週刊「水」ニュース・レポート    2016年2月17日号

 

 

 

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液体ミルクは紙パックやペットボトルに無菌状態で密閉され、常温で半年〜1年保管が可能です。

日本では赤ちゃん用の液体ミルクが製造できません。食品衛生法に基づき乳製品の成分や製造基準を定める厚生労働省の省令が、乳幼児用の食品を「粉乳」と限定しているためです。1951年の制定当時、保存期間が長く常温で流通できる粉乳が最適と考えられていたからです。

しかし、清潔な水が不足したり、お湯を沸かしたりできないとつくることができないという欠点があります。

日本ではそんなことは起きない?

いえいえ、まもなく東日本大震災から5年が経とうとしていますが、あのときどのようなことが起きたのかを忘れてはいけないでしょう。

2011年3月11日に発生した巨大地震と大津波、福島第一原発事故は、生命線である水インフラに壊滅的な打撃を与えました。「空気と水はただ」「蛇口をひねれば安全な水が流れ出す」と考えていた私たちは、かつてない危機に直面しました。

さらに3月22日には、金町浄水場で乳児の飲料に関する当時の暫定規制値を超える放射性ヨウ素が検出され、乳児は水道水の摂取を控えるよう発表されました。

東京都は金町浄水場の給水範囲となる東京23区、武蔵野市、町田市、多摩市、稲城市、三鷹市で乳児(約8万人)のいる家庭に、550ml入りのペットボトルを1人あたり3本配布することを決めました。

東京都の水道から放射性物質が検出されたのは、福島第1原発事故で崩壊した建屋から放射性物質が大気中に放出されたからです。大気中に出た放射性物質は雨に混じったり、川を流れたりして浄水場に集まりました。

東京都のデータを見ると、金町浄水場、朝霞浄水場、小作浄水場によって数値が違っていました。

当初、水道局は利根川水系に放射性物質が入ったと説明していました。利根川水系を形成する流域界(河川の水源の境界線)のほとんどが、福島第1原発から200キロメートル圏内で、大気中の放射性物質が3月21〜22日の雨で河川に流れ込んだという見解でした。利根川の汚染された水が利根大堰(群馬・埼玉県境)から始まる武蔵水路を通じて、荒川にも流れ込んだと考えられます。

しかし、金町浄水場の数値の高さは、それだけが理由ではないでしょう。金町周辺にはホットスポットが多いことから、浄水場周辺に降った雨の直接の影響が大きかったはずです。

それまでも被災地に重点的に配送されて品薄だったペットボトル水はスーパーやコンビニから姿を消しました。箱で買い占める人、購入制限をする店、空っぽになった棚を前に、「水をよこせ」「いつ水は入荷するんだ」と店員に詰め寄る人もいました。

災害時に必要なのは飲用の水と衛生を保つ水です。人間が生きていくのに必要な水分の最低摂取量は、1日2.5リットルですが、被災すると乾燥した食べものが中心になり、水分が不足しがちになります。だから最低3リットル程度の飲み水が必要です。

次に衛生を保つ水です。私たちは平時に1日に約250リットルの水を使いますが、飲用は1%に過ぎません。残りは風呂、シャワー、洗濯、トイレなどで、煮炊きに使われるわずかな水をのぞけば、すべて衛生的な生活するために使われています。災害時には1日に水分摂取用3リットル、衛生用15リットルの水でやりくりします。支援活動が本格化するまでを3日と考えると、1人当たり飲用9リットル、衛生用45リットルの水が目安になります。

このなかには赤ちゃんのミルクをつくる水も当然含まれています。もし、それがなかったら。東日本大震災のときには、フィンランド在住の日本人女性らが計1万4000個が被災地に送り、とても喜ばれました。安全性を確認したうえで、国内でも液体ミルクの製造を認めてもよいのではないでしょうか?

 


 

 

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