週刊「水」ニュース・レポート    2015年12月24日号

 

 

 

【今回厳選したニュース】

 

  • 「水ニュースのキーワードは『気候変動の影響と対応』『水インフラ維持』『原発事故にともなう水汚染』」
  • (アクアスフィア  橋本淳司)

 


 

 

【ニュースを見る目】

 

今年の水のニュースを振り返ったとき、いくつかのキーワードに分類できます。2016年によりクローズアップされると考えられるものを3つ選びました。それは「気候変動の影響と対応」「水インフラ維持」「原発事故にともなう水汚染」です。

1つ目の、気候変動の影響と対応です。9月25日、ニューヨークで開催された国連サミットで、「持続可能な開発目標(SDGs)」が採択されました。以下は長めのレポートですが、「持続可能な開発目標(SDGs)」を水という視点で見つめたものですので、ぜひ、お休みの期間に読んでみてください。

 

9月に鬼怒川で大きな災害が発生するなど、水の事故の多い1年でしたが、その後のレポートとして

 

も抑えてください。水災害はすでに身近な問題なのです。

直近では、エルニーニョの影響も重なり、太平洋側の大雪、日本海側の雪不足が予想されています。1月のセンター試験や成人式に大雪の影響が出なければいいと思いますし、また、日本海側は雪が少ない影響で夏場の水不足が心配です。備えてください。

 

2つ目は「水インフラ維持」です。これは地方ほど深刻な問題です。代表的な記事は、

 

でしょう。

水道を維持するコストはかかる。水道を支える人口は減る。これがほとんどの自治体がおかれている状況です。ある日突然、何の説明もなく水道料金の値上げが発表されるケースが数年前から続いていますが、2016年は劇的に増えるでしょう。

下水道についても

 

という記事があります。多くの水道事業は財政的に逼迫しており、人口減少社会を見据えた適正規模への縮小、適正技術への移行が課題です。しかしながら、いまだに拡大を模索したり、既存計画の見直しが図れないケースも多いのです。実際、政府のバラマキによって各地で下水道事業計画が加速しています。それが料金値上げ、公共サービスの低下、さらには自治体の財政破綻につながる可能性があります。

水道事業にとっては「持続」という視点がもっとも大切です。また、水道料金の格差は最安の自治体と最高の自治体とで10倍あります。毎日使用する水のことですから、貧困の広がりにも影響を及ぼすでしょう。早急に手を打つべきです。

 

3つ目は「原発事故にともなう水汚染」です。

代表的な記事は、

 

です。

直近では

 

があります。新潟日報社と東京新聞が合同で実施した原発・エネルギー問題に関する世論調査で、東京電力福島第1原発事故に伴う放射能汚染水問題の現状について、完全にはコントロールできていないと考える人が新潟、東京とも7割前後に上っています。政府は「状況はコントロールされている」としているが、多くの県民、都民が政府の説明を疑問視している実態が浮かび上がりました。

実際にコントロールできていないので、安倍首相は発言を撤回すべきです。事故の実態が明らかになるにつれ、コントロールなどほど遠いどころか、汚染の深刻さが明らかになりました。

さらに、2016年は放射性廃棄物の処理施設の問題が大きくなり、国と自治体の争いが深刻になるでしょう。

先例を見ると、ドイツのアッセという場所に、低・中レベル放射性廃棄物を地下深くで、半永久的に保管する最終処分場がありました。1967年から1978年まで、地下750メートルから500メートルにある岩塩を掘ったあとの空洞に、低・中レベル放射性廃棄物が運び込まれました。

放射性廃棄物の最終処分場の条件は、地層が安定していること、水が入り込まないことの2つです。アッセはもともと岩塩鉱山でした。なぜ岩塩鉱山跡が最終処分場に選ばれたかというと、「太古の時代に海から切り離され湖になり、その底に塩が堆積した岩塩層は、地層が安定していると同時に、水が入り込みにくい」と考えられていたからです。

しかし、地殻変動で地層が動いたため、岩塩の壁に亀裂が走り、1988年には地下水の流入が確認されました。現在では毎日1万2000リットルもの地下水が流入しています。処分場としては1994年に閉鎖されましたが、いまだに岩塩の壁に入ったひび割れを埋めようと、コンクリートを流し込む作業、水をポンプで汲み出す作業が続いています。

日本列島には、周辺の海底も含めて多くの活断層が刻み込まれており、現在、日本全国で約2000あると言われています。また、豊富な地下水が複雑に絡み合いながら流れていて、地震によって地下水脈は微妙に変動します。地下水資源な豊富な日本においては、どこにつくっても、水を汚染する可能性がゼロであると言い切れません。いったん地下水のなかに放射性物質が入ると、地下水流域全体に拡散していく可能性もあります。

おそらく参院選後にこの問題がクローズアップされるでしょう。深刻な問題はすべて選挙後に議論する現政権の特徴です。しかし、水問題は長期戦略が必要であり、参院選でこそ議論されるべきです。大所高所に立った議論ができないなら、参議院の存在意義はありません。

「気候変動への影響と対応」「水インフラの維持」「原発事故にともなう水汚染」という3つのキーワードで、2016年も取材を重ねていきたいと思います。

みなさん、今年1年、大変お世話になりました。来年もどうぞよろしくお願いします。みなさんにとって2016年が幸多い年になりますことをお祈りいたします。

 


 

 

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