週刊「水」ニュース・レポート    2016年1月13日号

 

 

 

【今回厳選したニュース】

 

  • 「貧困と水 日本の場合」
  • (アクアスフィア 橋本淳司)

 


 

 

【ニュースを見る目】

 

今日はレポートとして完結していないことを事前にお断りしておきます。というか、もし皆さんが「水道を止められて困っている子ども」、「公園にバケツで水を汲みにいく子ども」について何か知っていたら教えて欲しいのです。

かねてから、水問題が解決できない最大の要因は貧困、といわれていきました。途上国で水不足に苦しむ人たちが毎日何時間もかけて水を汲みに行く一方で、海水を最新テクノロジーによって淡水化し、莫大な水を砂漠にまいて緑化をはかる人たちもいます。この差はあきらかにお金です。

経済的に豊かであれば、さまざまな方法を駆使して、水を自分のところに近づけることができますが、そうでないとむずかしい。もちろん住んでいる環境によっても違うし、お金で水問題を解決するのが不適切な場合もあるのですが、総じてお金によって水インフラが整備され、水アクセスが改善される傾向にあるとはいえます。

私たちが毎日水道水の恩恵にあずかれるのも経済活動によって社会インフラを支えることができているからです。

ではインフラを支えるだけの経済活動ができなくなったらどうなるのか。自治体レベルでは水道経営が厳しくなっていきます。収支バランスが崩れ、値上げせざるをえなくなるか、これまでの水道インフラが維持できなくなるかのどちらかでしょう。

個人の生活においてはどうでしょうか。

もし水道料金が支払えなくなったらどうなるのでしょうか。

水道は料金が支払えなくても、すぐには止まりません。細かな点は、各自治体によって異なりますが、水道局から送られてくる「納入通知書」の納付期限までに支払いがない場合、「催促状」→「勧告状」(ない自治体も)→「給水停止予告書」が届きます。

そして「給水停止予告書」に記載された期限までに支払いが確認できないと、やむなく給水停止となります。最初に届く納入通知書の納付期限から給水停止まで、約2カ月間の猶予期間がある、という自治体が多いようです。給水停止後は、未納分(自治体によっては延滞金も)を全額支払わなければ、開栓してもらえません。

つまり、料金を支払えないと、いずれは止まってしまうわけです。では水道料金が支払えなくなった人たちがどうしているか。朝日新聞「声」(2015年12月20日)に以下の投稿がありました。

(声)水道料が軽減されないなんて

「私は定時制高校の教師でした。高校入学前に水道を止められた経験のある生徒が何人かいました。公園でバケツに水をくんで生活していたそうです。

授業で、私は生徒たちに「人権とは自分が人間として大切にされる権利。少なくとも、中学生以下の子どものいる家の水道は止めないような社会にしよう」と話しました。

消費増税時に何を税率8%に据え置くかが「軽減」という言葉で議論され、食品と外食の線引きが論議されています。何かおかしいと思います。それは、水道が「軽減」の対象にさえなっていないことです。

そもそも水道は消費税の対象外にすべきではありませんか? 軽減問題は政局で左右されていると言われていますが、議論に当たる人たちには、水道が止められてバケツを持って公園に通う子どもたちの姿は見えていないのでしょう。水道やガス、電気にも消費税がかかり、さらに10%にしようとしていることが私には不思議でなりません。悲しく思います。バケツを持って公園に行く子どもを一人でも減らしてください。」

私はいままでこの問題に気づきませんでした。不明を恥じています。

以来、地元の公園を注意深く見ていますが、こうした子どもたちはいないように思います。しかし、ネットを通じて高校生の知り合いに聞いてみると、「そういう子がいた」という回答が2人から寄せられました。

今後、この問題を取材していこうと思います。貧困はこうした事態を拡大させるでしょう。現在の水道システムを維持するために値上げされれば、より問題は大きくなります。しかし、安全な水にアクセスできることは人権なのです。皆さんが、「水道を止められて困っている子ども」、「公園にバケツで水を汲みにいく子ども」について知っていたら教えていただけないでしょうか。よろしくお願いします。

 


 

 

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