週刊「水」ニュース・レポート    2015年1月21日号

 

 

 

【今回厳選したニュース】

 

  • 「えこめ牛が水を育む秘密」
  • (橋本淳司)

 


 

 

【ニュースを見る目】

 

牛が水を育むってどういうこと?

むしろバーチャルウォーターの観点から見ると、牛肉の生産には大量の水が必要なんじゃないの?

と思う人が多いでしょう。食料生産にはたくさんの水をつかいます。

 


[食べものをつくるのに必要な水](厚生労働省HPより)

 

  • トウモロコシ1本     86.8リットル
  • たまねぎ1個          37.9リットル
  • みかん1個             37.4リットル
  • パイナップル          752リットル
  • 牛肉300グラム       6180リットル
  • 豚肉300グラム       1170リットル
  • 鶏肉300グラム       1350リットル

 


すごい量ですよね。ですから食料をつくれば水は減るというのが常識ですが、ときに食料をつくりながら水を増やすこともできます。

熊本県では生活用水の約8割が地下水。とくに熊本地域(熊本市、菊池市の旧泗水町と旧旭志村、宇土市、合志市、大津町、菊陽町、西原村、御舟町、嘉島町、益城町、甲佐町の11市町村からなる地域)は地下水依存度が高く、熊本市の水道は100%地下水です。

その地下水が減りはじめました。その原因は田んぼが減ったことでした。熊本地域の地下水涵養量は年間6億4000万tで、そのうち3分の1を水田が担います。とくに白川中流域の水田は、他の地域に比べて5〜10倍の水を地下に浸透させます。

熊本地域の田んぼの面積は、1990年の1万5000haから2011年に1万haになりました。

田んぼに張った水は少しずつ地中に浸透します。その量は地質等によって変わりますが、全国平均では1日約2cmとされ、1ha当たり2万tの水が浸透する計算になります。稲作期間を100日と考えると、200万tの水が地下へ浸透する計算になります。田んぼは地下水を育む場所と言えます。

そこで地下水位回復を狙い、涵養事業がはじまりました。協力農家に、稲刈り後の田んぼに水を引いてもらいます。その費用を熊本の水をつかっている企業が負担するというしくみです。

さて、家畜を育てるには飼料が必要です。たとえば、鶏卵1キロを生産する場合に必要なトウモロコシは3キロ、鶏肉1キロでは4キロ、豚肉1キロで7キロ、飼育期間が長い牛肉では11キロ必要になります。

日本は、年間に消費する1600万トンのトウモロコシのほぼ全量を輸入しています。

2011年まではそのうちの9割以上をアメリカから輸入していましたが、2012年からは様子が変わりました。アメリカが大干ばつに襲われたためです。アメリカの穀倉地帯といわれる中西部を中心に、国土の6割で干ばつの被害が出ました。トウモロコシと大豆の価格はいずれも史上最高値を記録し、小麦もそれに迫りました。この傾向はそれ以降続いているのです。

熊本県では、家畜のえさにする飼料米の生産も行います。

こうすることで海外からのトウモロコシや小麦の輸入量を減らすことができ、さらに地下水涵養も進むというメリットがあります。

飼料米を食べた牛は「えこめ牛」と呼ばれ、東京都内のレストランでステーキになっています。ラ・カンパーニュの北岡飛鳥シェフは「フランスのブランド牛シャトレー種に負けない、サーロイン自体のうまさが際立つ味わい。油部分がまろやかで甘みのある香りが素晴らしい」と評しています。

えこめ牛は米を食べて育ちます。米をつくるときには水田に水をはります。その水が地下に浸透するので熊本地域の地下水が増えます。よって「えこめ牛は水を育む牛」なのです。

熊本から他の都道府県に出ている方は、えこめ牛を食べるとふるさとの水を増やすことに協力できます。「えこめ牛 レストラン」と検索してヒットしたお店に行ってみるといいですね。

 


 

 

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