週刊「水」ニュース・レポート    2014年10月29日号

 

 

 

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静岡県の川勝平太知事は10月23日、JR東海の柘植康英社長と会談。柘植社長は。リニア中央新幹線の南アルプスでの工事で「毎秒2トン減る」と予測した大井川の水量問題を考える「大井川水資源検討委員会」を設置すると報告しました。

品川−甲府間を先行開通し、南アルプスの工事を後回しにするよう求めている知事は記者団に「工事には優先順位がある。南アは難工事であるのが当然なので、慎重であるべきだ」と主張しました。

本線のトンネルのなかでも、とりわけ長いのが南アルプス横断トンネルです。

小渋川など2カ所の川を渡る橋の部分で少しトンネル外へ出るだけなので、実際には山梨県富士川町から豊丘村に至る延長約50キロのトンネルと考えてよいいでしょう。富士川、大井川、天竜川という三河川の流域を1本のトンネルで貫くわけですが、現在、水涸れについて最も心配されているのが大井川です。

JRが大井川水系源流部の7地点で工事後の河川流量を試算したところ、赤石発電所木賊取水せき上流で毎秒2.03トン減るという結果が出ました。毎秒2.03トンは同地点の平均流量(11.9トン)の約17%に相当します。

毎秒2.03トンという水は、下流域の島田、掛川など7市約63万人の水利権量とほぼ同じです。該当する地域の自治体は懸念を示し、JRに対し、保全措置を尽くしても減水となる場合は、代替水源を確保し、利水団体と継続的に協議することなどを求める要望書を提出しました。

とくに掛川市の住民は複雑な思いでしょう。なぜなら過去にトンネル工事が原因で、生活に利用してきた湧き水が枯れてしまった経験があるのです。粟ヶ岳の中腹には地下水が湧き出る水源がいくつもあり、地域特産の茶の栽培に欠かせません。

また、工事によって、河川や湖沼の水深が浅くなる、流れが切れる、水温が上がるなど、生態系がダメージを受ける可能性は高いのですが、長大なトンネルの建設現場を取り巻く南アルプスには多様な希少動植物が存在します。

静岡市、川根本町を含む3県10市町村は同地域を含むエリアでユネスコエコパークの登録を目指し、開発と保全の整合性が問われています。アセス準備書は、県条例が保護対象とするラン科の植物「ホテイラン」の生育環境を「保全されない可能性がある」と明記しています。絶滅の危険性が極めて高いとされるイヌワシやクマタカなども同様の評価です。

水涸れや希少な動植物の絶滅というリスクをおかしてまで南アルプスでの工事を進めるべきなのか、甚だ疑問です。

 


 

 

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