週刊「水」ニュース・レポート    2015年4月29日号

 

 

 

【今回厳選したニュース】

 

 


 

 

【ニュースを見る目】

 

水について、さまざまな示唆のあるスピーチです。あらためて水について考える機会になるかもしれません。

水は身近な存在ですが、一方で、あらゆる物質のなかで最も不思議な性質をもっていると言われます。「異常な物質」と呼ばれるほどに。

子供たちに「水の授業」をすると、水の不思議な性質について数多くの質問が出ます。素朴な疑問ですが、簡単には答えられないものが多いのです。今日は「お休み」の人も多いでしょうから、実際に子供たちから出た質問に答えるかたちで、不思議な世界にご案内しようと思います。

 


「水の不思議 子どもたちの質問に答えながら」

 


【質問1】グラスの氷はなぜ浮かんでいるの?

水は液体、固体、気体という3つの状態に変化します。通常の気圧である1気圧においては、温度が0〜100℃のとき液体として存在します。このとき水分子は、いくつかが集まってグループになったり、そのグループからはなれたりしながら、いろいろな方向へ向かって自由に動いています。

0℃以下に冷やされると、氷という固体になります。温度が下がると、分子同士がくっついて動かなくなります。

水に熱を加えた場合、100℃で沸騰して気体になります。温度が上がると、水分子の運動が速く激しくなり、グループから完全に離れて外へ飛び出していきます。

普通の物質は、液体でいるときよりも、固まって固体になったときのほうが、密度(体積あたりの重さ)が大きくなります。ところが水は、氷になると密度が小さくなります。

水分子は、氷になるとくっつきあって1つになりますが、不思議な形をしているので、きちんと並ならんでもすき間がたくさんできてしまうのです。

つまり液体の水のときのほうが、分子同士のすき間が小さいことになります。

だから、同じ体積で比べると、水より氷のほうが軽くなるというわけです。

飲みものに入れた氷が浮かぶのも、氷山が海に浮かぶのも、水の密度が氷になると下がるためです。グラスの氷が浮かんでいるのも、海に氷山が浮かんでいるのも、こういう理由からです。

 

【質問2】なぜ池の表面は凍っても中は凍らないのか?

水も空気も温まると軽くなって上昇します。

沸かすタイプの風呂の場合、バスタブの上のほうの水は熱くなっていても、底のほうは冷たいことがあります。それは温まった水が表面に上がってきたためです。

では、寒い冬の朝、池に張った氷を割ってみると、なかが液体の水なのはなぜでしょうか。

池や湖でも同じです。ワカサギ釣りを知っていますか。厚く張った氷に穴をあけると、その下には液体の水があり、ワカサギは元気に泳いでいます。冷たい水が下へ沈むのなら、底から凍っていくはずです。

これには水の密度が関係しています。水の密度は4℃(宝石の会社みたい!)のときが最も大きく、それより温度が上がっても下がっても密度は小さくなります。水の温度が下がると、重くなった水は下へ沈みます。しかし4℃より冷たくなると水は軽くなり、沈まなくなります。そして表面はどんどん温度が下がり、凍っていきます。

池の氷で考えると、まず水の表面の冷たい空気に触れている部分が底の方の水より冷たくなります。温度が下がって重くなった水は底の方へ沈んでいきます。表面の水がさらに冷たくなり四℃より下がってしまうと、水は沈まなくなって表面から凍りはじめます。

考えてみると、この水の性質がおかげで、生物は生きることができます。もし池の水が底から凍っていったとしたら、魚は死に絶えてしまったでしょう。

 

【質問3】なぜ海辺のまちは内陸のまちよりも1日の気温差が少ないの?

太陽から熱を受けると、岩石や土壌など陸地の表面は、簡単に温度が上昇します。一方で、海水はなかなか温度が上昇しません。

水には「あたたまりにくく、さめにくい」という性質があります。一方、陸地は「あたたまりやすく、冷めやすい」という性質があります。陸地を構成する物質は比熱容量が低いため、朝、太陽が昇るとすぐに温度が上がりはじます。すると陸地の大気も、温度が上がった陸地に熱せられて温まります。

一方、海水の温度はなかなか上がりません。すると海洋の大気は、陸地の大気より温度が低くなり、海から陸への「空気の対流移動」が起こります。この風を、海から陸へ吹くので「海風」といいます。

しかし太陽が沈むと、陸地の温度は急速に下がり、陸地の大気の温度も下がります。

その一方で、海水の温度は急に下がりません。海面上の大気も温度が下がらず、陸地の大気よりも温かくなり、陸から海への「空気の対流移動」が起こります。この風を、陸から海へ向かって吹くので「陸風」といいます。

内陸部は、陸風、海風が吹かないので、昼間は温度が高く、夜間になると温度が下がり、日中と夜間の気温差が大きくなります。

砂漠はほとんど水がないので、日中と夜間の温度差が、極端になります。ただし、オアシスは地下にも水があるし、湧き出している泉も、水分を蓄えた植物も生えています。そのため昼間でも極端に高温にならず、夜間でも極端に低温にはなりません。オアシスが生活しやすいのは、水があるだけでなく、気温変化の少ないことにもよります。

さらに言えば、私たちが一定の体温を保つことができるのも水のおかげです。人間の体は、成人の場合、約60%が水です。

体のなかで水がどれくらいの割合をしめているかは年齢によって異なります。生まれたばかりの新生児は、約88%が水ですが、成人になると60%になり、おじいさん、おばあさんになると減っていきます。60歳で50%台に落ち、80歳になると35%くらいにまで下がります。

 

【質問4】なぜ水にはいろいろなものが溶けるのか?

