週刊「水」ニュース・レポート    2016年7月20日号

 

 

 

【今回厳選したニュース・レポート】

 

 


水都・東京という言葉があります。東京は、もともと水辺から発展したところ。地図を見るといくつもの川が流れているのがわかります。日本橋川、神田川、隅田川、小名木川、荒川、目黒川などいくつもの川の名前があがるでしょう。

ですが、世界主要都市の水環境ランキングでは25位と低迷しました。

その理由は何だったか。

東京の詳細なランキングを見ると、強靭さ41位、効率性6位、水質27位。なぜ強靭さと水質が低いのでしょうか。

強靭さについては、津波などによる洪水リスクが高いにもかかわらず、貯水による備蓄が少ないことが上げられます。

2015年末に発表されたNASAの研究によると、「現在、世界の海面は毎年平均1.9mm上昇。60年後に2m上昇し、ロンドン、アムステルダム、東京、米国の幾つかの都市は浸水」とされていました。

日本の大都市は海に面しゼロメートル地帯に400万人以上が暮らしています。

日本の沿岸域は現在861平方キロメートルが満潮水位以下にありますが、仮に海水面が1メートル上昇するとこの範囲は約2.7倍に拡大します。

こうしたところは海面上昇の影響を受け、大雨のときなどに大きな被害が出る可能性がありますし、強い台風が来れば高いところでは5〜10メートルもの高潮に見舞われる恐れもあります。

東京でも江東区、墨田区、江戸川区、葛飾区のほぼ全域が影響を受けるでしょう。

その一方で、今年のように渇水しやすい。

東京の水瓶は利根川、荒川、多摩川の上流部です。ここに雪や雨が降らないと渇水してしまいます。

東京はもっと雨と仲良くならなくては。

東京に雨が降っても下水として排出されるだけで、生活用水としてはほとんど使われません。東京に住む人の生活用水使用量は年間20億トンに対し、東京に降る雨の量は年間25億トン。雨のほうが多いのですが、有効に活用されることなく捨てられています。

これからは雨水を活用しながら、洪水を防いでいくべきでしょう。

一方の水質は27位でした。

東京の水道水はおいしくなっているのになんで?と思うかもしれません。

東京の飲料水水質が世界でもトップレベルで高く、最近では東京水道局は「東京タップウォータープロジェクト」を実施し、水道水の味をミネラルウォーターと同等にする取り組みまで実施しています。

しかしながら、水質分野でも盲点となったのは、水質が人間だけでなく他の生物にとっても良いものかどうかという点でした。

生物多様性という観点での水質においては評価を下げたのです。

これは水源を保全するという意識の低さからくるものではないでしょうか。川の水が汚れていても高度な浄水処理を行えば、おいしい水はできてしまいます。でも、それは根本的な解決ではなく、人間目線での解決方法にすぎない。

人間の飲み水は高度な技術によって改善されていっても、自然界の水の汚染は放置されたままだからです。

私たちは反省しなければならない。自然界の水を保全することこそが大切です。

水は誰のものか。人間だけのものではありません。水によって命をつなぐありとあらゆる生き物のものです。

これまで人工的な方法によって治水、水質改善によって一定の成果を上げてきましたが、その方法には限界もあります。水都としての東京の低迷は、自然と共生を模索することで改善していくでしょう。