週刊「水」ニュース・レポート    2015年4月1日号

 

 

 

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じつは上水道の維持管理よりも下水道の維持管理のほうが大変なことになっています。東京以外のほとんどの自治体の下水道経営は赤字を垂れ流しているような状態です。

下水道は地域間で整備水準の格差が大きいインフラです。その普及率は、人口100万人以上の自治体で98%、50万〜100万人の自治体で81%であるのに対して、5万人未満の自治体では42%。その理由は、人口減少や財政難です。これからの人口減少時代を考えると、人口の少ないコミュニティーでも持続できるしくみが求められています。

そこでこの記事のような下水道のイノベーションが求められているのですが、地方の下水道は「散水ろ床」という下水処理方法への切り替えがおすすめです。

イギリスではこの方式が現役で活躍していますし、「海外水インフラPPP協議会」の説明資料のなかには、安価な水処理技術として紹介されています。

 

日本でも岩手県盛岡市で稼働しています。
(下記ののWEBSITEに掲載されている盛岡終末処理場がそれです。)

 

現在の主流の下水処理法である「活性汚泥法」は、エアレーションやポンプ稼働に大量の電力が使われていますが、「散水ろ床法」ならコストダウンが図れます。

しくみは、とても単純で、天然石を深さ4メートル程度しきつめた「ろ層」に均一に廃水を散水します。廃水はろ層を通過する過程で、石の表面に付着している生物群集によって分解されます。BOD成分を処理するのは微細な菌類ですが、この菌類を補足するさまざまな微生物がろ床で活躍します。

散水ろ床の優れた点は4点あります。

 

  • 汚泥の発生が極端に少ない。活性汚泥法より自然に近い状態を再現することで、食物連鎖のより高いピラミッドが形成され、結果として汚泥発生が少なくなる。(活性汚泥処理は処理が悪化すると、余剰汚泥量が増加する。これを専門的知識もなく付け焼刃で対応しようとすると、無駄に曝気やその他に電気を使用することとなり、電気使用量も増加する)
  • 単位面積当たりの処理量が上がるので、施設の設置面積が少なくてすむ。
  • 安定した処理が可能。
  • イニシャルコストは活性汚泥法より高いが、ランニングコストを含めた比較では6、7年で活性汚泥法を下回る。

散水ろ床法は、コストや衛生面でとても厳しい食品工場の廃水処理施設としても稼働しています。施設のつくり方の工夫で、ハエや悪臭の問題もなく一般的な活性汚泥処理より優れた処理を行っています。

懐古主義的に昔の方法をすすめているわけではありません。

都市と地方の人口格差が広がるなか、すべての地域で都市型のテクノロジーが適正技術なわけではありません。ローテクのほうが使い勝手がよく、経費面での負担も小さいのです。

「散水ろ床」こそ、持続可能な下水処理技術なのです。

 


 

 

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