週刊「水」ニュース・レポート    2014年11月19日号

 

 

 

【今回厳選したニュース】

 

  • 「グリーン・イノベーションEXPO『今求められる水リスク情報の開示と企業戦略』」

 


 

 

【ニュースを見る目】

 

先週に続いて「グリーン・イノベーションEXPO」の報告です。11月14日(金)にシンポジウム「今求められる水リスク情報の開示と企業戦略」が行われました。

企業が関わる水情報が、IR情報として注目されつつあります。もし工場が水不足の地域にあれば操業できなくなります。原材料をつくっている地域が水不足になれば大事な原材料が入手できなくなります。水そのものの値段が上がったり、水をつかってつくられる原材料の価格が上がることもあります。そうしたことが企業収益の悪化、さらには永続性への懸念につながります。

英国のCDP(カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)は、世界各国の企業の「温室効果ガスの排出状況」「水の利用状況」「森林資源の利用状況」などの情報を収集し、機関投資家に報告しています。

現在、温室効果ガスの排出状況調査「CDPカーボン」を利用している機関投資家数は767機関、その合計資産運用残高92兆ドルです。

水の利用状況調査「CDPウォーター」を利用している機関投資家数は573機関、その合計資産運用残高70兆ドルです。

欧米や北米の機関投資家とその資金は、企業の温室効果ガスの排出状況や水の利用状況を見て、投資先を決めるようになったという認識をもってもらいたいと思います。

では、日本企業の回答状況はどうか。

2014年、「CDPカーボン」のアンケート調査が送られた日本企業は約500社で、そのうちの240社が回答しています。

一方、「CDPウォーター」のアンケート調査が送られた日本企業は約150社、そのうちの83社が回答しています。

まだまだ少ないのが現状です。カーボンについては比較的意識の高い企業が多いのですが、水については「自社に水リスクはない」と考える企業がほとんどです。

しかし、環境分野における保証業務を行うKPMGあずさサステナビリティと英国の環境調査会社であるトゥルーコストが、日経平均採用銘柄225社の操業とサプライヤーの水消費量を分析しました。すると操業における水の平均使用量は年間約190億トンでした。その一方で、サプライヤーは年間約600億トンの水を使用していました。つまり、サプライチェーン全体での水使用のうち、76%はサプライヤー(主に原材料生産)で水をつかっていることになります。日本企業は、企業活動に必要な水のほとんどを海外に依存しており、そこに水リスクが存在します。

では、どのように情報開示をするか。

カーボンでいえば、「自社の直接的な排出状況」(Scope1)、「利用電力による排出状況」(Scope2)、「取引先や社員の通勤などによる間接的な排出状況」(Scope3)があり、Scope3まで調査するのはなかなか大変であり、情報開示するのは勇気が必要でしょう。

ウォーターでいえば、「自社の直接的な水の利用状況」「サプライチェーンも含めた水の利用状況」について「情報開示するレベル」、「水リスクを認識するレベル」、「水リスクをマネジメントするレベル」「水リスク対策でリーダーシップをとるレベル」と4段階に評価されます。これについても、「サプライチェーンも含めた水の利用状況」を調査するのはなかなか大変です。

しかし、こうした積極的な対策が、機関投資家から評価されること、企業の持続性につながることになるのです。この分野の入門書としては、拙著「いちばんわかる企業の水リスク」がおすすめです。

 

企業の方だけでなく、企業といっしょに地域の水を保全したいと考える行政の方や市民の方にも参考になる具体的なアクションを紹介しています。

最後に参考資料として「CDPウォーター質問書2014」を添付します。

 

 


 

 

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