週刊「水」ニュース・レポート    2015年10月14日号

 

 

 

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仙台二華高校は、文科省がスタートしたSGH(スーパー・グローバル・ハイスクール)指定校の1つです。SGHの課題研究テーマは指定校それぞれに任せられているのですが、仙台二華高校は『水』を選択しました。1年生は北上川(岩手・宮城)、2年生はメコン川、シンガポール・マレーシア、グアムのいずれかを選択し、課題研究に取り組んでいます。

この記事のなかで重要なのは、生徒のこのコメントではないかと思います。

「水問題で困っているはず、と一方的に決め付けていた。本当に必要な支援を考えるため、もっと世界のことを知りたくなった」

察するに、この生徒は、本当の問題はどこにあるのかを考えはじめているのではないかと思います。

その一方で私たちはどうでしょうか。「世界には水に困っている人がいる、だから日本の水技術で支援しよう」。そんな言葉をあちこちで聞きますが、もう少し冷静になる必要があるのではと思います。

 

  • 「水に困っているというけれど、具体的に誰が、どう困っているのか」
  • 「それを解決するにはどうしたらいいのか」

現場をしっかりと見る。10年後、20年後の現場の変化を想像する。考えることはいろいろあります。

今回、仙台二華高校がフィールドワークに出かけたメコン川は中国に端を発し、合計6か国を流れます。

メコン川の最上流・水源をもつ中国は、開発に力を入れ、次つぎに大型ダムを建設しています。

しかし、ダム建設は下流域に大きな影響をあたえ、くらしは大きく変わっています。

タイ・ラオス国境地帯では、ダム建設前とくらべて漁獲量が減っています。タイの穀倉地帯では水不足が深刻になっています。

少なくなった水を農業と工業とでとりあうようになっています。

ベトナムでは、川の水位が下がりすぎたあまり、海水が逆流する現象まで起きました。そのため、川にあった淡水養殖場の魚が大量に死に、川から水をひいていた地域では水不足で農作物の収穫量が激減しました。

これがメコン川で起きている問題とされています。ですが一般論にすぎません。

水問題はローカルな問題であり、解決するには地域それぞれの状況を見る必要があります。そして、そこに住む人たちが何を望んでいるかを合わせて考える必要があります。

アフリカのマリ共和国で井戸が支援され、生活がどう変わるかの取材をしたことがありました。

それまで井戸がなくて遠くまで水汲みに行っていた集落に井戸ができると、飲料水や生活用水が得られただけではなくて、集落の人たちが農園をつくりました。

農園をつくることによって自分たちが野菜を食べることができて、健康的になり、余った分を売ることもできました。

ある程度、お金を得ることがきて、子どもたちも学校に行けるようになりました。

こういう支援はとても重要だと思います。

一方で、高度な上下水道インフラを設置するケースがあります。

まちの規模にあっていればよいのですが、そうでない場合は過剰な投資になります。そのインフラを支えるため、地域住民の負担が大きくなる可能性があります。

結局は支援ではなく、先進国が経済成長を続けるために、無理やり自分たちのやり方を押し付けただけ、というケースです。

SGH指定校のなかで「水」を研究テーマに選んでいる学校に、三島北高校があります。昨年、生徒はシンガポールで最先端の水技術を見学しました。下水を再生して飲料水をつくる施設を見たある生徒がこんなことを言っていました。

 

  • 「この技術はすばらしいけれど、あらゆる国の水問題が解決できるでしょうか。ハイテクノロジーで水問題を解決することがアフリカの貧困地域でも可能なのでしょうか。現時点ではわからないので、アフリカについて詳しく勉強してみたい」

水問題は多様です。地域ごとにさまざまな課題があります。

そして、その解決方法も多様です。解決したことで次の問題を生むこともあります。

そうしたことに、高校生たちは直感的に気付きはじめているのではないかと思います。

 


 

 

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