週刊「水」ニュース・レポート    2015年6月24日号

 

 

 

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R25の記者から「いままで飲んだおいしい水道水はどこの水ですか?」と聞かれました。

これはとてもむずかしい問題です。

同じ自治体でも原水や浄水場によって味が違います。同じ時に飲んだわけではないので、体調によっても水の味の感じ方は変わります。

だからあくまで「超主観」であることなど、数々の前置きをしたうえで、BEST5を選んでみました。そのほかにもおいしいところをいくつかあげたのですが、5つといわれてこうなりました。

記事になると、苦しんだ部分はいっさいなくなっているところが、つらいのですが。。。

今日は、この記事の補足をしてみたいと思います。

水道の味は、「原水の質」と「ろ過方法」によって決まるのですが、今日は原水の話をします。

地下水は理想的な水です。一般的に水質良好で量も豊富。水資源として安定しています。取水が容易で費用も安いのです。地下水の原料は雨ですが、地表に落ちて土壌にしみ込むうちに、たくさんの種類の微生物が浄化してくれます。浄化され、炭酸ガスを含んで地下に入ると岩を溶かし、微量のミネラルを含みます。

こうしておいしい水ができあがります。きれいな地下水を原水とすると、浄水処理などせず、わずかに塩素殺菌するだけで水道水として供給できます。

しかし、地下水の水質が悪化している地域もあります。鉄マンガン、鉄バクテリアを含む水、生物の棲む水はろ過しないと飲めません。ハイテク汚染といって、半導体チップ、精密機械などの仕上げに使う洗浄剤などが地下水を汚染するケースもあります。さらには硝酸性窒素です。茶畑、高原野菜、果樹園などで窒素肥料をたくさん撒くと、それが土壌に浸透し、やがて地下水を汚染します。

次に河川水です。同じ川の水を原水として利用していても、源流近くと下流では味が違います。源流近くの汚染されていない原水であれば、わずかに塩素消毒するだけで水道水として供給されます。しかし、水にはあらゆる物質を溶かすという性質がありますから、下流になるほど農業排水、工場排水、生活排水など原水に混じります。

3番目がダム水です。水は貯めると水質が悪化します。春から初秋までは、プランクトンが繁殖し臭気を出します。アンモニア、硫化水素も発生します。 

「水の博士」として著名な小島貞男氏は、日本の水道水を4段階に分けていました。

一番おいしい「特級水」は、湧き水や良質の地下水を、わずかに塩素消毒しただけで直接給水している水道水です。

次においしい「1級水」は「上」と「下」の2段階に分かれます。

「上」は、汚染されない上流の河川水や湖沼水、伏流水を原水とし、緩速ろ過でつくった水です。

「下」は、原水は「上」と同様ですが、急速ろ過によってつくった水です。

ここで緩速ろ過、急速ろ過について説明しておきましょう。

緩速ろ過とは、浄水場のろ過層の表面にすむたくさんの微生物によって水をきれいにする方法です。雨が地表に落ちて土壌にしみ込むうちにたくさんの種類の微生物によって浄化されると前述しましたが、これを人工的に再現したもので、おいしい水ができます。

一方の急速ろ過は、原水に含まれる汚染物質を薬品によって沈めたのち、ろ過します。現在、日本の多くの浄水場がこの方式を採用しています。

次の「2級水」は、汚染された下流の河川水や、富栄養化したダム水を緩速ろ過によって浄化した水です。

最後の「3級水」は、汚染された下流河川水や、富栄養化した湖沼水を急速ろ過によって浄水した水です。下流の川やダムの水質のよくない原水は、カビ臭の原因になります。消毒用の塩素の量も増えますが、塩素がアンモニア窒素と結合し、クロラミンという物質をつくります。これがカルキ臭の原因です。

現在は、ここに高度浄水処理が加わりました。高度浄水処理は、通常の浄水処理では十分に対応できない、かび臭原因物質、トリハロメタンのもととなる物質、カルキ臭のもととなるアンモニア性窒素等の処理を目的としたものです。

代表的な処理法としては、オゾン処理、活性炭処理があります。

オゾンは空気中の酸素からつくった気体で、強い酸化力や殺菌力をもち、水中のかび臭などを分解することができます。

活性炭処理は、通常の浄水処理では除去できない水に溶ける有機物を活性炭で吸着除去します。異臭味物質、残留農薬、フェノール類等の微量有害物質や、合成洗剤、トリハロメタンなどの除去に有効です。これらを急速ろ過に組み込んだものが高度浄水処理です。水質は向上しますが、莫大な電力を使用します。

こうしてみると1級ほどお金がかかっていなくて、2級、3級となるうちに、手間や処理などでお金がかかっていることがわかります。

だからこそ地下水を保全することが大切なのです。ぼくがBEST5に地下水を原水とする水道水を選んだのは、こういう理由があります。

一口に水道水といってもいろいろあります。皆さんのところにやってくる水道水は、どういう原水を、どう処理したものなのでしょうか? 調べてみるとおもしろいと思いますよ。

 


 

 

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