週刊「水」ニュース・レポート    2014年10月15日号

 

 

 

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国際NPOのCDPから地球温暖化防止への取り組みを高く評価され、2014年度の「気候変動パフォーマンス先進企業(CPLI)」と「気候変動情報開示先進企業(CDLI)」に選定されました。

CDPは運用資産総額87兆ドルを有する722の機関投資家を代表し、日本企業500社(FTSEジャパンインデックスを基本とする大手企業500社、以下 ジャパン500)を対象に、温室効果ガス排出量や気候変動がもたらすリスクや機会などの気候変動に関連する情報開示を求める調査を実施し、企業からの回答内容に基づく評価結果を公表しています。

今日は、気候変動によって企業活動がどんな影響を受けるかをまとめてみます。

気候変動が進行すると、水、生態系、食料、沿岸域、健康などのさまざまな分野で影響が出ます。

水についていえば、気温上昇によって蒸発量が増え、豪雨による洪水や土石流、土砂災害などが増加します。また、健康に関する影響として、熱波や熱中症による死亡リスクの増加、熱帯性感染症の増加等があげられます。

 

洪水によって原材料が不足したり、工場の操業が停止することもあるでしょう。

2011年に、タイを中心としたインドシナで大洪水が起きました。この洪水は50年に一度の規模といわれました。日本企業の工場も大きな被害を受けました。企業への損害保険支払い金額は9000億円(再保険分も含む)と、東日本大震災の企業向け地震保険支払額6000億円を上回っています。

アジア開発銀行の調査では、アジアの約8割の国で、水を巡る環境が危機的状況に直面しているとされています。

人口増加や工業化の中で配水などのインフラ整備が追いついていないためで、改善には1300億ドル(約12兆4800億円)の投資が必要だといいます。

ADBによると、世界で起こる災害の9割は洪水や台風など水に関連するもので、発生件数は増加傾向にあります。

アジアでは、海抜が低いタイに加え、フィリピンでも都市部の排水設備が不十分なため、雨期になると度々大規模な洪水が起きています。

さらに、アジアでは6億人以上が海抜10メートル以下の沿岸部に住んでおり、被害を受けやすい。予報や警報のシステムを整備するなど、災害への耐性を強化することが必要です。

アジア以外でも、米東海岸のハリケーン被害や南米ブラジルでの集中豪雨、欧州西部やアフリカ・チュニジア、オーストラリアでの降水量増大など、各地で激しい雨が増えています。

こうしたところに拠点があると、操業リスクを受けやすいといえるでしょう。

原材料についても同じことが言えます。

2010年、パキスタンを襲った未曾有の大洪水が襲いました。7月末、北西部で記録的な大雨が降り、インダス川に沿って、洪水が中流のパンジャブ州や下流のシンド州に広がりました。

国土の5分の1が水につかる深刻な事態となり、死者およそ1900人、被災者は2000万人に達し、経済は壊滅的な打撃を受けました。パキスタンは世界第4位の綿花の産地ですが、畑が水につかました。綿花価格は高騰し、アパレル業界に大きな影響を与えました。

アマゾン川河口でも最近は雨期が早まり、雨の激しさが増しています。アマゾン川の水位が早く上がるようになり、畑を使える期間が短くなりました。作物が成長する十分な時間はなく、畑が水没する冬には耐水性コンテナに苗を移して水面に浮かべ育てるなどしています。

反対に干ばつの被害もあります。オーストラリアの干ばつが発生した際、オーストラリア産の小麦に大部分を依存している讃岐うどんが大きな影響を受けました。世界中から原材料を調達するグローバル化が進んでいる現在、温暖化によりサプライチェーンに影響を受ける可能性はどの企業にもあります。温暖化による農作物の収穫量低下は、食品産業の現材料調達コストの増大を招き、直接的に企業の財務面へ影響を及ぼします。

 

国内でも台風や洪水、豪雨などの風水害リスクが増加しています。すると事業が直接的もしくは間接的に影響を受けることが考えられます。

温暖化やヒートアイランド現象の進行にともない、ゲリラ豪雨の頻度が増加しています。気象庁では、1時間に50㎜以上80㎜未満の雨を「非常に激しい雨」、80㎜以上の雨を「猛烈な雨」と表現しています。2013年の「非常に激しい雨」は237回。「猛烈な雨」は25回で、1975年から2013年までのトレンドは増加傾向にあります。

気温の上昇にともない、屋外で働く従業員の熱射病リスクが増え、従業員の安全管理や業務運営に支障をきたすおそれもあります。

そのほか冬の商品やサービスに影響が出る可能性があります。たとえば2008年〜2009年の暖冬の際、家電量販店の暖房器具の売上げが半減しました。雪不足により通常のシーズンの半分程度しか営業できないスキー場が続出しました。暖冬による暖房機器の売上げ減少、スキー場の運営への影響、夏の冷房機器の売上げ増加といった現象はすでに出始めています。気候変動は企業の売上げを左右します。

 

1997年の地球温暖化防止京都会議で京都議定書が採択され、日本は温室効果ガスの排出量を1990年比で6%削減することになりました。また、政府は2020年までの温室効果ガス排出削減の中期目標を、2005年比で15%減とする方針を打ち出しています。

こうした温室効果ガスの排出規制のルールづくりは、国レベル、自治体レベルで強化されています。企業にとっては、ルールに対応するためのコスト増加が問題になるケースがあるでしょう。

ですが同時に、気候変動に対する企業の取り組みが、企業や商品の競争力に影響を与えることがあります。

ジェトロ(独立行政法人日本貿易振興機構)が行った調査によると、消費者が商品を購入する際、環境に配慮されている商品であるかを意識しているかを聞いたところ、「かなり意識している」、「意識している」、「まあ意識している」を合わせると、約5割の人が「意識している」と回答しています。

商品の製造から廃棄までのライフスタイルを通して排出された温室効果ガスの量を商品上に表示することによって温室効果ガスの量を見える化するカーボンフットプリント制度が注目を集めはじめていますが、こうした取り組みにより、消費者の環境意識がより高まる可能性があります。

既に飲料メーカー等が、カーボンフットプリントを表示した商品を試験的に販売しているが、将来的には、価格た品質だけでなく、温室効果ガスの排出量が商品のマーケティング戦略上の重要な要素になる可能性があります。

さらには、商品のみならず、温暖化への企業自身の取り組みが企業競争力に影響を与える可能性があります。企業が温室効果ガスの削減に消極的で、同業他社と比較して「低炭素経営」への取り組みが遅れている場合、企業の評判低下を招く可能性があるでしょう。

反対に、企業の温暖化への取り組みや情報開示の姿勢に対して、投資家や消費者からの圧力が増すリスクがあります。

たとえば、日本の鉄鋼メーカー等の企業は、競争上不利益を受けるとしてエネルギー消費情報の開示を拒んでいましたが、情報公開法に基づくエネルギー消費量の開示を求められ、環境NPOから提訴されました。

また、日本の自動車メーカーを含めたメーカー6社は、自動車から排出されている温室効果ガスにより数十億ドルの損害が出ているとして、カリフォルニア州政府より2006年9月に提訴されました。

米国の連邦地裁はこの訴えを退けていますが、米国環境保護庁は2009年4月に、温室効果ガスは大気汚染物質であり大気浄化法による規制対象になるという見解を示しています。このため、企業に対するこうした訴訟リスクが今後増加する可能性があります。

このように気候変動の影響はさまざまなところに出てきます。

 


 

 

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