週刊「水」ニュース・レポート    2015年3月30日号

 

 

 

【今回厳選したニュース】

 

  • 「Water Literacy Open Forum〜水の授業を受けてみよう〜」
  • (アクアスフィア  橋本淳司)

 


 

 

【ニュースを見る目】

 

3月28日、東京都三鷹市にある国際基督教大学で「Water Literacy Open Forum」が行われました。

「Water Literacy」とは「水知識」。もともとはインドで生まれた考え方で、「安全な水を持続的につかっていくためには、市民1人ひとりが最低限の水知識をもつ必要がある」ことからはじまっています。

日本で「Water Literacy」の研究をしているのが、国際基督教大学のマーク・ランガガー教授です。2012年秋、同大学にて、「Water Literacy国際シンポジウム」が行われ、世界各地の水知識のレベルの比較や、水知識を育む活動が紹介されました。

僕はこのとき「中国での節水教育」「緩速ろ過(生物浄化法)方式の浄水装置を市民が維持管理する事例」について発表しましたが、他国の発表を聞くうちに、日本には「水教育」というものが確立されていないことに気づきました。

もちろん社会科で「水はどこからくるか(浄水場)」について学んだり、理科で「川の働き」「水のものを溶かす」「水が凍る・沸騰する」ことなどを学びますが、学年も教科もバラバラです。

なにより、「安全な水を確保するにはどうしたらいいか」、「水を涸らしたり、汚したりすることなく、持続的につかっていくにはどうしたらいいか」、「洪水や津浪など水の脅威から身を守るにはどうしたらいいか」、「人間は川や海など、水とどう接したらよいのか」など、生きていくうえで最低限身につけておくべきことが決定的に抜け落ちていると感じました。

水の確保、水の浄化、災害対策などを人まかせにするうちに、水への意識がとても薄くなり、いろいろな課題を見落としていたり、何かおきたときに手が打てなくなってはいないか。

そんなことをマーク・ランガガー教授と話し、「Water Literacy Open Forum」を開くことになりました。OpenなForumですから、参加者は国籍、職業、年齢も多様、考え方も多様、取り扱う内容も多様です。ただ、グランドルールとして、お互いを尊重するフラットな対話の場であること、「10歳の子どもに伝えるWater Literacyは何か」を未来志向で考えること、としています。

28日に行われた第4回は、1日で6つの水の授業を体験する内容でした。

 

  • 1時間目は「身近な水を調べてみよう」(国際基督教大学名誉教授の吉野輝雄さん)。身近な水辺の水質を調べ、水環境と生活との関係について考えました。参加者は、自宅の近くの水(川、池、井戸、水道水)を持参。パックテストという「試薬の入った簡易的な水質検査キット」をつかって調べます。参加者は「うちの近くの川は見た目はきれいだけど硝酸塩が含まれていた」「場所によって水道水の硬度に差があるなんて驚き」「水質検査は楽しい」などと言っていました。

 

  • 2時間目は「途上国の水とトイレを考えよう」(ウォーターエイドジャパン)。5人1組のグループになりロールプレーを行いました。ウガンダの少年、地元議員、衛生担当者、日本企業の営業マン、途上国の水支援に興味のある学生の役を演じながら、それぞれの立場で課題とその解決方法を話し合います。参加者からは「自分たちで安全な水を確保することの大切さがわかった」「支援の方法は現地の状況によって多様であることがわかった」「NGOやNPOがどういう活動をしているかがわかった」などの意見がありました。

 

  • 3時間目は、三島北高校の「水の授業」。静岡県立三島北高校は文部科学省のスーパーグローバル・ハイスクールに選ばれ、水を題材にしながら、国際理解、コミュニケーション能力、問題解決能力を育む授業をスタートさせました。生徒が「カンボジアの水不足と日本の水不足」「バーチャルウォターという指標の活用方法」「アフリカへの支援のあり方」などについてポスター発表し、参加者とセッションを行いました。「高校生がここまでやるなんてすごい」「テーマをもって自分で調べていくというスタイルはとてもよいと思う」「自分もこういう勉強がしたかった」などの感想がよせられました。

 

  • 4時間目は「プロジェクトWETをつかった授業」(東京農工大学准教授 佐藤敬一さん)。桜の花がどんどん開いていく校庭にとびだし、水が凝結する様子、森を間伐することが水に与える影響などを体験しました。教える側が知識を与えるのではなく、参加者が活動を通じ、「水」そのものや、その大切さや重要性に気づくという方法で、「久しぶりに大学のキャンパスで体を動かして楽しかった」「凝結という言葉はずっと知っていたけれど、今日はじめて、ああ、そういうことなのか!とわかった」などの声がありました。

 

  • 5時間目は「話してみよう!インドと日本の水事情」(国際基督教大学教授 マーク・ランガガーさん)。インドのWater Literacy財団のマサギ博士と会場をつなぎ、インドの水事情、水管理の方法などについて対話をしました。インドのある集落の事例で、「ため池にためた雨水が水源だが、そこでは家畜も水浴びしている」「人の糞尿も流れこんでいる」「その水を3つの溜池に流しながらろ過して飲んでいる」などの話に参加者は大きなインパクトを受けていました。

 

  • 6時間目は「でかけよう!ぐるぐるめぐる雨つぶの旅」(雨水市民の会)。雨水市民の会のつくった「雨つぶぐるぐるすごろく」をやりました。これは、雨のしずくになって水循環の旅を楽しみます。自然界から人のくらしの中まで、雨がたどる様々な道のりを知り、めぐる水の恵みと私たちのくらしの関わりに気づきます。すごろくをやりながら会場からはあつこちで笑いが起きていました。さいころの目によって雨が森に落ちたり、まちに落ちたり、水道水になった自分が、人体に入ると「おしっこになるはやだー」という悲鳴(笑)も起きていました。

参加者は、所属も年齢も多様。

高校、大学、教員、行政、企業、各種団体などに所属する10代から70代までの約70人が、ひとあじ違った水の授業を楽しんでいました。気温は日中20度まで上昇し、朝には1分咲き程度だった桜が、夕方にはきれいに咲き誇っていました。

 


 

 

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