週刊「水」ニュース・レポート    2016年5月11日号

 

 

 

【今回厳選したニュース・レポート】

 

  • 「関東・東北豪雨と熊本地震の共通点 あなたの家の近くに旧河道はないか」
  • (アクアスフィア 橋本淳司)

 


5月8日に「鹿沼さつきマラソン」(ハーフ)を走しました。「平成27年9月関東・東北豪雨」のチャリティーマラソンでした。

昨秋暴れまくった黒川沿いを走りましたが、土砂崩れの跡、決壊の痕跡など、生々しい氾濫の記録を目の当たりにしました。例年は黒川の河川敷を駐車場にしているそうですが、とてもそのような状況ではありませんでした。土手はあちこち工事中で建設機械がたくさんありました。

折り返し地点近くには、大きな石や流木が重なっている場所もありました。

お年寄りたちが、沿道に椅子を出して応援してくれましたが、昨秋は恐ろしい体験をされたことでしょう。

走りながら熊本地震と関東・東北豪雨の被害の大きかった場所に共通点があることに気づきました。

それは旧河道です。旧河道とは、過去における河川流路の跡です。

熊本市内で地盤が液状化した場所は、かつて川が流れていた場所=「旧河道」でした。

去る5月2日、日本学術会議主催公開シンポジウム・熊本地震・緊急報告会において、地盤工学会の発表が行われました。それによると、熊本市の内陸部の長さ約5キロ、最大幅100メートルの細長い範囲に、地盤の液状化による被害が集中していることがわかりました。

地元の河川に詳しい大本照憲・熊本大教授(河川工学)によると、この範囲は川の氾濫で運ばれた土砂が堆積してできた「自然堤防」とほぼ重なっています。自然堤防とは、洪水のときに河川が運搬してきた土砂が堆積し、わずかに高地になっているところです。

大本教授は2010年に発表した論文で、400年以上前の白川の河道は、蓮台寺から南高江を経て元三町周辺で加勢川に流れ込むルートだったのではないかと推測し、周囲の土地の高低や江戸時代の地図などから、旧河道と判断しています。

2011年の東日本大震災による関東地方の液状化発生地点の分布を見ると、東京湾岸の埋め立て地帯に液状化地点が集中しているだけではなく、大きな川の沿岸の低地に多く分布しているのがわかります。これは、川が上流から運んできた土砂が液状化したためです。液状化が起こりやすい河川沿岸の中でも、旧河道は特に要注意です。旧河道では地下水位が浅く、昔の川底に堆積する砂がとても緩いためです。旧河道の名残の沼を、人工的に埋め立てている場所も少なくありません。このような場所には、「川底の砂+埋め立てた砂」があり、液状化に対する危険性がさらに高いといえます。

一般論ですが、旧河道は地震のときに液状化などの被害が出やすいといえるでしょう。

では、関東・東北豪雨のとき旧河道にはどのような被害が出たでしょう。

昨年9月、鬼怒川、渋井川などで堤防が決壊し、周辺の住宅地に甚大な被害をもたらしました。

なかでも首都圏にも流れ込む一級河川である鬼怒川が破堤した茨城県常総市では、濁流が激しく家々を飲み込む様子が、テレビを通じて全国に放送されました。破堤地点付近は旧河道上に位置しており、古来から河道の付替えを繰り返してきた地域です。まわりの土地よりも低い帯状の窪地で、非常に浸水しやすく排水も悪いのです。

 

  • 「自宅周辺の旧河道については、「国土交通省のハザードマップポータルサイト」から確認できます。
  • http://disaportal.gsi.go.jp/
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  • また、「東京の液状化予測」(平成二四年度改訂版)が東京都土木技術支援・人材育成センターのページで公開されている。関東大震災並みの震度6弱の揺れを想定し、地層の状況や地下の水位の分布などを基に作成されており、液状化の可能性を「高い」「ある」「低い」の3段階で示しており、自宅周辺などのリスクを確認できます。
  • http://doboku.metro.tokyo.jp/start/03-jyouhou/ekijyouka/

私も地元を確認したところ、近くに旧河道を発見しました。また、災害時に頼りになりそうな体育館が、沼を埋め立ててつくられた場所にあることがわかり、もしかすると液状化する可能性もあるのではないかと思っています。

皆さんもご自宅周辺や避難場所について確認されることをおすすめします。