週刊「水」ニュース・レポート    2015年8月26日号

 

 

 

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台風15号の通過にともない、各地で大きな被害が出ています。今日26日は東日本を中心に大気の不安定な状態が続き、局地的に雷を伴って激しい雨が降る見込みで、東海では朝にかけて1時間に50ミリ以上の非常に激しい雨が降るおそれがあります。また、西日本や東海の沿岸部を中心に風の強い状態が続くほか、海上では波の高い状態が続く見込みです。土砂災害や川の氾濫、低い土地の浸水、強風や高波などに十分注意してください。

年初から振り返ると、3月には、南太平洋の島国バヌアツ(バヌアツ共和国)が、近年最大級のサイクロン「パム」の直撃を受け、甚大な被害が出ました。

4月には、猛烈な台風4号(メイサーク)が発生し、太平洋上をフィリピンに向かって進み、ミクロネシアにて死亡者5人を含む大きな被害をもたらしました。

日本でも5月に、強い台風7号が小笠原諸島に接近しました。父島では19日午後11時20分ごろに最大瞬間風速35.6メートルを観測し、この地点の5月の観測史上最高となりました。

気候変動はいろいろなかたちで現れますが、私たちが感じやすいのは、「水のすがたを変える」ということです。具体的にいえば、氷を融かしたり、雨の降り方を変えるため、洪水や水不足に悩まされる地域が増えます。

もともと水の多い地域ではこんなことが起きます。水は、気温が高いほど速く蒸発します。そのため気温が上がると、空気中の水蒸気の量が増え、湿度が高くなります。湿度が高くなると、雨が降りやすくなり、強い雨が頻繁に降るので、洪水が多くなります。日本でも自然災害につながる可能性のある、一日当たりの降水量が100ミリ以上の大雨の降る日が増えています。

一方、もともと水の少ない場所ではこんなことが起きます。地表の温度が上がることによって、土壌に含まれている水分が蒸発しやすくなるため、さらに乾燥がすすみ、水不足や干ばつが起こりやすくなります。

じつは、朝鮮半島の中部と北部が雨不足に苦しんでいることを知っていますか。韓国気象庁によると、中部地方のソウル、京畿道の年初から6月までの降水量は平年の55%程度。北部・江原道の嶺東地域は141.9ミリと平年の39%にとどまっています。

ソウル大地球環境科学部の許昌会(ホ・チャンフェ)教授は、2012年を含む近年の雨不足の原因はまだ明らかでないとしながらも、「地球温暖化により気候が変わる過程で、不安定になっているとみられる」と話します。春と秋が短くなり、春夏は亜熱帯性気候に変わりつつあります。特に「雨不足だけでなく、集中豪雨や台風、熱波、寒波など極端な現象が発生している」と指摘しました。一方、気候変動だけでは歴史的に繰り返される雨不足を説明できないとの意見もあります。このため朝鮮半島が124年周期の大干ばつ期に入ったという説も関心を集めています。

このように気候変動による水への影響は国や地域によって異なりますが、日本は前者(水の多い地域)の対策をしなくてはなりません。

【治水の知恵は戦国武将に学べ】というテーマは三島北高校の生徒との会話から生まれました。歴史好きの生徒が水の課題を設定するときに、「戦国武将と水っていうテーマで何かできないですか」と言ってきたのです。最初は「う〜ん」と考え込んでしまったのですが、この時代に治水技術が大きく発展したことを思い出しました。

戦国時代の基幹産業は稲作です。安心して米作りができ、収量が安定していれば精神的、経済的に地侍は豊かになります。領内の経済的活力が大きくなり、領主の勢力安定と増強につながります。それゆえに旱魃や洪水被害が出ないよう治水工事に力を入れました。

この時代の治水名人といえば、武田信玄、加藤清正、成富兵庫茂安があげられますが、彼らの事業を見ていると現代に応用できることが3点あるのではないかと思いました。

 

  • 水を集めるのではなく、分散させる。
    現在の洪水対策が目指しているのは、降った雨をなるべく早く川に集めて、早く海にもっていくという考え方。そのために川の上流にダムを建設し、下水道を整備し、長く高い堤防を築きました。しかし、田んぼや雨水貯留などによって、水を分散させることによって水の勢いを弱めたり、あふれるのを防ぐことはできないでしょうか。
  • 川は時に溢れるものだということを前提にした。
    現在は川に入った水を川から出さないようにすることを目指しています。ところが想定を超える豪雨が各地で降るようになり、人の力で川の水を完全にコントロールすることが難しくなり、河川が決壊したり溢れたりする被害が目立つようになってきました。戦国時代の技術である霞堤は、洪水が起こると水は堤防の外へ流れ出しますが、ゆっくり流れ出るため、被害を軽減させることができます。洪水を治めることが不可能であることを前提に、被害を最小限にくいとめる仕組みにしています。
  • 流域全体を使って対策を考えたこと。
    盆地全体を見渡したスケールの大きな視点で対策を考えていました。一方現在は、同じ川の流域であっても国が管理するところや自治体が管理するところがわかれています。対策を自治体の枠を越え、流域全体を俯瞰して総合的に進めることはできないでしょうか。

いにしえの知恵を現代版に改良しながら応用することで、流域治水を実行していくわけです。

 


 

 

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