週刊「水」ニュース・レポート    2015年5月27日号

 

 

 

【今回厳選したニュース】

 

  • 「その下水道は本当に必要か?」
  • (橋本淳司)

 


 

 

【ニュースを見る目】

 

多くの水道事業は財政的に逼迫しており、人口減少社会を見据えた適正規模への縮小、適正技術への移行が課題です。

しかしながら、いまだに拡大を模索したり、既存計画の見直しが図れないケースも多いのです。

実際、政府のバラマキによって各地で下水道事業計画が加速しています。

それが料金値上げ、公共サービスの低下、さらには自治体の財政破綻につながる可能性があります。

1つ例をあげましょう。

和歌山市は2008年、39.3%の下水道料金値上げを実施しました。

当時、和歌山市郊外にある中央終末処理場は、計画処理能力の約64%しか使われていませんでした。

下水道供給に関する市の計画人口は32万8000人でしたが、実際の利用者は8万9000人でした。人口増を前提にした計画が、結果として過大投資につながったのです。

さらに下水道管は引いたものの一般家庭に接続されていないケースも目立ちました。

それが料金収入の伸び悩みの一因になったのですが、背景にあったのは住民の高齢化です。下水道管から一般家庭までの接続費用は、基本的に住民負担です。しかし経済的に余裕のない高齢者のみの世帯が増え、接続が進まなかったのです。

下水道事業は、1990年に閣議決定された「公共投資基本計画」において、91年からの10年間で総額430兆円の公共投資が実施されることが定められました。

 

  • 道路整備もピークを過ぎた・・・・・・
  • 農地の基盤整備もほぼ終わり・・・・・・
  • ならば、今度は下水道!

と期待されたのです。

それを国が強力に後押ししました。

初期投資には国庫の補助があり、さらに起債の元利償還金に対しても半分近くが交付税措置されました。

そして90年代、地方の景気対策と称して、多くの自治体が下水道整備に走りました。

ですが、和歌山市に見られるような使用料収入の伸び悩みもあり、自治体には巨額の負債だけが残ったのです。生活環境対策と言いながら、じつは目先の経済対策で、あとのことは考えられていませんでした。

いま全国の自治体でゾンビの群れように下水道計画が復活しています。地方創世の名のもとにばらまかれた資金はゾンビ復活のためにつかわれ、やがて負の遺産を残すことになります。

 


 

 

【その他の「水」ニュース】

 

 

 

  • 「報告書:10年後のインドは水資源不足に直面、外資に13億ドル規模の商機」
  • (新華ニュース  2015年5月26日)
  • http://www.xinhuaxia.jp/social/70236