週刊「水」ニュース・レポート    2016年7月6日号

 

 

 

【今回厳選したニュース・レポート】

 

  • 「熊本の地震被害を拡大させる豪雨」
  • (アクアスフィア 橋本淳司)

 


7月3日、4日、5日と熊本に行ってきました。その様子はこれからじっくりとまとめていきますが、まずは速報的にお送りしたいと思います。

まず、大津町、菊陽町では、今年稲作を中止した農家があります。

地震によって農業用水路がいくつもの箇所で破損しているためです。水路が壊れていたら水は流れないし、通水すれば水路周辺の倒壊が進む可能性があります。

農業より生命という厳しい選択を迫られました。

水路際まで住宅が建てられ、復旧工事が難航している場所もあります。

さらに6月からの断続的な豪雨が地震の傷跡に入り込み、被害を拡大させています。

地元の方が、「東日本大震災では地震のあとすぐに津波が来たけれど、熊本は2か月以上もたってから水が来た」と言っていたのが印象的でした。

地震で亀裂の入った山肌が崩れていたり、普段は地震などに強いとされる竹林がまとまって流されている箇所もありました。

白川では上流から大量の土砂が運ばれてきています。

白川の取水施設周辺(上井出頭首工)には5月末まで石ころなどありませんでしたが、現在は大きな石がゴロゴロしています。

すべてここ数週間の豪雨が運んできました。

これでは用水路が復旧しても十分に水を引き込むことはできません。さらに用水路内にも土砂が堆積し、浚渫(土を取り出すこと)しなければ機能を果たすことはできないし、さらなる豪雨が重なれば決壊の危険性があります。

益城町は地震被害のひどかったところですが、あちこちで地面が上下左右に動いています。田んぼやあぜに亀裂が残っていたり、穴があいていたりしています。

山肌のひずみに豪雨が入り、崩れてきた土砂が完全に農業用水路を埋めてしまった地域もありました。ここでは今年水がなく、稲作ができません。

今年、稲作を中止したこの地域には、熊本地域の地下水を涵養している場所もあります。

田んぼはお米だけではなく水も育みます。

この地域は田んぼに水をはると1日に10センチも水位が下がるという通称「ザル田」であり、ここで稲作を行い、積極的に涵養事業を行う(稲刈りが終わったあとの田んぼに水を張るなど)ことで減り続ける熊本の地下水を補ってきました。

これが今後の地下水位にどう影響するか、今後も注目したいと思います。

地震、豪雨、農業、そして日々の飲み水の関係を目の当たりにしている。