減とする方針を打ち出しています。こうした温室効果ガスの排出規制のルールづくりは、国レベル、自治体レベルで強化されています。企業にとっては、ルールに対応するためのコスト増加が問題になるケースがあるでしょう。

ですが同時に、気候変動に対する企業の取り組みが、企業ブランドや商品の競争力に影響を与えることがあります。

商品の製造から廃棄までのライフスタイルを通して排出された温室効果ガスの量を商品上に表示することによってCO2の量を見える化するカーボンフットプリント制度が注目を集めはじめていますが、こうした取り組みにより、消費者の環境意識がより高まります。既に飲料メーカー等が、カーボンフットプリントを表示した商品を試験的に販売していますが、将来的には、価格た品質だけでなく、CO2の排出量が商品のマーケティング戦略上の重要な要素になる可能性があります。

さらには、商品のみならず、気候変動への企業自身の取り組みが企業競争力に影響を与える可能性があります。企業がCO2の削減に消極的で、同業他社と比較して「低炭素経営」への取り組みが遅れている場合、企業の評判低下を招く可能性があるでしょう。

世界各地で進行する気候変動の影響は大きく、緊急の対策が必要なのです。

 


 

 

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