週刊「水」ニュース・レポート    2014年8月13日号

 

 

 

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これまでビジネスパーソンに「水について考えたことがありますか」と聞くと、「いいえ」という答えか、「何で水のことを考えなきゃならないの」という答えがかえってくるのが普通でした。一部の企業が「飲料水事業」「水インフラ事業」「水処理事業」に取り組んでいたり、環境部門の活動として「水」がテーマになることはあっても、多くのビジネスパーソンにとっては「水」は「関係ないこと」だったと思います。

しかし時代は変わり、いまや水のことを考えておかないと、将来、あなたの仕事の存続は危ないかもしれません。

「日々の仕事で水なんか使ってないけど」

そんな声が聞こえてきそうですが、あらゆる製品は水なしでつくれません。部品の組み立て工程や、製品の提供の場面などは、水とは無縁に思えても、原材料をつくる段階では膨大な水をつかいます。

たとえば、あなたが、ファーストフードチェーンで働いているとしましょう。

お客様からコーヒー1杯、ハンバーガー1つを頼まれました。さて、コーヒー1杯、ハンバーガー1つには、どれくらいの水がつかわれているでしょう。

コーヒー1杯は125ミリリットルです。「だったら、それと同じくらいの水ではないか」と思うかもしれませんね。何しろコーヒーをいれるときにつかう水はそれくらいですから。

でも、そうじゃないんです。じつは132リットルの水がつかわれています。わずか1杯のコーヒーにペットボトル(2リットル)で66本分の水がつかわれているなんで驚きです。どうして、これだけの量になるかというと、原料であるコーヒー豆を栽培するのに水が必要だからです。

では、ハンバーガーはどうでしょう。あなたがハンバーガーを調理するときには、水はつかわないでしょう。バンズに、レタス、トマト、牛肉、タマネギ、ピクルスなどをはさめばできあがりです。でも、バンズをつくるには小麦を育てなくてなりません。レタス、トマト、タマネギを育てるにも水は必要です。とくに牛を育てるにはたくさんの水をつかいます。牛が水を飲む以外に、飼料を育てるときに水をつかうからです。このように考えると、ハンバーガー1個をつくるのに、2400リットルの水が必要になります。

あなたはこう思うかもしれません。「原材料をつくるときにつかう水は、うちの会社に関係するの?」と。

ですが、もしあなたの会社の原料をつくっている農場で水不足が起きたらどうなるでしょう。日照りが続いて、牛のエサが育てられなくなった。トマトやレタスをつくるために使っていた井戸水が枯れてしまった。あなたの会社は、いくらお金を払っても、牛肉や野菜やコーヒー豆が買えなくなります。お客様にコーヒーやハンバーガーを提供できなくなります。あなたの会社は提供できる商品を失い、倒産してしまうでしょう。

ほかの商品も見てみましょう。アパレル産業は、あまり水と関係なさそうに思えます。強いて言えば、衣類を洗濯するときにつかう水をイメージするかもしれません。でも、そんなことはないのです。アパレル産業では、さまざまな衣料品を扱います。たとえば、Tシャツはどこからやってきたのでしょう。中国の工場? 製造はそうかもしれませんが、そのまえの綿花はどこでできているのでしょうか?コットンの多くは、中国、インド、パキスタンやアラル海周辺でつくられています。コットンの栽培には、大量の水が必要です。

あなたもTシャツを着るでしょう。Tシャツ1枚をつくるには、250グラムのコットンをつかいます。それをつくるのに、2900リットルの水が必要です。これは災害時に活躍する給水車1台分の水とほぼ同じです。

アパレル産業では、財布、ベルト、カバンなどの革製品もあつかっているでしょう。牛革1キロには17000リットルの水が必要です。

こういう製品や商品をつくるのに必要なすべての水の量をウォーターフットプリントといいます。あなたの会社の製品やサービスには、どれくらいの水が必要なのか、調べてみてください。

多くの場合、問題はサプライチェーンです。製品をつくるためにつかっている原材料や部品がどこからきているかということです。自社のなかのことであれば見えやすいのですが、サプライチェーンは見逃しやすいのです。

原料として生物由来のものはつかっていない。コンピュータや車などの工業製品をつくっているので関係ないという会社もあるでしょう。しかしながら、鉄、アルミニウム、銅などの鉱物資源を掘り起こすときには、大量の水をつかいますし、製造過程でも水を使います。製品をつくる過程、原材料をつくる過程でつかう水が十分に得られなくなる可能性があります。

欧米企業はその対策に動きはじめています。具体的にいうと、製造委託先まで含めたサプライチェーン全体で、水を使いすぎていないか、汚染水を出していないかを把握しはじめています。サプライチェーン全体の水リスクを把握できる体制を強化し、今後「水使用量に関する指標」が定着することを見越して活動しています。

一方の日本企業はだいぶ遅れを取っています。下請け企業が中国で汚染水を流し続けたために、製造を委託していた日本企業の評判が現地で著しく悪化したりしています。

欧米企業のトップは、製造拠点を考えるときには必ず「水リスク」を考え、もはや「水リスク」を織り込んだ意思決定は常識となっています。また、投資家が企業の「水リスク」に興味をもっているので、「水リスク」をかかえた企業は、今後投資が受けにくくなるでしょう。

 


 

 

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