週刊「水」ニュース・レポート    2015年10月28日号

 

 

 

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10月22日(木)、国連大学(東京都渋谷区)において、企業の水リスクについて考える「JAPAN Water Styleサミット」が開催されました。

日本企業は水リスクをどのようにとらえ、どのようなアクションを起こしているのでしょうか。

サミットでは、日本企業の水への取り組みも紹介されました。

注目したいのは、サプライチェーンでの水使用量です。日本国内に限っていえば、工業用水使用量は減少しています。

その理由は主に3つ。

1つは、高度成長期に工業用水使用量が急増しましたが、その後、産業構造の変化が起き、自動車、ITなど比較的水使用量の少ない産業が伸びたこと。

2つは、生産拠点がアジア諸国などに移ったこと。

3つは、水の3Rが進んだことです。

工業用水のリサイクル率は1965年に36%でしたが、2012年には78%になりました。こうしたことから日本企業の経営者は「自社は水課題を克服した」「自社に水リスクはない」と考えることが多いのです。

しかし、日本企業の多くは、原材料や部品を海外のサプライヤーに依存しています。2012年、環境分野の保証業務を行うKPMGあずさサステナビリティと英国の環境調査会社トゥルーコストが、日経平均採用銘柄225社の国内の生産拠点と海外のサプライヤーの水消費量を分析しました。すると国内の生産拠点の使用量は年間約190億トン(225社の平均)でしたが、海外のサプライヤーは年間約600億トンでした。製品を製造するときに必要な水の76パーセントを海外に依存しているという結果です。さらには顧客の商品を使う際に使用する水のことも考えなくてはなりません。

サミットには、TOTO、日本コカ・コーラ、積水化学工業の3社が登壇しました。

各社の取り組みの概要を紹介します。

TOTOは、ユーザーの使用する水(トイレを流す水など)にリスクがあると考えています。トイレは家庭での水使用量の28パーセントを占めます。水不足の深刻な地域ではトイレを流す水がなくなる可能性があります。

そこで節水技術を進化させています。トイレのフラッシュに使用される水の量は、1970年代前半には20リットルでしたが、最新型は3.8リットルになっています。この先、いっさい水を使わないバイオトイレの可能性についても言及されました。

高い節水技術を取り入れた製品をグローバルに普及させることで、結果として地域の水資源保全につながります。

日本コカ・コーラは、「ウォーター・ニュートラリティ」といって使用した水を100パーセント自然に還元する活動を行っています。水源を保全したり、使用する水の量を減らしたり、排水を徹底的に浄化することで、製品に使用する水と同量の水を地域に還元するのです。

このとき、地域特性に応じた水資源保護活動が重要になります。そこで北海道札幌市では白旗山での植樹、岐阜県恵那市では森林・棚田保護、熊本県阿蘇では休耕田・草原再生というようにメニューは異なります。

また、海外の農場での節水にも力を入れ、オーストラリアのさとうきび農場での水使用量を削減しました。

積水化学は、水リスク調査を実施しています。国内外98の事業所で、取水源や排水先の調査を行い、取水源と排水先の状況、現在および将来の取水の継続性などについて把握を行いました。

今回は調査の第一段階ですが、14事業所でリスクが大きいと考えられる調査結果が出ました。今後これらの事業所のリスクについて詳しく把握すると共に、中期計画の最終年度である2016年度までに、対策が必要な事業所の抽出と具体的な対策の立案を行います。

水は企業活動だけではなく、市民生活にも必要ですし、あらゆる生き物が生きていくためにも欠かすことができません。

人間の水使用量を最小化する目的は、地球環境を保全するためです。マネーゲームによって経済成長を演出できても、企業活動に使用できる資源はすでに底をついています。人間が水を独占し、生産活動を行う現在のやり方は限界にきているのです。

 


 

 

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