週刊「水」ニュース・レポート    2015年9月2日号

 

 

 

【今回厳選したニュース】

 

  • 「『名水サミットin安曇野』が開催されました」
  • (橋本淳司)

 


 

 

【ニュースを見る目】

 

「名水百選」(昭和・平成)のある市町村の首長が集まり、水環境の保全や活かし方について意見を交わす「名水サミット」が8月28日、長野県安曇野市で開かれました。全国から首長、行政職員、企業関係者、市民が約600人に参加し、講演や研究発表などを聞いて、水の大切さに認識を深めました。

「名水百選」が選定されたのは1985年のことです。全国のさまざまな清澄な水を紹介することで、水質保全への認識を深めることを目的としています。選定の条件は、

1)水質・水量、周辺環境(景観)、親水性の観点からみて、保全状況が良好なことと、

2)地域住民等による保全活動があること、です。

この2点を必須条件とし、このほかに、

3)規模、

4)故事来歴

5)希少性、特異性、著名度

などの項目が勘案されました。

名水というと湧水のイメージが強いかもしれませんが、湧水は75箇所で、そのほかは河川が18箇所、地下水が4箇所、自噴水が1箇所、用水が2箇所となっています。各都道府県から1つ以上選出されていますが、複数の名水が選出されている県もあり、3か所選ばれている都道府県は、北海道、石川、福井、山梨、長野、岐阜、岡山、愛媛、大分、鹿児島、4か所選ばれている都道府県は、富山、熊本です。これに加え、2008年には平成の名水百選が新たに選定されています。

 

 

「名水サミット」では、今年は「名水百選」が選定されて30周年に当たる節目の年でもあり、名水をかかえるまちの悩みも共有されました。事前アンケート(「名水百選」「平成の名水百選」をもつ191市町村に聞き122市町村から回答)の主な結果を見てみましょう。

●現在直面している水循環・水環境保全の課題は?

 

  • 「水質汚濁・汚染・塩水化」(37自治体)
  • 「住民等の水環境保全意識の高揚」(29自治体)
  • 「地下水の実態把握(水資源調査」(24自治体)
  • 「流域連携」(13自治体)

課題としては、緊急性の高い汚染に関するものがトップにきていますが、普及啓発や地下水調査の必要性も感じています。4に「流域連携」があがっています。水循環や水環境保全の課題解決を行う場合、自地域だけで考えていては限界があることや、昨年(平成26年4月)に水循環基本法が公布された国の動きも背景にあるのでしょう。そこで流域連携に関する質問に注目すると以下のような結果になりました。

●流域連携について「今後の方針」が定められているか?

 

  • 「定められていない」24自治体
  • 「定められている」11自治体

●流域連携についての「計画書」が策定されているか?

 

  • 「計画書は策定されていない」29自治体
  • 「計画書が策定されている」6自治体

これを見ると、全国では流域連携に関する計画書がある自治体が少なくとも6自治体あることが分かりました。今後の活動に注目していきたいと思います。さらに、

●「名水百選」「平成の名水百選」を生かして取り組みたい今後の政策は?

 

  • 「観光振興」(71自治体)
  • 「環境保全」(70自治体)
  • 「地域活性化」(45自治体)
  • 「自治体のイメージ戦略」(28自治体)

の結果を見ると、名水をまちづくりに生かそうという自治体も数多くありました。

名水サミット後半のパネルディスカッションでは、安曇野市長(長野県)、三島市長(静岡県)、伊勢志摩市長(三重県)、塩谷町長(栃木県)が地元の課題や解決に向けた取組み、国への要望を述べました。

 

  • 「豊富に思える安曇野市の地下水が毎年減少している」(安曇野市長)
  • 「上流部での水のくみ上げが原因で湧水量が減っている」(三島市長)
  • 「森、里、海の連携を図る活動を強化している」(伊勢志摩市長)
  • 「北関東有数の水源地である高原山に原発の指定廃棄物最終処分場の計画がある」(塩谷町長)

などの発言があり、最終的には「いかに流域という意識をもつか」「流域の自治体が連携を図るか」「行政だけでなく企業や市民と連携するか」「国、県、市町村の役割分担をどうするか」などの課題が浮き彫りになりました。サミットは「水環境の大切さ」を次世代の子供たちに引き継ぐとする大会宣言を採択し、閉幕しました。

 


 

 

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