週刊「水」ニュース・レポート    2016年8月10日号

 

 

 

【今回厳選したニュース・レポート】

 

  • 「熱中症 全国で693人搬送 1人死亡」
  • (「NHK NEWS WEB」2016年8月9日)

 


熱中症や熱中症とみられる症状で病院に運ばれた人は、9日午後8時現在、全国で少なくとも693人に上り、1人が死亡しました。

とりわけ屋外作業は過酷です。

そうした現場では熱中症対策として「水シャンプー」を行う会社もあります。三和建設では希望する社員にシャンプーを支給。現場の水道にシャワーヘッドも取り付けました。

水浴びは体温が下げる効果が実証されており、長時間のヘルメット着用で蒸れた頭を洗うことでリフレッシュ効果も期待しているといいます。

熱中症を予防する基本は「こまめな水分補給」と言われます。

これについて少し具体的にお話しします。

まず、1回に飲む量はコップ1杯(180ml〜200ml)。

これを1日に8回。ですから、出かけるときは水筒を持ち歩き、気づいたときにすぐ水分補給できるようにしましょう。

では8回とはいつか? 以下に目安を示します。

 

<1回目:目覚めの1杯>
人は寝ている間にコップ1杯程度の汗をかきます。血中濃度も高くなります。漢方では水より白湯のほうが体によいと言われています。

<2回目:朝ごはん前の1杯>
朝食前に水を飲むことで胃腸が刺激され消化を助けてくれます。

<3回目:家事・仕事の休憩時間(10時頃)に1杯>
休憩をかねて朝食と昼食の間に水分補給します。会社に到着したら1杯という習慣もよいかも。

<4回目:昼ごはん前に1杯>
水を飲むと栄養素の吸収もスムーズになります。

<5回目:家事・仕事の休憩時間(15時頃)に1杯>
リフレッシュできて作業効率も上がります。スポーツドリンクなどの塩分や糖分を含む飲料は水分の吸収がスムーズにでき、汗で失われた塩分の補給にもつながります。

<6回目:夕食前に1杯/飲む前に1杯>
アルコールを飲む場合でも、事前に1杯飲むと、飲み過ぎを防止し、体の負担を抑えることができます。

<7回目:入浴前後に1杯>
入浴は大量に汗をかきます。前後に1杯ずつ飲みましょう。

<8回目:寝る前に1杯>
就寝中に失われる水分を事前に補給します。夜間のトイレが気になる方は、就寝1時間前に水を飲みトイレにいってから寝るとよいでしょう。

 

私の知り合いには、2時間ごとにアラームを鳴らして、コップ1杯の水を飲んでいる人もいます。体の水不足に対し警報音を鳴らしているのですね。

とくに子育て中のお母さんにはこの方法はおすすめ。子供の水分補給に気をつかっても、自分のことは忘れがちな人が多いのです。水分不足はイライラや頭痛の原因になりますから、お子さんといっしょに水分補給を心がけてください。

 


 

【今回厳選したニュース・レポート その2】

 

  • 「豪雨災害から7年 犠牲者に祈り 兵庫 佐用町」
  • (「NHK NEWS WEB」2016年8月9日)

 


兵庫県佐用町で、死者・行方不明者が合わせて20人に上った豪雨災害から7年が経過しました。

皆さんはご記憶にありますか? 2009(平成21)年8月9日、兵庫県佐用町では台風の接近に伴う豪雨で川がはん濫するなどして、18人が死亡、2人が行方不明になりました。

この災害から7年、被害が大きかった久崎地区の慰霊と復興のモニュメントには遺族や町の職員などおよそ60人が集まり、庵逧典章町長が、「あの日を思い出し、再びこのような災害が起きないよう、安全な町をつくることを誓います」と話し、犠牲になった人たちに祈りをささげました。

私は災害発生から4日後に現地を歩きました。今日は、7年前を振り返ってみたいと思います。

 

「悪夢でした。1階で寝ていたらゴゴゴゴゴという音がして、浸水に気付きました。2階に避難して窓から外を見ると、家の前はすでに川のように水がドウドウと流れていました。深さ1メートルくらいはあったと思います」

作用町に住む女性は、豪雨被害をこう振り返りました。

「生きた心地がしなかった。あの恐ろしさは体験した人でないとわからない」

土砂崩れが発生した現場近くに住んでいた男性は、「最初は地震だと思った」と言います。ドンという大きな揺れはすぐに収まりましたが、何か巨大なものが崩れ落ちてくるような不気味な震動が続きました。

「いったい何が起きるのかと思って怖くて身動きがとれなかった。体がすくんでしまった。するとドウドウという音とともに土砂が寝ているそばに入ってきた。

窓際においてあったテレビや扇風機は一気に土にのみ込まれて見えなくなった。もう少し窓の近くに寝ていたら、私も土砂に巻き込まれてしまっただろう。この世の光景とは思えなかった」

男性は眉間に深い皺を寄せました。

佐用駅周辺の甚大な被害を受けた地区では、激流で運ばれた土が10センチ近くたまっていました。

8月の日差しのなか、ねっとりと体に巻き付くような生温い風が臭気を運んできます。道路や家の周囲には、どこにこれほどの木があったのかと思うほど、数多くの流木が散乱していました。

