週刊「水」ニュース・レポート    2015年5月6日号

 

 

 

【今回厳選したニュース】

 

  • 「きらめ樹フェス2015@奥多摩  5月9日開催」

 


 

 

【ニュースを見る目】

 

今週末の5月9日(土)、2つの森、2つの水源が守れるイベントがあります。とくに東京にすむ人は、毎日使う水にとても関係のあるイベントです。東京西部の人は多摩川の水の恩恵を受けていると思いますが、それを育む奥多摩の森が舞台だからです。

 

人が植えた木は、間伐という方法で「お手入れ」しなくてはなりませんが、価格競争で外国産材にやぶれたため、放置されることが多くなってきました。放置された森は、水をすいこむ力、水をきれいにする力がよわくなってしまいます。

そこでいま、間伐が注目されているのです。いろいろな間伐の方法があり、プロの林業家の方たちも工夫をこらした間伐をしていますが、ぼくのような素人でも、女性や子どもたちのような比較的腕力の弱い人でもできる「皮むき間伐」という方法があります。

皮むき間伐は、まず、木の幹にノコギリで一周切れ目を入れます。

そして切れ目から竹のヘラをつっこんで木の皮を浮かせます。

次に浮いた皮を手でしっかりともち、腕を上にあげるように引っ張ると、皮がピリピリとむけます。ほとんど力はいりません。

では、皮をむくことが、なぜ間伐になるのでしょう。

皮の部分には、木の血管にあたる導管が通っています。

皮をむいて導管がなくなることによって、根から吸い上げた水は上に上がらず、葉っぱが光合成で獲得したエネルギーも下におりなくなります。水とエネルギーの動きが止まるので、立ち木でありながら、切り倒されたのと同じ状態になります。

木は1年ほど立ち木のまま自然乾燥させたのちに切り倒します。

1年のあいだに、葉っぱや木の表面から水分が抜け、すぐに建材として使えるほど乾燥が進みます。何より運び出すときの重さは生木の3分の1程度になり、大人が2人でかつげるくらいになります。

この方法なら、木を運ぶための大型機械を買ったり、新たな道を整備したりしなくても間伐がおこなえます。

間伐がすすむと暗かった森に光が入り、下草がはえてきます。

皮むき間伐をおこなってから3年たった森を歩いたことがあります。

かつてむきだしの地面にほっそりした木々が立っていた場所は、いまでは数十種類の草木におおわれていました。こうした植物は、もともとこの地面にあった植物です。何年もまえから地中にあった種が、間伐で光が入ったことで芽を出し、育ったのです。また、新たに鳥や動物や虫が運んできたものも多くあります。

生命を感じさせなかった森が、皮むき間伐によって命あふれる場所としてよみがえり、それと同時に、土壌が水をためる力ももどります。

地面を掘ってみると土の様子が変わり、スポンジのようになっていました。近くの裸地と比較すると見た目も手触りもあきらかに違いました。

こうして毎日つかう水が育まれます。山に水が浸透するということは洪水の防止にも役立ちます。

間伐の体験は、まわりの木材製品を考えるきっかけにもなるでしょう。身の回りの木材製品を見ると、机、家具、書棚、本棚など、ほとんどが海外から輸入された木でつくられているのではないでしょうか。

しかし、マレーシア、インドネシア、ロシアなどでは大量の木が伐採され、森林破壊が起きています。安い家具を買うということは、海外の森林破壊に間接的に関わっている可能性があるのです。

日本の木材自給率は2割です。国内の人工林を放置する一方で、他国から木材を購入してその国の森林を破壊していると考えると胸が痛みます。知らず知らずのうちに、2つの森をダメにしているのですから。

世界屈指の木材輸入・消費大国である日本の消費者が、森に対する意識をもつかもたないかは、世界中の森の保全に大きな影響をおよぼすでしょう。

あらゆる資源が不足している日本ですが、木に関しては、世界にほこれるほどの備蓄量があります。この資源を間伐という「お手入れ」によって守りながら活用することで、2つの森と自らの水源を守ることができるのです。

そんなことを感じられるイベントになるでしょう。

 


 

 

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