週刊「水」ニュース・レポート    2014年8月28日号

 

 

 

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果たして、警戒区域の指定は「住民にとってメリットがない」のでしょうか。1999年、広島市や呉市などで30以上が犠牲になる土砂災害が起きました。これを教訓に2001年、土砂災害防止法が施行され、宅地開発への本格的な規制が始まりました。

ですが、それがきちんと機能していたかどうかは疑問です。

というのは、

 

  • 広島市の土砂災害危険箇所は6040カ所

そのうち、

 

  • 警戒区域に指定されているのは1877カ所

危険箇所のうち警戒区域に指定されたのは31.1%にすぎません。

広島県の湯崎英彦知事は警戒区域の指定が少ないことについて、「住民に直接のメリットがない」とコメントしています。すでに土砂災害危険箇所に住宅を建ててしまった人については、何の意味もないということなのでしょう。

はたしてそうでしょうか。自分の住んでいる場所が、土砂災害危険箇所なのかどうか知っていることは重要だと思います。住宅は一生の買い物なので、危険箇所だからといってすぐに引越をすることができないのはわかります。しかし、住み続けていても今回のように雨が降り続いたときに警戒感を強めることはできたでしょう。

不動産会社や地主にとっては、警戒区域に指定されると資産価値が下がると考える人も多いのです。しかし、土砂災害危険箇所であることを隠して売るのは、情報の隠蔽です。瑕疵商品であることを隠して売っているようなものです。もし「災害はこないだろう」とか「売ってしまえばおしまいだ」などと考えていたとしたら、そうとうに罪深いことです。

一方、滋賀県の流域治水条例策定の際は、不動産会社がとても協力的でした。浸水する恐れのある土地の情報を公開することによって、お客にきちんと判断してもらおうというわけです。仮に購入するにしても、そういう土地だとわかって利用できますし、盛り土をするなど事前の対策を打つこともできます。

さらには、海面上昇という問題もあります。

日本の沿岸部には、満潮時に海面より地面の標高が低くなる土地「0メートル地帯」があります。その面積は、8万6100ヘクタール。野球のグラウンド(両翼100m?)で数えると861個分の土地です。

こうしたところは海面上昇の影響を受け、大雨のときなどに大きな被害が出る可能性があります。

「0メートル地帯」は東京、名古屋、大阪など大都市部にも広がっているので警戒が必要です。仮に、海面が1m上昇すると大阪では、北西部から堺市にかけて海岸線は、ほぼ水没します。東京でも、江東区、墨田区、江戸川区、葛飾区のほぼ全域が影響を受けます。

危険な土地には住まないにこしたことはありません。しかし、やむを得ない事情で住んでいることもあります。そうそう引越しするのもむずかしい。その場合でも、きちんとした情報を得て、災害に備えることは住民に大きなメリットがあります。

 


 

 

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