週刊「水」ニュース・レポート    2016年1月6日号

 

 

 

【今回厳選したニュース】

 

 


 

 

【ニュースを見る目】

 

今年最初に取り上げるニュースは、「水道管がボロボロになって、水がダダ漏れしてますよ」というものです。とても深刻な問題です。

水道管の水漏れなどで、浄水場でつくった水道水が利用者まで届かずに「むだになる割合(無効率)」についての調査が行われました。

「むだになる割合」が20%超の水道事業体(自治体や企業など)は全事業体の16%(236事業体)。「むだになる割合」が30%超は56事業体。事業体はその理由を「予算不足」としています。

水道管の耐用年数は40年ですが、予算不足で耐用年数を過ぎても交換できません。そういう水道管は2012年度末に全国で9.5%。12年度の更新率は0.77%。厚生労働省は市町村に更新を急ぐよう求めていますが、予算不足で老朽化に追いつかず、このままでは全ての更新に100年以上かかり、漏水と断水が頻発することになります。

「日本の水道は世界一」と誇る人たちは、その理由の1つに漏水率の低をあげます。たとえば、こんなふうに・・・

「水道技術の指標の一つが「漏水率」で、水源から水道管を通って消費者の蛇口に水が届くまで、東京都の水はわずか3%としか失われません。これは世界と比較すると驚異的な数字で、近年のオリンピック開催都市や候補地と比較しても、ロンドン:26.5%、イスタンブール:25.2%、マドリッド:10.5%、東京:2.8%となっており、その技術水準の高さが伺えます」

たしかに今回の調査でも都市部や県庁所在地では無効率は1ケタでした。しかし、日本全国を見渡せばごく一部でしかありませんし、比較対象のロンドンやイスタンブールよりも悪いところが多いのです。

これまで日本の水道は、東京都というトップランナーをお手本にしてきました。でも、東京のやり方は、都市部でしか通用しないものだったのです。

人口が減少していく地方で、老朽管を更新しようとしたら、料金の値上げしかありません。今年は水道料金を値上げする自治体が増えるでしょう。

しかし、単純にいまの施設を維持することだけを考えてよいのでしょうか。

いまこそ、水道インフラを含め、人口減少時代にあった新しいインフラづくりを考えるときではないでしょうか。

それにはいろいろなやり方があります。いまは各地で進んでいるのは水道事業の広域化です。

今日は別の見方をしてみたいと思います。たとえば、水道インフラをエネルギーという視点で見直したらどんなことが考えられるでしょうか。

現在の上下水道システムには、多くのエネルギーが使用されています。

 

  • 水源からのポンプで取水し浄水場まで導水する
  • 浄水場で浄水処理する
  • ポンプで各家庭まで送水・配水する

という過程で使われる電力は年間約79億キロワット時。

下水道でも、

 

  • 排水をポンプで導水する
  • 下水処理場での浄水処理する
  • 処理した水をポンプで放水する

という過程で使われる電力は、年間約71億キロワット時。

上下水道合わせて年間約150億キロワット時になり、これは原子力発電所1.5機が創出するエネルギー量に匹敵します。

固定的にかかる電力量を節減できれば、水道経営は効率化できるはずです。

まず、エネルギー使用量の多いポンプ導水を減らす方法は、

 

  • 「低遠」水源から「高近」水源へシフトする
  • 「水道」から「水点」へシフトする

の2つがあります。

 まず、1.について言うと、低い場所にある水源から取水して高いところにある浄水場まで導水したり、遠くのダムから導水したりと「低遠」の水源を利用するのではなく、伏流水やコミュニティー内の地下水(井戸水)など「高近」の水源に注目し、高低差を活かして水を運べば、導水や送水にかかっていた電力は減らせます。(さらに、その水の流れの過程にマイクロ水力発電を設置したり、地下水熱を活用したりしてエネルギーを確保することもできます。)

 次に、2.について言うと、大きな施設で浄水処理し、そこから水を道を通して運ぶのが「水道」だとすれば、給水ポイントを小規模分散化して、水の道を極力短くして「水点」をつくることにより、浄水やポンプ導水にかかるエネルギーを減らそうというものです。

じつは「水点」は各地にできはじめています。

 

地下水も利用のルールを決めて、持続可能な使い方をすれば、有効な「水点」になります。

川の水を集め、大型浄水施設できれいにして、長い水道管をつかって各家庭に水を配るというやり方が、地方で限界にきているのはたしかですが、代替手段はいくつもあり、いまこそ知恵を発揮するとき!といえます。

 


 

 

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