週刊「水」ニュース・レポート    2015年8月3日号

 

 

 

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2016〜30年の開発や環境分野の目標を先進国と途上国が共有しようとする国連の「持続可能な開発のための2030アジェンダ(仮称)」の政府間交渉が大筋で固まりました。9月下旬の国連総会にあわせて開催される首脳会合で最終合意し、採択されます。

今年で「ミレニアム開発目標(MDGs)」の期間が終わります。「ミレニアム開発目標」は途上国の問題をいかに解決するかという視点でつくられましたが、次の目標は「持続可能」がテーマであり、日本も含めた先進国もその対象となっています。ですから私たちの社会も「持続可能」にシフトしていかなくてはなりません。

水の分野でも「持続可能かどうか」を考えなくてはならないことがたくさんあります。

たとえば、豪雨による災害。一昨日は台風なみの低気圧の影響で各地が豪雨に見舞われました。今後も気をつけていかなくてはならないでしょう。こうした豪雨の一因とされているのが地球温暖化で、昨年のような巨大台風や爆弾低気圧の被害にいかにそなえるかを考えないと危険です。日本の大都市は標高の低いゼロメートル地帯もかなり多くありますし、地下街、地下鉄も多いですから。

また、日本は海外の水に依存して成り立っている国です。食料品の生産にかかる水、衣料品(綿花など)の生産にかかる水など、ほとんどを海外に頼っていますが、輸入元で干ばつが発生しているケースもあります。私たちの水をめぐる状況は、けっして持続可能な状況ではありません。まずは、そのことを認識することが必要でしょう(現実には事態はかなり深刻だと思っています)。

そうした目で「持続可能な開発のための2030アジェンダ(仮称)」を見ると、多くのことが水に関係してきます。

「持続可能な水源と水と衛生の確保」(目標6)というのはもちろんなのですが、

「貧困の解消」(目標1)とはまさに水問題です。水のないところでは生産活動ができませんし、水汲みなどの労働に多くの時間を費やさなくてはならず、衛生的な暮らしもむずかしいため、貧困のスパイラルに陥ります。

「持続可能な農業の促進」(目標2)を行うには水をどのように利用するかが課題です。なぜなら世界の淡水資源の7割は食料生産につかわれており、水不足が進行したために食料生産ができなくなっています。

「レジリエントな(回復力のある)インフラの構築」(目標9)という点では、まさに日本の上下水道や治水政策がこれにあたります。水道経営が破綻寸前であり、治水もコンクリートで水をコントロールするには限界があります。持続可能な利水・治水政策を考える必要があります。

「安全、レジリエント、かつ持続可能な都市および居住区」(目標11)、「気候変動およびその影響と闘うための緊急の行動」(目標13)という点では、豪雨に対する備えがすぐに頭に浮かぶでしょう。これまで考えられなかったような豪雨が地球温暖化とともに日常的になるなか、まち全体としていかに気候変動に備えていくかが課題です。

さらに「海浜および海洋資源の保存」(目標14)、「陸圏生態系の保護、森林の持続的な管理、砂漠化への対処、土壌侵食の防止および転換、生物多様性の損失の防止」(目標15)などは、日本が課題としている水循環の健全化にあたります。

ざっとながめただけでも、これだけの内容が水と関係しており、まちづくりのなかで重要な要素になっていきます。ぜひ、「持続可能な開発のための2030アジェンダ(仮称)」をまつづくりという視点で見てください。

「持続可能な開発目標」

 

  • あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる
  • 飢餓を終わらせ、食糧安全保障および栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する
  • あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する
  • すべての人々への包括的かつ公平な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する
  • ジェンダー平等を達成し、すべての女性および女子のエンパワーメントを行う
  • すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する
  • すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な現代的エネルギーへのアクセスを確保する
  • 包括的かつ持続可能な経済成長、およびすべての人々の完全かつ生産的な雇用とディーセント・ワーク(適切な雇用)を促進する
  • レジリエントなインフラ構築、包括的かつ持続可能な産業化の促進、およびイノベーションの拡大を図る
  • 各国内および各国間の不平等を是正する
  • 包括的で安全かつレジリエントで持続可能な都市および人間居住を実現する
  • 持続可能な生産消費形態を確保する
  • 気候変動およびその影響を軽減するための緊急対策を講じる*?*国連気候変動枠組条約(UNFCCC)が、気候変動への世界的対応について交渉を行う一義的な国際的、政府間対話の場であると認識している。
  • 持続可能な開発のために海洋資源を保全し、持続的に利用する
  • 陸域生態系の保護・回復・持続可能な利用の推進、森林の持続可能な管理、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・防止および生物多様性の損失の阻止を促進する
  • 持続可能な開発のための平和で包括的な社会の促進、すべての人々への司法へのアクセス提供、およびあらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包括的な制度の構築を図る
  • 持続可能な開発のための実施手段の強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する

※地球環境戦略研究機関(IGES)による仮訳

 


 

 

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