食塩水とは食塩がとけている水です。砂糖水とは砂糖が溶けている水です。塩や砂糖を水に入れてかきまわすと、そのうち見えなくなってしまいます。どうして塩や砂糖は見えなくなったのでしょうか。

まず、塩が水に溶ける過程を見ていきましょう。まず、塩の分子(塩化ナトリウム)が水に入ります。次に、塩の分子が、ナトリウムイオンと塩素イオンという、もっと小さなつぶに分かれます。イオンは水の分子に囲かこまれて、まんべんなく混ざります。このような順序ですっかりとけるので、見えなくなります。

砂糖の分子は、水の中でイオンにはなりません。そのかわり、砂糖の分子は、水の分子を引きつけやすい部分をもっています。水の分子を引きつけて混まざるので見えなくなります。

このように水には物質を溶かす性質があります。

水は、いろいろなものをとかします。塩や砂糖だけでなく、岩石や金属まで、目に見えないつぶにしてとかしてしまいます。海水には1リットル当たり約35グラムの物質が溶けています。金、銀など60種以上の元素が溶けています。水がものをよくとかすのは、水の分子の性質に秘密があります。

1つは、いろいろな物質の分子を小さく分ける性質です。 水に入った食塩の分子は、ナトリウムイオンと塩素イオンに分かれます。これは、水の分子に電気で引きよせる力があるためです。

もう1つは、物質の分子とくっつく性質です。 水の分子は水素の部分で、他の分子とくっつくことができます。これを水素結合といいます。 水にはこのような性質があるので、いろいろなものをよくとかします。

水に溶けるのは固体や液体だけではありません。酸素や窒素、二酸化炭素など、多くの気体も溶かします。

スーパーやコンビニで見かけるミネラルウォーターとは、マグネシウム、カルシウム、カリウムなどの無機物(ミネラル分)が豊富にとけこんでいる水のことです。また、発泡性のミネラルウォーターも売られています。これは地中で水と二酸化炭素(炭酸ガス)が出会い、水に溶け込んだものです。

マグネシウム、カルシウム、カリウムなどの固体は、水の温度が高いほどよくとけます。反対に酸素や二酸化炭素は温度が低いほどよくとけます。 

最近は、水の汚染が深刻になっていますが、これも水のなかにさまざまな物質が溶け込むことではじまります。たとえば水のなかに植物性プランクトンが異常発生し、魚がすめなくなったり、水が悪臭をはなったりする「富栄養化」は、水に窒素やリンなどが溶け込むことではじまります。

水ほど自分とは性質の違うものを数多く溶かす液体はほかにはありません。海水には自然界に存在する92種類のすべての元素が溶け、私たちの血液や細胞にも水によってさまざまなものが溶けています。イオンにならない非電解質や、メタンのような気体分子、そし食べ物として摂取した油でさえも、細かく分散するとわずかながら溶けます。

じつは私たちも水の溶かす力を利用しています。

たとえば、食べ物からとった栄養を体中に運ぶときです。 動物は食べ物からとった栄養を、胃や腸から血液の中に入れ、血液にのせて体中に運びます。反対に、体内の老廃物を体外へ出すこともします。動物は体内の不要なものを、血液に溶かして運び、最後に尿や便として体外へ出します。

植物も土の中の養分を水に溶かして、枝や葉まで運びます。葉でつくった養分も水にとかして運んでいます。

水は、非常に多くのものを溶かすことができるという特性のため、生き物の体内では水に溶けた様々な物質を用いて、「代謝」と呼ばれる生体化学反応によって、生命活動に必要なエネルギーや各種の物質を作り出し、不用になった物質を分解しています。

この「代謝」は、水という溶媒の中で行われているとともに、その生体化学反応の触媒として作用する酵素タンパク質もまた、水に囲まれた柔軟な立体構造を保っているためにその機能を発揮することができるのです。

 

【質問5】打ち水をすると涼しくなるのはなぜか?

夏の暑い日に道路に水をまく「打ち水」。打ち水の目的はアスファルトの表面に水をまくことで、表面温度を下げることにあります。水は接するものから熱をうばって蒸発するからです。

水は通常100℃で沸騰する(1気圧のとき)。これはほかの液体に比べてとても高い。

水を構成する分子が、水素結合という強い力で結びついているため、気体になるには多くの熱エネルギーを必要とするからです。汗をかくと体温が下がって涼しくなるのもこのためで、汗が蒸発するときに体から熱を奪っています。

この気化熱があることで汗をかくと体温調節ができます。また熱帯の真夏の海も、日光が強くても水分の蒸発によって大量に熱が奪われるため、その表面が沸騰したり、極端に温度が上昇することはありません。このため海の上層に棲む生物は熱から守られています。

いかがでしたか。水の不思議な性質のいくつかをご紹介しました。こうして見ると、私たちが生きていられるのも水の不思議な性質のおかげだということに気づきますね。

 


 

 

【その他の「水」ニュース】