週刊「水」ニュース・レポート    2015年12月9日号

 

 

 

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パリで開催中の第21回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)で、洪水や高潮、海面上昇、干ばつといった地球温暖化の進行に伴う影響を軽減するための世界的な目標が設定される見通しになりました。2020年以降に、すべての国が参加する新たな国際枠組みに盛り込む方針です。

日本は温暖化への懐疑論もあり、全国的な取り組みには至っていませんが、実際には深刻です。食料を他国に依存し、その生産地での水不足が深刻になっていること、豪雨・洪水被害が頻発するようになっていることなど、すでに影響を受け始めています。地球温暖化という非常に大きな問題のなかからいかに課題を抽出して、解決方法を紡ぎ出すかが、いまの私たちに求められています。

以前、2015年度の「慶大入試プレ」(代ゼミ)に拙著『67億人の水 争奪から持続可能へ』(日本経済新聞出版社)が使われたらしい? ということをお伝えしましたが、昨日、問題文を入手しました。

 

  • 『67億人の水』は<資料1>として3つの設問のうちの《問1》でまず使われていました。

「Food, Energy, Waterのそれぞれの頭文字をとるとFEWとなります。いずれも不足が心配されているものですから、「わずか」を意味する単語になるのはぴったりだと思います。私たちの生活には水があればいいわけではなく、食料やエネルギーも必要です。そこで3つの関係をあわせて考える必要があります。」からはじまる「エネルギーの章」が約10ページにわたって抜粋されています。

そして、この内容をもとに、「食糧・エネルギー・水の持続性を考える際、どのような点に留意しなければならないかを200字以内でまとめてください」というものです。なかなか骨のある要約問題になっていました。じつは「食糧・エネルギー・水の持続性を考える」ことと地球温暖化の抑制は同じ課題といえます。

 

  • 《問2》は、山下一仁さんの『フードセキュリティ』(日本評論社)、枝廣淳子さんの『エネルギー危機からの脱出』(講談社)、後藤康浩さんの『資源・食糧・エネルギーが変える世界』(日本経済新聞出版社)からの抜粋(資料2〜4)を参考にしながら、「食糧・エネルギー・水に関して、日本における具体的な問題・課題を1つ提示し、それについて300字以内で説明してください」というものでした。
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  • 《問3》は、上記の資料1〜4に、長谷川有貴さんの『水耕栽培技術(野菜工場)について』(共立出版)、川島博之さんの『世界の食料生産とバイオマスエネルギー』(東京大学出版会)、沖大幹さんの『水危機 ほんとうの話』(新潮社)を加えた7つの資料を参考にしながら以下を考えます。

「(問2であげた)日本における具体的な問題・課題を解決するために、長期研究プロジェクトを立ち上げることになりました。あなたはそのプロジェクトリーダーです。リーダーとして、プロジェクト全体でどのような研究を進めていくかを800字以内で述べてください。その際、プロジェクト全体として方向性や取り組みを示したうえで、課題解決のために必要な個別の研究内容を複数挙げてください」

これは課題解決能力を問う問題で、今回とりあげた「温暖化被害、世界で抑制 COP21で目標設定へ」に関係しています。どのように目標を立て、それをクリアしていくために、それぞれが課題設定をして解決していかなくてはならないからです。

これからの入試はこういう問題が増える傾向にあります。テーマもまさに人類が直面している課題であり、旬なものです。

こうした書籍を読むとともに、高校で課題解決型の授業を経験しているとかなり有利だと感じました。たとえば、三島北高校では、生徒が数人のチームをつくって「日本の水課題」を抽出し、その解決方法を専門家にインタビューしたり、実験をしたりしながら考えます。それをポスターにまとめ、発表します。自分たちで考えることも大切ですが、他のチームの発表を聞くことで、課題設定の多様さ、解決方法の多様さを身につけていくことができます。

高校生だけでなく、もちろん私たちもこの課題に真剣に向き合っていかなくてはなりません。自分の住むまちをどう変えていくかということだからです。

 


 

 

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