週刊「水」ニュース・レポート    2016年9月14日号

 

 

 

【今回厳選したニュース・レポート】

 

  • 『衛生環境の未整備による社会経済的損失の分析』の衝撃
  • (株式会社LIXILグループレポート)
  • http://www.lixil.com/jp/

 


株式会社LIXILグループ( 以下LIXIL グループ)は、英国に本拠を置く研究機関オックスフォード・エコノミクスに依頼し、劣悪な衛生環境に起因するコストについて、最新データの収集と総合的な評価を行いました。

その結果、2015年に、衛生環境の未整備が世界経済に与えた経済損失は2,229億ドル(約22兆円)にのぼります。

2,229億ドルとは、リオ五輪開催費用の50倍以上であり、中国の国防予算、米国の教育予算をも凌ぎますが、その内訳は以下のとおりです。

【人的損失 1,228億ドル】
"下痢性疾患は、人間の排泄物が飲料水や食品の汚染の原因となることから、トイレが不足しているコミュニティーに多い病気です。世界保健機関(WHO)によると、下痢は世界で7番目に多い死因であり、2012年には150万人の命を奪いました。

人々が若くして命を落とすことによって潜在的所得が失われ、家族や国に経済的ダメージを与えています。人の命をお金で換算することに違和感を覚えるかもしれませんが、将来活躍できる可能性のあった子供たちがなくなっているのです。

また、数字で算出することは難しいものの、家族の心理的な負担も大きいのです。

【医療費 566億ドル】
衛生環境の不備に伴う病気の治療費です。医療費がかかることでお金を他の支出や投資にまわすことができなくなります。

【トイレの不足 270億ドル】
多くの国では人口に対して家にトイレがない人の占める割合が高く、そうした人々は公衆トイレに並んだり、野外で排泄する場所を探さなくてはなりません。トイレに並ぶ、あるいはプライバシーを保てる場所を探すにしても、勉強や仕事に使えたはずの時間が奪われることになります。

【生産性の低下 165億ドル】
排泄物に含まれる病原体によって、何百万人もの人々が病気になり、回復するまで仕事や学校を休まざるをえない状態になっています。毎年、何十億時間もの労働時間が失われています。

こうした問題を抱えているのは発展途上国の貧困層に多く、自ら問題を解決するのが難しい状況にあります。

トイレなどの基礎的な衛生施設を継続して利用できない人は、世界で約26 億人にのぼります。途上国では人口の4 分の1 が屋外で排せつ行為を行います。野外で排泄をすることは、飲み水の水源を汚すという悪循環をもたらします。

女性にとっては別の問題もあります。

途上国の道端で、成人男性や少年が腰をおろして用を足す場面に出会うことがあります。ですが女性や少女が同様の行動をとるなど考えられません。

トイレがないと、プライバシーを保つ場所がなく、用を足すことができません。

トイレがいたるところにある都市の生活では考えにくいのですが、発展途上国の地方部に行くとトイレはなくて当たり前。

そうしたところでは、出かけた女性のあとを男性が後を付けることもあり、女性は恥ずかしさと同時に恐怖を感じています。自然と外出に消極的になり学校に行かない少女も多いのです。

トイレがないことが性差別や教育の問題にもつながります。

こうしたことは重要な問題であるのに議論されることが少ない。

慎み深さを大切にする文化圏では特にその傾向が強い。

また資金や政治力によって状況の改善を図れる人のほとんどが男性であることもその理由になっています。

 

を読んで、この問題をいかに解決するかを考えていただければと思います。