週刊「水」ニュース・レポート    2016年6月22日号

 

 

 

【今回厳選したニュース・レポート】

 

  • 「迫りくる水道インフラ、橋梁、道路の老朽化」
  • (アクアスフィア 橋本淳司)

 


震度7の揺れに2度も襲われた熊本地震。

 道路が寸断され、橋が落ち生活基盤はズタズタになり、市民生活、企業活動に大きなダメージを与えました。そこに豪雨災害が追い打ちをかけています。

 内閣府は、熊本地震による住宅や工場、道路などインフラ関連の被害総額が、熊本、大分の両県で計約2.4兆〜4.6兆円に上るとの試算を発表。最大被害額は2004年10月に発生した新潟県中越地震(3兆円)を上回り、11年3月の東日本大震災(16.9兆円)や1995年1月の阪神大震災(9.9兆円)に次ぎます。しかしながら熊本の悲劇は日本列島が活動期に入ったとされる現在、全国どこでも起きる可能性があります。1970年ごろに建設のピークを迎えたインフラは老朽化が進み、企業活動の見えないリスクとなっています。

 そこで今回は、水道、橋梁、道路について確認していこうと思います。

 人間が水を活用できるのはインフラが整備されているからです。熊本の本震後の4月17日、三県(熊本県、大分県、宮崎県)の20市町村で44万5421戸が断水。その96パーセントが熊本県の6市7町3村、42万9591戸。被害の大きかった益城町、阿蘇市、御船町、西原村などで長期化し、南阿蘇村ではいまなお断水が続いているところもあります。

 熊本市では、耐震適合性のある基幹管路の割合は、74パーセントに達していました(平成26年度末)。これは全国平均34.8パーセントを大きく上回ります。ところが基幹管路だけでなく全管路を見ると、震度6強程度の地震に耐えられる割合を示す「耐震適合率」は25.4パーセント。実に7割強の水道管が激しい揺れに耐えられないことになります。

 ただし、これは熊本だけの問題ではありません。厚生労働省や日本水道協会のデータによると、日本各地に張り巡らされた水道管は延べ約66万キロに達しますが、そのうちの12パーセントにあたる延べ約8万キロが耐用年数を超えています。水道の普及・整備が進んだのは、他のインフラと同じ1970年代の高度成長期。最近の水道管は耐久性が高く、100年使えるといわれる管もあるが、70年代やそれ以前に敷設された水道管は強度が十分でありません。

 古い水道管は地震などの災害時に破損する恐れがあるため更新が必要だが、財源不足で進んでいなあせん。水道インフラを支える人口、水利用量は減少、水道事業者の料金収入も減っています。対して水道の保守・管理にかかるコストはかさむばかりで多くの水道事業者が頭を抱えています。

 南阿蘇村では地震で阿蘇大橋やトンネルなどが崩落し、鉄道も寸断されました。

 全長約200メートルの阿蘇大橋は、4月16日未明の本震の際に土砂にのまれ谷底に消えました。再建の目処は立っていません。

 橋の南側で、村を東西に貫く県道28号熊本高森線も甚大な被害を受けました。全長約2キロの俵山トンネルは内壁が崩落し、大切畑大橋(全長265メートル)など5つの橋も大きく損壊しました。約10キロにわたって通行止めが続いており、1、2年では復旧できないでしょう。

 全県で高速道路をまたいで架かる架道橋が計6本被害を受け、うち3本は大破し撤去されました。主要道路の上に架かる架道橋は損壊すると影響が大きいため、国が一般道よりも厳しい耐震基準を定めたり自治体などが緊急点検をしたりしてきたが被害を防げなかったのです。

 日本全国には約70万の橋が架かるが、いつ建設されたかわかるのはそのうちの約40万。残りは建設時期がわかりません。法律で定められる橋の耐用年数は50年。1970年代は毎年1万本の橋が全国にかけられました。それから50年たつ2020年以降に架け替えの時期を迎えます。

 熊本地震で崩落した府領第一橋も建設から42年が経過していました。本体のひび割れが発見されたため2010年に修繕計画が出されていたが、予算がつかず工事ができずにいたところ被災しました。

 道路も同様です。熊本地震の影響で2388カ所の道路が被害を受けたが、陥没などの要因の1つである老朽化は各地の道路で進みます。現在の建造物はほとんどコンクリートの中に鉄筋が入っています。コンクリートの劣化スピードは遅いが鉄は早い。錆びた鉄は膨張し、ひび割れを生じさせ、そこに水や酸素が入るとコンクリートは崩れます。錆びを加速させるのが潮風だ。もし首都直下型地震が起きたら首都高の湾外が危険だ。首都高に関は湾外沿いから補修を手がけています。2013年に諮問委員会で首都高の更新、改修の提案がなされた。費用は数千億円、10年かけて大改修するとなれば1兆円規模になります。

一昨年5月、国土交通省は土木インフラ(道路、橋りょう、水道、下水道等)の寿命を延ばすための行動計画を発表しています。土木インフラは、「つくる時代」「つかう時代」を経て、「もたせる時代」になりました。今後はさらに「なくす時代」をむかえるということでしょう。口でいうのは簡単ですが、住民の利便性が失われることになりますから、重い決断になります。