週刊「水」ニュース・レポート    2015年6月17日号

 

 

 

【今回厳選したニュース】

 

  • 「Steeper temporal distribution of rain intensity at higher temperatures within Australian storms
    (温暖化が進むと嵐の降雨変化はより大きくなる)」
  • (Nature Geoscience  2015年6月8日)

 


 

 

【ニュースを見る目】

 

今週はアジア各地での暴風雨、洪水、そして干ばつのニュースがありました。たとえば、

 

 

  • 「バンコク洪水で交通マヒ、批判受け都知事「全力で取り組んでいる」
  • (「VIET JO」2015年6月16日)

 

などです。これらに関連して「温暖化が進むと嵐の降雨変化はより大きくなる」という研究報告を紹介します。

Ashish SharmaとConrad Waskoは、オーストラリア全体の広範な気候帯にまたがる、79か所の気象観測所における嵐発生時の降雨量測定値を集計し、地表近くの気温と比較しました。

その結果、気温が上昇したときに起きる嵐の降雨分布は、嵐の始まりと終わりでは「降雨量は少ない」のですが、ピーク時は「降雨量はより大きくなる」ことを見つけました。

つまり、小雨だと安心していたら、いきなり豪雨になり、それが短時間に集中するということです。

たとえば、ある地点での4時間の雨量が200ミリだとしましょう。これまでは「40ミリの雨が5時間続く」というものだとすれば、温暖化時には、「最初の1時間は10ミリの雨、次の1時間は90ミリ、次の1時間も90ミリ、次の1時間は10ミリ」となるわけです。

一般的に、気温の上昇とともに、強い降雨の頻度と強度は増加すると考えられています。しかしながら、嵐の発生から収束までの過程で、降雨分布がどのように変化するかは考えられていませんでした。

昨年8月20日の広島市での豪雨災害では74名と胎児1名という多くの命が失われました。

当日は狭い範囲に集中的に雨が降りました。

広島市中心部から安佐地区は10キロほどの距離ですが、安佐北地区の1時間当たりの雨量は、20日午前3時が80ミリ、午前4時が101ミリなのに対し、広島市中区では、午前3時が9.5ミリ、午前4時が1ミリと大きく違うのです。

気象庁では50ミリ〜80ミリの雨を「滝のように降る雨」、80ミリ以上の雨を「息苦しくなるような圧迫感がある。恐怖を感じる」と表現しています。広島市の8月の平均的な降水量は110ミリなので、1か月分の雨が1時間で降ったことになります。

私たちは、集中豪雨というものに慣れているため、対策もあまくなりがちです。

しかし、これまでの豪雨とは性質の違うもの。未曾有の時代に突入していることを真剣に考えなくてはなりません。

 


 

 

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