週刊「水」ニュース・レポート    2016年8月31日号

 

 

 

【今回厳選したニュース・レポート】

 

 


8月25日、ベルリンにおいて、「世界リスク報告書2016年版」が発表になりました。全文は上記リンク先にありますが、今日は、その概要と日本に関係するトピックについてお伝えしようと思います。

結論としては、社会インフラが未整備で物流に問題があると、異常な自然現象が発生した時に、大きな災害へ繋がる危険性が格段に高まるということです。災害が発生し、道路や橋が未整備であったり崩壊するなどして補給ルートが寸断されると、水や食料といった物資が被災者に届かず被害は拡大します。この問題をいかに軽減させていくかが重要です。自然災害が大惨事につながるかどうかは、 栄養状態、医療サービス、ガバナンスなど の社会的要因によっておおかた決定づけられます。

報告書には世界リスク指標(WRI)が示されています(国連大学の「環境・人間の安全保障研究所」などのチームによる)。

対象となる171か国の自然災害(地震、台風、洪水、干ばつ、海面上昇の5種類)の自然災害と社会的脆弱性を分析し、それぞれの国における災害リスクを評価した数値です。

WRIの上位国は以下のとおりです。

 

  • 1位 バヌアツ
  • 2位 トンガ
  • 3位 フィリピン
  • 4位 グアテマラ
  • 5位 バングラデシュ

これらの国々では、地球温暖化に伴う海面上昇で国土を失うほか、強大化するサイクロンによる被害拡大が懸念されています。また、道路や電力網などのインフラが不十分で、報告書では「対策を急ぐべき国」と指摘しています。また、社会システムが不安定なアフリカ諸国への支援の必要性も訴えています。

では日本はというと17位にランクされています。

自然災害への対処能力はトップクラスに評価されていますが、地震や水害に見舞われることが多い(4位にランク)ため、被害を受けるリスクはかなり高いのです。

周辺国の中国は85位、韓国113位、欧米先進国の米国127位、カナダ145位、英国131位、フランス152位と比べてもかなり上位です。

国連大学のマティアス・ガルシャーゲン博士は「日本は技術的に非常に高い対処能力を持つが、東京電力福島第1原発事故では自然災害に伴う被害が連鎖的に拡大しうることが示された。単に技術面だけでなく、人材育成やリスクコミュニケーションの充実が課題だ」と話しています。

WRIの上位国を見ると社会インフラが惰弱な国が多く、その整備が課題になっています。

一方日本はインフラ整備が一通り終わっているのに、これだけリスクが高い。

それだけ地震や水害に見舞われることが多いということなのですが、今後はハード面だけではなく、いかにソフト面での災害対応を高めていくかが重要になるでしょう。