流木が壁やガラスを突き破って家に流れ込んでいます。

車は何台もひっくり返り、そのまわりを木と土が取り囲んでいます。

町に押し寄せた水、土、そして木。

普段は静なるものとして身の回りにあるものが突如襲ってきました。

2009年8月9日から10日未明にかけて発生した台風9号による豪雨は、兵庫県佐用町、宍粟市、朝来市などに大きな被害を与えました。

佐用町の雨量は降り始めから10日午前11時までに343・5ミリ、9日夜の1時間雨量は89ミリと観測史上最大を記録。

町内を流れる佐用川の水位は8メートルに上昇し、勢いを増した濁流が護岸内側をえぐり、平成16年に損壊したのと同じ箇所が再び損壊しました。

この集中豪雨で佐用町、宍粟市、朝来市などは未曾有の大災害となりました。佐用町だけで死者行方不明21名、全半壊8棟、床上浸水774棟、床下浸水579棟、落橋14箇所などの大惨事に発展しました。

被害が大きくなった原因は流木でした。流木が橋脚や欄干に引っ掛かって川の流れをせき止め、たまった水はここでエネルギーを蓄え、橋を吹き飛ばして、一気に町にあふれ出したのです。

いったいこの木はどこからきたのか。

多くの学者や専門家が指摘したのが、間伐材や倒木でした。被害が集中した朝来、宍粟市、佐用町の森林約11万7700ヘクタールのうち、約6割が植林されたスギ、ヒノキ林でした。林内には間伐後、そのまま放置された木が多く転がっていました。

間伐は本来、木の成長を促し、根を地面に張らせる効果をもたらします。しかしながら現在は、木材価格の低迷から、間伐されても切り倒されたままになっていることが多く、林地に転がっていた間伐材は大量の流木となる。

そして橋脚や欄干などに引っ掛かり川の流れをせき止める。

そこに水の力が集中し、臨界点をむかえると、橋を吹き飛ばし、どっと水があふれ出す。

多くの学者がこう指摘し、新聞報道もそれに追随した。

ですが、実際に林地を歩いてみると、人工林内で広範囲の土が流れ出していました。この場所に生えていたはずのスギやヒノキはどうなったのか。土砂崩れの際、立木のまま流れていったのではないか。

実際、『兵庫の治山・林道と森林整備「やまなみ」』(社団法人兵庫県治山林道協会・平成22年1月発行号)に掲載された「平成21年台風9号による山地災害と復旧対策について」(兵庫県農政環境部農林水産局治山課)という記事のなかに以下のような記述がありました。

「災害発生当初、テレビ、新聞等では、風倒木の未処理木や、切り捨てられた間伐木が流木の発生源になったと報道されたが、林務課と豊かな森づくり課が、県内2箇所において、流木の内訳を調査した結果、立木が約81%、間伐木が約10%、風倒木が約9%であった。

この調査により、流木のほとんどが、谷筋までスギ・ヒノキを植栽した渓流や、河川沿いの平地林から、異常出水や河川の増水により発生したことが明らかになった。

(中略)

橋梁に堆積した流木は、河道の閉塞をまねき、上下流の護岸工を損壊させたり、上流部の住宅地を浸水させる等、大きな被害をもたらしたため、流木を発生させない発生源対策と、発生した流木を河川等に流入させない対策が早急に求められている」

 

  • 立木 約81%
  • 間伐木 約10%
  • 風倒木 約9%

つまり、台風9号による大雨で人工林で土砂崩れが起こり、地面は立木をのせたままサーフィンのように山肌を駆け下っていったのです。

山の斜面が崩壊し、土砂と倒木が大量に河川に流れ込んだのです。多くの山が土砂崩れを起こし、大量の流木が発生しました。

土砂崩れがなければ、被害は少なくてすんだでしょう。土砂災害を防ぐ意味においても間伐はとても重要です。

土砂崩れにより財産を失った人の数は計り知れないものがありました。

2010年春、田植えの時期になった佐用町に行きました。

田んぼには大きな石がゴロゴロと転がり、畑は土砂で埋まっています。

ある農家の男性に「今年の田植えはどうするのか」と聞いたところ、疲れ果てたか弱い声でこう言ったのを覚えています。

 

  • 「石コロや土砂をのけても、また崩れてくる」
  • 「また?」
  • 「山っていうのは、一度崩れ出したら止まらないものだ。それに、片付けろというが、誰がその作業をやるのだ。うちには年寄りだけで石コロやなんかのかせやしない」

別の農家では、0.4ヘクタールの水田が深さ約50センチの土砂に覆われていました。

 

  • 「田んぼを元に戻せとか簡単に言ってくれるなよ。積もった土を取り除いたら、それで終わりというほど簡単なものじゃないんだ。水がもれないよう畦をつくったり、土壌を整えたり、豊かにしたり、田んぼづくりは長年の汗の結晶だ」

苦しみは続き、離農した人、引っ越した人も数多くでました。

でも、これは決して他人事ではないのです。山が荒れているのは日本全国同じ。豪雨が頻発するようになったのもまた然りです。全国的に放置された人工林の手入れが求められています。