週刊「水」ニュース・レポート    2015年12月16日号

 

 

 

【今回厳選したニュース】

 

 


 

 

【ニュースを見る目】

 

原発を稼働させれば温暖化を止められるような記述が冒頭にありますが、太陽光、風力、水力、地熱、地下水熱などの自然エネルギーでも温室効果ガスは削減できます。

それはさておき、今日は、温暖化が進展したときの私たちの生活の変化について、もう少し具体的にお話ししたいと思います。

<気温の上昇>

国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」 の第5次評価報告書(2013年)は、今後についていくつかのシナリオを描いています。温室効果ガスの排出量が最も多かった場合、2100年の平均気温は、最大4.8℃上昇すると発表しました。

<短時間の激しい雨が増えている>

 気温の上昇によって大気中の水蒸気量が増えていることが原因です。日本では自然災害につながる可能性のある、1日当たりの降水量が100㎜以上の大雨の降る日が増えています。このように日本だけでなく東アジアの広い範囲で雨が増加する傾向にあります。一方、もともと水の少ない場所ではこんなことが起きます。地表の温度が上がることによって、土に含まれている水分が蒸発しやすくなるため、さらに乾燥がすすみ、水不足や干ばつが起こりやすくなります。

<気候変動によってなくなる土地>

地球の海面の水位は、1901~2000年の100年間で17㎝上昇しました。海面が上昇すると、海抜の低い土地は海に沈んでしまう可能性があります。たとえば、イタリアのヴェネツィアなどの海抜の低い都市、南太平洋にうかぶツバルやインド洋のモルディブのような海抜が1~2mほどしかない島国は、海面上昇によって沈んでしまうと心配されています。また、海面が上昇すると、海抜の低いところにある井戸に、海水が入ってしまいます。そうすると貴重な淡水が失われることになります。日本の沿岸部には、満潮時に海面より地面の標高が低くなる土地「0メートル地帯」があります。海面が1m上昇すると、大阪では、北西部から堺市にかけて海岸線がほぼ水没します。東京でも、江東区、墨田区、江戸川区、葛飾区のほぼ全域が影響を受けます。

<砂漠化によって住めなくなる土地>

国連環境計画(UNEP)によると、世界の砂漠化は、現在刻々と進行中で、そのスピードは毎年6万㎢。これは九州と四国をあわせた面積に匹敵するといわれています。とくに深刻なのは中国北部、中央アジア、インド、中近東、アフリカのサヘル地帯、北アメリカ中西部などです。

<いきものへの影響>

昆虫はすでに敏感に反応しており、これまで関東地方では生息していなかったチョウが2000年代になって急に見つかっています。たとえば、日本に生息していなかったクロマダラソテツシジミは、90年代に沖縄で発見され、西日本を中心に生息域を拡大してきたチョウです。

<農作物や漁業への影響>

農作物や漁業は、天候に大きく影響を受けるため、地球温暖化が進むと、食料生産に大きな悪影響が出ます。

日本では、リンゴ栽培に適する地域が北上し、60年後には本州の大半が栽培不適地になる可能性のあることが、独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構「果樹研究所」の研究でわかりました。リンゴ栽培に適する年平均気温は7~13℃で、現在は北海道の北部や東部、九州・四国の平野部を除く広い地域があてはまります。しかし、2060年に平均気温が3℃上昇すると、リンゴ栽培適地は東北地方より北になります。温州ミカンの適地は、現在は南関東以南の太平洋側ですが、2060年代には南東北や日本海沿岸に北上します。

気候変動は海流にも影響します。東日本沿岸まで南下している親潮(寒流「千島海流」の別名)が、2070年ごろには日本沿岸に達しなくなる可能性があることが、気象庁気象研究所のシミュレーションで明らかになりました。北海道や東北地方の東方海上の年平均海面水温が現在より4~5℃上昇すると、サケやニシンが取れなくなるなど水産業にも影響を与えます。黒潮と呼ばれる暖流「日本海流」とぶつかる三陸沖の「潮目」付近はよい漁場として知られています。

<森林への影響>

日本には現在、約2万3000㎢のブナ林があり、クマやカモシカなどの大型鳥獣をはじめ、さまざまな動物や昆虫が生息しています。また、いろいろな種類の草や樹木、キノコなどが息づいており、固有の生態系を形作っています。しかしながら温暖化の進行にともなってブナ林が失われつつあり、今世紀末には1990年に比べて最大で約7割、対策をとった場合でも35%は減ると予測されています。ブナ林が減ることで生物多様性が失われるほか、保水機能や浄水機能が落ちます。この被害コストは、今世紀末に最大で年間2300億円を超えると試算されています。

こうしたことが企業活動や生活に影響をおよぼします。温暖化対策、温暖化対応策は急務です。

 


 

 

【その他の「水」ニュース】