週刊「水」ニュース・レポート    2014年7月31日号

 

 

 

【今回厳選したニュース】

 

  • 「水循環基本法フォローアップ  水を守る自治体は何を望むか」
  • (橋本淳司  2014年7月30日)

 


 

 

【ニュースを見る目】

 

明日8月1日は「水の日」です。

「水の日」の制定は1977年のこと。もともと水不足になりやすい8月に、「水資源の有限性、水の貴重さ及び水資源開発の重要性」について国民の関心を高め、理解を深めるために設けられました。この日を初日とする1週間は「水の週間」とされています。

明日8月1日は「水循環基本法」(本年3月成立、7月施行)ができて、はじめての「水の日」となります。法律のなかに「8月1日を水の日とし、政府と自治体はその趣旨にふさわしい事業を実施する」と明記されているためか、今週は各地で水をテーマにした会合が開催されています。

会合のなかには、水循環基本法の普及啓発を目的としたもの、具体的な個別法を考えるものなどもあります。水循環基本法は理念法です。概要は以下の5ポイントにまとめられます。

 

  • 水を「国民共有の貴重な財産」と位置付ける
  • 政府は水循環基本計画を定め、5年ごとに見直す
  • 内閣に水循環政策本部(本部長=首相)を置く
  • 政府と自治体は森林、河川、農地、都市施設などを整備する
  • 政府は水循環に関する研究開発を推進し、研究者を養成する
  • 8月1日を水の日とし、政府と自治体はその趣旨にふさわしい事業を実施する

これらを具現化するための法整備は、「これから」という状況です。水循環政策本部が開催され、来年7月までに水循環基本計画を策定しますが、本部も各省庁の集まりで構成されており、省庁利害を超えて法律の理念をどこまで具現化できるか注視する必要があります。

では、具体的に現場はどのような個別法を望んでいるのでしょうか。そこで、すでに地下水の保全条例を制定している自治体、あるいは今後の制定を準備している自治体の担当者に、どのような個別法の制定を望むかを聞いてみました。

インタビューをして感じたのは温度差があること。「水循環基本法ができたからもう大丈夫」という自治体から「水循環基本法の理念を具現化するには、現在の国のシステムでは困難」という自治体まであります。どちらかといえば後者の理解が正しいです。

次に現場の具体的な要望を紹介したいと思います。細かなものまで数えると32の要望がありましたが、主な5つをまとめました。

「土地所有者の責務を規定して欲しい」・・・水循環基本法では、国、地方公共団体、事業者、国民の責務が規定されているものの、土地所有者の責務は規定されていない。国土所有が国外化している実態に照らしたとき、土地所有者の責務を規定して欲しい。

「地籍調査を簡素化して欲しい」・・・水資源を保全するに当たり、土地所有者の確認を行いたいが、実際には地籍長が進んでいない。所有者の明確でない土地が数多く残っている。地籍調査を簡素化して欲しい。

「流水占用料を市町村の財源に」・・・水資源保全のアクションを行うための予算がない。流水占用料を市町村の財源にできるよう河川法を改正して欲しい。

「農業用水使用の弾力化」・・・地下水強化には田んぼを活用した涵養が有効だが、現状、農業用水は慣行水利権により認められた灌漑期に限り使用できることとなっている。涵養効果が認められた場所については、慣行水利権の延長を認めて欲しい。

「地下水涵養域の森林伐採の規制」……地下水涵養域を指定し、その地域については一定の開発等の行為を規制できるような法制度があれば、涵養域の減少に歯止めがかかる

このほか地下水汚染をくい止めるため、農業と環境の連携、農業が主体となった水質保全策なども考えられるでしょう。

いずれにしても、国が法律を整備し自治体がそれに基づいて行動するのではなく、自治体が知恵を出して行動し、国はそれをフォローする法律を考えるという流れのほうがよいと考えます。

また、企業や市民は、行政任せにするのではなく、地域の地下水保全に積極的に関与するべきでしょう。

 


 

 

【その他の「水」ニュース】